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【エッセイ】「何かに夢中になる人」の成功を喜べない
三杯目のアイスカフェラテを注文するのを躊躇した。目の前には、やけにハツラツと注文をとる学生アルバイトが立っている。おあずけを食らっても次の餌が貰えると信じて... -
【ドラマレビュー】思わず若返る胸キュンロマンス、Netflixドラマ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』にハマった三十路の悶絶ダイアリー
どうも、15歳に若返った安藤エヌです。 嘘です、今年で満30歳のアラサーならぬサーの安藤エヌです。いかがお過ごしでしょうか。なぜこんな出だしから始まるかというと、... -
【名画再訪】『プロミシング・ヤング・ウーマン』〜性暴力がある世界に生きている〜
(※この記事には性暴力に関する記述が含まれます。) 最近、立て続けに周囲で起きた性被害の話を聞いた。テレビやネットで次々と性被害の告発がある中、告発できない被... -
【映画レビュー】高齢者が安楽死を選択する社会『PLAN 75』〜早川監督はどこまで当事者として映画を撮っていたのか?〜
「見えないところで死ね」──それが街を行きかう人々や電車に乗る人々の総意なんだと僕は思い込むことがあって、精神が壊れそうになることも多い。精神が壊れた人は社会... -
【武道家シネマ塾】第10回:父が観て、僕が観た『椿三十郎』
僕の父は武道・格闘技と映画が好きで、僕が武道家兼映画ライターになったのは、そんな父に育てられたからだ。 中学生になった僕は、サッカー部に入った。サッカーには1... -
【フォトエッセイ】1枚目:写真で切り取る、日々是好日~1輪の花と老婦人との出会い〜
アザミのとげに触れるみたいに、胸がちくちくと痛いときがある。今がそれだ。ひとつの物事に対して受け取る感情が人一倍多い私は、日々の変化に直面するたびしばしば心... -
【映画レビュー】『ベイビー・ブローカー』〜母親は赤ん坊を「捨てた」のか、それとも「託した」のか
(by 碧月はる)“この世に生まれなければ良かった命など存在しないと、自分は彼らに言い切れるのか?” 映画『ベイビー・ブローカ―』の公式サイトに記載されている、是枝... -
【ぼくが映画に潜るとき】第6回:『ヴィオレッタ』〜母の「愛してる」からの逃亡〜
(by チカゼ)ものすごく幼いころ、ぼくはけっこう可愛い顔をしていた。目尻のきゅっと上がったぱっちりとした二重に、ふさふさの長いまつ毛。薄いくちびる、白い肌。く... -
【エッセイ】6万字の愛~小説『愛をくれ』を書いて、今、私が思うこと
(by 安藤エヌ)2017年に、6万字の小説を書いて文芸賞に応募した。仕事の合間を縫い半年間におよぶスケジュールを立て、自身の半生と向き合い、痛みと喜びを書きなぐっ... -
【武道家シネマ塾】第9回:『あゝ、荒野』~ユースケ・サンタマリアに憧れて~
(by ハシマトシヒロ) 10代の頃の僕にとって、寺山修司という名前は、自分自身を「文学青年」に見せるための便利なアイテムだった。 女の子と待ち合わせる時は、壁にも... -
【映画レビュー】『流浪の月』~体も、心も、そのすべては持ち主だけのものなのに、そんな当たり前の尊厳が簡単に踏みにじられる世界で、私たちは生きている
(by 碧月はる)人は、自分の見たいようにしか物事を見ない。事実はひとつだが、どの立ち位置から眺めるかで、受け止め方は大きく変わる。見たいように見て、信じたいも... -
【映画レビュー】失敗作『シン・ウルトラマン』〜現代的に描く視点が大局に依存した閉鎖性〜
(by 葛西祝) 『シン・ウルトラマン』ははっきりとした失敗作であって、原作の『ウルトラマン』がこんな風にリメイクされるんだって偏愛が無ければとても観ていられな... -
【エッセイ】思い出せない猫のこと
<あの子を想う時、写真でなく絵で思い出されるようになったのは、私のこの軟弱な記憶力のせいだ。>硬くなった出窓の引き戸に力を込める。開いた窓の隙間から細い風が... -
【映画エッセイ】ジョエル・コーエン監督『マクベス』が描く、疲れた還暦超えマクベスの悲劇
(by こばやしななこ) 幾度となく再演され映画化されてきたシェイクスピアの名作『マクベス』が、コーエン兄弟として知られるジョエル・コーエン監督の手によって映画... -
【武道家シネマ塾】第8回:『ロッキー3』~時代おくれの友情~
(by ハシマトシヒロ) 2022年3月。アカデミー賞授賞式において、ウィル・スミスは、司会者を平手で張り飛ばした。 同じく2022年3月。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に... -
