名画再訪

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【名画再訪】『スタンド・バイ・ミー』~生と死のコントラストに、眩く光る友情〜

(by 安藤エヌ) 先日、スティーブン・キング原作の映画『スタンド・バイ・ミー』を観た。  映画好きならば必ず観ないといけない作品と思いながら、なかなか機会がなく、観れずにいた。名作を見届けたあとにある、偉大な感動へのほんのわずかな畏(おそ)れがあったのかもしれない。しかし先日、ちょうど金 […]

【名画再訪】「愛がなんだ」と吐き捨てるように言ったあの子へ

(by みくりや佐代子) 愛がなんだ。愛がどうした。 そう言えるだけの威勢があるならばいい。他人がどう言おうと自分の差し出すこれこそが愛なのだと、言い切れるほどの意地があるならばいい。たとえそれがどんなに非常識で、理解されにくいものだとしても。 映画「愛がなんだ」の最も不思議なのは、盲目的な恋に溺れ […]

【名画再訪】『アヒルと鴨のコインロッカー』~答えは風に吹かれている〜

(by 碧月はる) 世界的に著名なミュージシャンである、ボブ・ディラン。彼は「音楽の神さま」と言われている。彼の存在を知ったのは、20代後半の頃。とある映画のなかで、私は“神さま”と出会った。 『アヒルと鴨のコインロッカー』。伊坂幸太郎原作の小説を、中村義洋監督が映画化した。濱田岳と瑛太がダブル主演 […]

【名画再訪】『南瓜とマヨネーズ』~迷子だった私の耳に届いた優しさの道しるべ~

(by 遠山エイコ) 曖昧な物語が好きだ。 悪を懲らしめて正義が勝つとか、恋をして駆け引きをした先の結婚とか、物語に明確な結末はつきものだけれど、エンドロールまで観てもスッキリしない作品もあって、私はいつまでも、そういう物語のことを考えてしまう。 眉間にきゅっと皺を寄せながらパソコンの画面を閉じ、冷 […]

【名画再訪】映画と脚本はバディのような関係だ~映画『グリーンブック』を観て

(by 安藤エヌ) 久しぶりに面白い映画を観た。面白い、の定義は人それぞれ違うと思うが、私の場合、面白いと感じる映画には共通点がある。映画のシナリオを担う筋がしっかりしていてユーモアに富み、ストーリーが整っており、かつ感動の起伏を上手くコントロールする脚本の上で描かれている作品を、特に面白い映画と感 […]

【名画再訪】『しあわせのパン』~私にとってのカンパニオ〜

(by 碧月はる) パンの焼ける匂いは、人をしあわせへと導く。小麦の香ばしさとバターの芳醇な香り。思わず深呼吸をする頃には、すっかり心を手招きされてしまっていて、足は自ずとパンを頬張る瞬間へと向かっている。 私には、年の離れた二人の息子がいる。二人ともにパンがすきで、長男のお気に入りはメロンパン、次 […]

【名画再訪】太ってしまった私と、映画『ヘアスプレー』~トレイシーに教わった「人生の楽しみ方」

(by 安藤エヌ) コロナのおかげで(せいで?)激太りしてしまった。ぽっちゃりとした頬、たるんだお腹。去年の夏に一念発起して有酸素運動と食事制限をしたものの、思うように続かずリタイア。そこから半年間、時間がないという理由をつけて怠惰をきわめた結果、いまだダイエットに成功できないでいる。 周りを見渡せ […]

【名画再訪】『ドント・ウォーリー』〜あんたの自己憐憫に一言いわせて〜

(by こばやしななこ) 「そんな疲れた歩き方をしても誰も同情しませんよ。」 高校の部活帰り、商店街の本屋で立ち読みした本の一節にグサっと心をえぐられた。疲れると周りに気遣ってもらうためにすぐ「私は疲れていますよ」と全身からダダ漏らすような態度をとる自分を見透かされたようでいたたまれなかった。考えて […]

【名画再訪】『かもめ食堂』~「食べる」というこの世で最も人に優しい行為について~

(by みくりや佐代子) カレーライスを食べる人には共通項がある。それは誰もが「大きな口を開けること」。 あたたかいカレーライスが目の前に現れると、どんなに可憐な女性でもちまちま食べはしない。大きなスプーンに掬う一口分は、だいたい他の料理の1.5口分ほどの量で、それを大きな口を開けて美味しそうに食べ […]

【名画再訪】『スイス・アーミー・マン』~放屁に誘われる、めくるめく哲学の世界〜

(by 安藤エヌ) 人類にとって「人前で放屁をしない」というのは永遠の課題のひとつであるが、一体人類はいつから人前で放屁をしなくなったのか。 なぜ突然このような議題を持ち出してきたのかというと、映画『スイス・アーミー・マン』を観たからだ。この出だしを読んだだけでは本作がどんな映画なのか全くもって想像 […]

【名画再訪】『ジョゼと虎と魚たち』~人は脆く、それでいて案外と強い

(by 碧月はる) 先日、離婚をした。昼過ぎに手続きを終え、別居先のアパートに帰り着いてからの数時間、抜け殻のように布団に横たわっていた。様々な感情が自身の内側を支配していくのを他人事のように感じながら、ぼうっと天井を見上げる。真っ白な壁紙がぼやけていく。気が付いたら、随分長いこと眠っていた。 むく […]

