推しの一作

【推しの一作】『30までにとうるさくて』は決して“女性のためのドラマ”ではない

(by みくりや佐代子) 冬模様に変化した街で、ショートブーツのファスナーを上げ切っていない人を二度見た。一度はバスの車内、一度はデパートの地下の総菜売り場だった。かかとから上へ伸びるファスナーは半端な位置で留まり、足首の部分の黒い皮が外側に開いていた。 それを見つけた時、「あ、私だ」と思った。私と […]

【推しの一作】『キャロル』と洗練された退屈な街

(by 隷蔵庫)(注:本稿では一部、物語の核心に触れています) 2015年の冬、映画『キャロル』が公開された。ポスターに印刷されたケイト・ブランシェットとルーニー・マーラと、美しいキャッチコピーが目を引く。 映画はとてもよくできている。原作の空気感やメッセージを十分伝えきれていると思う。フィルムのよ […]

【推しの一作】愛しきものの不在とともに生きる~坂元裕二作品における「叶わなかった恋」への慈しみについて~

(by 遠山エイコ) 映画『花束みたいな恋をした』の大ヒットも記憶に新しい脚本家・坂元裕二。4月には東京、5月には札幌で朗読劇の公演があり(大阪公演は緊急事態宣言の影響により中止)、現在はドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』が放送中だ。 一世を風靡したトレンディドラマ『東京ラブストーリー』をはじめ、オ […]

【推しの一作】この生活はどこまでも続く〜『スーパーカブ』というライトノベル〜

(by 蛙田アメコ) 自分は乗らないバイクの話をします。 幸福は子猫の形をしているというけれど、孤独には形がないからこそ、こんなにも人を蝕むのかもしれません。自粛生活も丸々2年目、おおむね4ターン目に突入。ずるずると長引く、外圧によって発生する孤独。想像力に乏しい人間なのでアンネ・フランクの隠れ家生 […]

【推しの一作】『太陽がいっぱい』〜みんなから見下され、道化師のふりをしなければ、相手にされない人間』の逆襲〜

(by 隷蔵庫) 1. はじめに 「誰かになりたいと願うことは、自分自身を浪費することだ」というカート・コバーンの言葉がある。これ以上ニルヴァーナには詳しくないが、それを突き詰めた小説は知っている。 『太陽がいっぱい』というサスペンス小説だ。 おそらく、映画の方が有名だろう。レンタルビデオ店に行けば […]

【推しの一作】あなたの生きる世界は本当にノンフィクションですか?~真下みこと著『#柚莉愛とかくれんぼ』〜

(by みくりや佐代子) 想像はフィクションである。想像と実際は別物である。 けれど真下みこと著「#柚莉愛とかくれんぼ」は小説でありフィクションであり、現実である。「矛盾しているじゃないか」という声も聞こえてくるが、まさにその「矛盾」がスピード感をもって鮮やかに描かれているのが本作の見どころ。第61 […]

【推しの一作】『ハリー・ポッター』と裕美の部屋

(by 須藤裕美) ハリー・ポッターシリーズ(以下:ハリポタ)を読むためには、二週間は外界から完全にシャットアウトして家に引きこもる必要がある。なぜならあのすばらしい世界に浸るためには、それぐらいの準備と覚悟がいるからだ。本書を読んでいる間、わずらわしい仕事や交友関係などに邪魔されたくないわけだ。ス […]

【推しの一作】『裸一貫!つづ井さん』が教えてくれた、貪欲な人生の楽しみ方

(by 満島エリオ) 突然ですが、私はオタクです。 中学生の頃よりマンガアニメをはじめとする色々なサブカルチャーにのめり込み、ハマったキャラや作品のこととなると早口でとめどなく喋り倒す、正統派オタクであります。 そして、色々な方面にオタクの友人がいて、定期的に集まっては「オタク会」を開催しています。 […]