【連載/LIFE-】第10回:「が」のお話
(by 葛西祝) 「が」について、ささやかなお話をしよう。まず、自己紹介のテキストを書くとする。 「ぼくは中学3年生ですが、来年4月から高校生になります」 このテキ... -
【エッセイ】センチメンタル・シンガポール・パンツ
シンガポールの街並みに並ぶ屋台を覗き込み、あれでもないこれでもないとフラフラ歩いたあの夜を思い出す。あの夜、夕飯はどこにしようかと選んでいた私たちは、選んで... -
【エッセイ】プロポーズされた君へ、おめでとう。これから先も、隣で書かせて
(by チカゼ)かぼすが結婚する。その知らせを聞いていちばん最初に湧き上がったのは、「とうとうかぼすが彼氏に盗られてしまった」という身勝手な思いだった。「おめで... -
【映画レビュー】限界オタクによる『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』感想~やっぱりファンタビは愛の話だった~
(by 安藤エヌ)前作である『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』から4年。ついに最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が公開... -
【映画エッセイ】『青葉家のテーブル』~大人はもっと、ダサい自分を子どもに見せていい~
(by 碧月はる) 北欧のインテリアが好きだ。シンプルで木肌の温もりが感じられるものや、焼き物のぽってりとした趣。色は白、もしくは青を基調としたものに惹かれる。... -
【エッセイ】トイレットペーパーとお尻の尊厳
(by こばやしななこ) 乙女のカリスマこと作家の嶽本野ばら先生が「キティちゃんのトイレットペーパーしか使わない」とエッセイに書いてらした。 思春期から彼の作品に... -
【武道家シネマ塾】第7回:あなたが映画を勉強したいなら、『ロッキー2』だけ観ればいい
(by ハシマトシヒロ) 「ハシマさんがいちばん好きな映画はなんですか?」自称映画通の同僚に尋ねられた。「年間200本観てる」と豪語しているヤツだ。なんか「通っぽい... -
【映画エッセイ】あたしゃ、ケネス・ブラナーの魅力を語らせてもらうよ!
(by こばやしななこ)ケネス・ブラナーをご存知だろうか?最近では『テネット』の武器商人として知っている人も多いはず。私と同世代のアラサーたちには『ハリー・ポッ... -
【ぼくが映画に潜るとき】第5回:『パッチギ!』〜イムジン河を渡り切る意味について〜
(by チカゼ) ぼくは「祖国」がわからない。昨年、帰化申請をして日本国籍を取得したぼくは、「日本人」になった。それまでぼくは韓国籍で、書類上では「在日韓国人4... -
【ノベルゲーム講座③】第3回:私がピクセルでイラストを描くわけ〜特に懐古趣味ってことはなく〜
(by 隷蔵庫)私はノベルゲームを作り始めた当初から、ほとんどのゲームのイラストを「PC-98ライク」な二値絵で描いてきた。これは、自分がレトロゲームに親しんでいた... -
【碧い海に浮かぶ月⑦】「大丈夫じゃない」を言えるようになったから
(by 碧月はる)梅の芳醇な香りに誘われて見上げた空は、白と青の絵の具を混ぜ合わせたような、薄い水色だった。ねじれた枝の先端でほころぶ蕾たちが、その淡い空色に小... -
【物語るモノ③】私の見る世界と、君の聴く世界〜日本語吹き替えの世界〜
(by 蛙田アメコ)モノは、いたるところに溢れている。テキスト、音声、あるいは言葉もなく語るもの。ライトノベル作家がハマっている物語コンテンツについて綴ります。... -
【武道家シネマ塾】第6回:『ロッキー』~すべてのダメ人間に捧ぐ~
(by ハシマトシヒロ) 「格闘技しか取り柄がないのに二流の選手」昔、そんな陰口を叩かれたことがある。 うん、その通り。よく知ってるじゃないか。腹を立てても仕方が... -
【推しの一作】『30までにとうるさくて』は決して“女性のためのドラマ”ではない
冬模様に変化した街で、ショートブーツのファスナーを上げ切っていない人を二度見た。一度はバスの車内、一度はデパートの地下の総菜売り場だった。かかとから上へ伸び... -
【マイ・ラヴ・パレード②】なんにでもなれる、チャーミングな俳優に恋して
(by 安藤エヌ)エディ・レッドメインという俳優を心底愛している。彼ほど俳優として味のある人はいない。『ファンタスティック・ビースト』のレビューを書いたときから...