【名画再訪】嘘つきでいい。だって、わたしは「BIG FISH 」を信じているから。

(by すなくじら) 「ビッグ・フィッシュ、そいつは決して釣れないアバラマの怪魚。父さんはお前が生まれた日、とうとうそいつを捕まえた--」  サンタクロースを信じなくなったのは、いつからだろう。遊園地を歩く、風船を持った動物たちの“中身”を知ったのは?スマートフォンを片手に、カチコチの満員 […]

【名画再訪】『グッド・フェローズ』あなたの予想は開始120秒で裏返される!〜なあ、俺たちズッ友だよな?〜

(by 隷蔵庫) 1. 表紙がおっさんなので観る気が起きない映画 「グッド・フェローズ」という超有名ギャング映画がある。渋い顔のおっさんが3人、パッケージに浮かんでいるあの映画だ。 今でこそ「マジで面白いから見て!」と推せるものの正直最初は全く観る気になれなかった。Netflixのサイケなサムネの中 […]

【名画再訪】『パターソン』つつがない日々の生活こそが、豊かさの収斂であるということ

(by 翳目) それは不思議な感覚だった。まるで夢心地みたいな浮遊感があるのに、いつか何処かで体験していたかのようなリアルな描写が、映像を通して私の記憶の中をまさぐり続けた120分だった。 映画「パターソン」は2016年に製作されたアメリカ映画。主役はあの世界が誇る名作長編映画「スター・ウォーズ」シ […]

【名画再訪】『ロスト・イン・トランスレーション』〜言葉にすると、抜け落ちてしまうもの〜

(by こばやしななこ) 「最も個人的なことが、最もクリエイティブなこと」 『パラサイト』でアカデミー監督賞を受賞したポン・ジュノ監督は、スピーチでマーティン・スコセッシ監督のこの言葉を紹介した。 個人的なことを描いた映画の傑作は数あれど、私が真っ先に思い浮かべるのは『ロスト・イン・トランスレーショ […]

【名画再訪】『八日目の蝉』〜「男性の不在」に際立つ二種類の母性~

(by みくりや佐代子) 隣で眠る子供の寝顔を見つめながら、どうしてこんなに可愛いのかと疑問に思うことがある。それは慈しみにあふれた湧き上がる愛情とはまた種類が違い、参考書を開いて受験勉強していた時の感覚に似ている。「あれ?これってどうしてなんだっけ。以前に一度解決した気がするのだけど……」と眉間に […]

【名画再訪】『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』~上質なファンタジーに見る「人間」と「愛」

(by 安藤エヌ) 昨今、自身の発言によりSNS上で物議を醸している作家のJ・K・ローリングだが、私は彼女の生み出した魔法界とそこに生きる人々を愛している。 『ハリー・ポッター』シリーズは幼い頃から何度も大切に読み返し、企画展で母親にねだってふくろうの羽ペンを買ってもらったりと思い出も多い。私が魔法 […]

【名画再訪】『エターナル・サンシャイン』を観ておセンチに泣く夜

(by こばやしななこ) センチメンタルになって泣きたい夜がある。私がもっと美人なら、こうゆう感情にはならないのだろうか。とにかくそんな夜には『エターナル・サンシャイン』を観てさめざめ泣くのが一番だ。 初めてこの映画を観たときは、感情が大きく動くことはなかった。そこからいろんな経験といくつかの恋愛を […]

【名画再訪】人はみな多大な迷惑をかけながら生きる〜『こんな夜更けにバナナかよ』

(by みくりや佐代子) 「人に迷惑をかけてはいけません」。その言葉を幼い頃から刷り込まれているから私たちは今日も無理な納期に向き合うし、自分のタスクが終わるまで退社しない。迷惑をかけないことで得られる「真面目で勤勉、責任感が強い」の評価。それらは褒め言葉であり、求められる規範だ。 一本の映画によっ […]

【映画エッセイ】『ラ・ラ・ランド』が是か非か論争に終止符を打ちたい~人はみなそれぞれの人生を生きている

(by 安藤エヌ)好きな映画は何?と聞かれた時、私は大抵ひとつに絞れないので、ジャンルごとに好きな映画を答えるように…

【名画再訪】汝、社会に抵抗せよ!映画『アズミ・ハルコは行方不明』に見る“世の理不尽”との戦い方

  • 2020.09.18

(by みくりや佐代子) 理不尽だ!納得できない!こんな世の中イヤになる!そんな気持ちになったことが誰もが一度はあるのではないだろうか。 私にとってのそれは高校3年生のこと。友人に誘われ、生まれて初めて一日だけ派遣でアルバイトをした。人通りの多い場所で街頭アンケートとティッシュ配りをするバイトだった […]

【名画再訪】『永い言い訳』〜どうしようもない大人たちよ、時には振り絞るように泣け〜

(by みくりや佐代子) 正しい母親像、正しい父親像についてこの頃よく考えている。 何をもって正しいというのかはっきりとした定めがないこの概念は、辞書を引けどネットを彷徨えどそれらしい形をしたものしかなくて、ドアの先にドアが続くようにいつまでも惑わされてしまう。 西川美和監督作品「永い言い訳」を観た […]