【名画再訪】『コードネームU.N.C.L.E』〜続編祈願!こんなに面白いスパイ映画ある?〜

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(by 安藤エヌ

『コードネームU.N.C.L.E』という映画がある。未見の方はえ?コードネーム?スパイ映画?アンクルっておじさん?と訝る人もいるかもしれない。何を隠そうこの映画、タイトルが面白いのはもちろん、中身も超絶ド級に面白いのだ。

監督はガイ・リッチー、主演はヘンリー・カヴィルとアーミー・ハマー、そしてアリシア・ヴィキャンデルという美男美女揃い。2015年製作の英米合作スパイ・アクション映画である。

この映画について「コードネームU.N.C.L.E」と検索すると、高確率で「コードネームU.N.C.L.E 2」「コードネーム(以下略) 続編」とサジェストが出てくる。つまりそういうことなのである。2015年に公開されたきりの本作の続編を心待ちにしている人がそれだけいるということだ。

むしろ、何で続編を作らない?ガイ・リッチーはこの作品を通して何か大きな権力に弱みを握られているのだろうか?と疑問に思ってしまうほど、本作は面白いし人気だってある。金なら出すのでぜひとも続編を作ってほしい。

この映画、平たくいえば確かにスパイ・アクション映画なのだが、とにかくテンポがコメディのそれか職人の餅つき並みに良い。トントンと軽やかな拍子で繰り広げられるアクションと中弛みしないストーリー、主役3人とその内の2人によるいがみ合いと皮肉の応酬。ヘンリー演じるナポレオン・ソロという男はアメリカのスパイで、アーミー演じるイリヤ・クリヤキンはソ連のスパイだ。時代はちょうど冷戦下であることから、2人は知り合う前からすでに険悪な仲。出会い頭に取っ組み合いから始まり、互いのスパイ道具の劣り具合を揶揄したり手柄を奪い合おうとしたりなど、とにかく仲が悪い。

といってもこの2人の仲の悪さ、本気ではないのである。仮に2人が本気だったとしても、ガイ・リッチーの手にかかればわんちゃんが2匹、ドッグランで喧嘩をしている程度にしか描かれないのである。それがとにかく可愛い。屈強な大男2人が、可憐な(しかし本当は誰よりも肝の据わった)女性を挟んでドッグファイトをするさまは何とも微笑ましく、そしてこの映画は無駄な血が流れないスパイ映画なので、だんだんと観ているうちに安心してくる。安心と信頼のガイ・リッチー。そうしてわいきゃいと楽しんでいるうちにあっという間に終わってしまうのが、『コードネームU.N.C.L.E』という映画なのだ。

この映画の魅力は他にも至るところにある。アリシア演じるギャビー・テラーのファッションやイタリアはローマの風景、絢爛豪華なホテルの内装……などなど、目にも鮮やかな美術と衣装も見ものだ。女性は美しく、男性は逞しく、悪い奴は悪く、かっこいい奴はかっこいい。観れば一目瞭然の「良さ」というものがそこにある。中途半端なキャラクターや演出がどこにもないというのも、この映画のファンを今なお増やし続けている理由のひとつといえるだろう。

筆者のお気に入りはアーミー演じるイリヤである。親との関係や自身の過去が拗れていることによる神経症を患っており、キレやすく常に無表情で笑わない男だ。そして大男である(そもそもアーミーが高身長でガタイもいいので、迫力はお墨付きである)。そんなイリヤがギャビーに出会いほのかな恋心を覚えたり、ソロと出会い自分のペースを乱されて狼狽するさまは、観ているこちら側にとってはただただ「萌え」でしかないのである。ガイ・リッチーは分かってやっているに違いない。だってガイ・リッチーだもの。

そしてなんとこの映画、U-NEXTではポイント課金なしで観れてしまう上、Netflixにもあると来た。これは観るしかないだろう。オタクの常套句でいうと、「コードネームU.N.C.L.Eはいいぞ」。

史上最も笑顔になれること間違いなしのスパイ映画『コードネームU.N.C.L.E』を、どうぞよろしくお願いしたい。言い忘れたがこの映画、全編にわたってとてもお洒落な演出が施されていたりエンドロールも凝っているので、最後まで楽しんでほしい。ああ、魅力を語る時間が足りない!もう一度観よう(何度目?)

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(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED
映画『コードネームU.N.C.L.E』映画.comページ

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この記事を書いた人

安藤エヌのアバター 安藤エヌ カルチャーライター

日芸文芸学科卒のカルチャーライター。現在は主に映画のレビューやコラム、エッセイを執筆。推している洋画俳優の魅力を綴った『スクリーンで君が観たい』を連載中。
写真/映画/音楽/漫画/文芸