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【映画レビュー】失敗作『シン・ウルトラマン』〜現代的に描く視点が大局に依存した閉鎖性〜

(by 葛西祝) 『シン・ウルトラマン』ははっきりとした失敗作であって、原作の『ウルトラマン』がこんな風にリメイクされるんだって偏愛が無ければとても観ていられない映画だった。少なくとも自分にとって、失望の多くは『シン・ゴジラ』のように原点を現代に解釈し直す試みがすべて空回りに終わっていたことだ。 “ […]

【エッセイ】思い出せない猫のこと

(by みくりや佐代子) <あの子を想う時、写真でなく絵で思い出されるようになったのは、私のこの軟弱な記憶力のせいだ。> 硬くなった出窓の引き戸に力を込める。開いた窓の隙間から細い風が部屋へと入り込む。窓は防犯上、10センチしか開かない。今日、小説のような一日になれ。私は唱えた。今日、小説のような一 […]

【映画エッセイ】ジョエル・コーエン監督『マクベス』が描く、疲れた還暦超えマクベスの悲劇

(by こばやしななこ) 幾度となく再演され映画化されてきたシェイクスピアの名作『マクベス』が、コーエン兄弟として知られるジョエル・コーエン監督の手によって映画化された。コーエン版『マクベス』は、省略や脚色を施しつつ原作の台詞をふんだんに使用し、極めて原作に忠実に作られている。それにもかかわらず、観 […]

【武道家シネマ塾⑧】『ロッキー3』~時代おくれの友情~

(by ハシマトシヒロ) 2022年3月。アカデミー賞授賞式において、ウィル・スミスは、司会者を平手で張り飛ばした。 同じく2022年3月。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』において、北条時政は、主君である源頼朝を罵倒し、袂を別った。 どちらのケースも、自分の大事なもの=家族を侮辱されたことに端を発 […]

【連載/LIFE-】第10回:「が」のお話

(by 葛西祝) 「が」について、ささやかなお話をしよう。まず、自己紹介のテキストを書くとする。 「ぼくは中学3年生ですが、来年4月から高校生になります」 このテキストはすぐ修正をかけることになる。手を加えたあとはこうだ。 「ぼくは中学3年生で、来年4月から高校生になります」 ダムのひび割れみたいに […]

【エッセイ】センチメンタル・シンガポール・パンツ

(by みくりや佐代子) シンガポールの街並みに並ぶ屋台を覗き込み、あれでもないこれでもないとフラフラ歩いたあの夜を思い出す。 あの夜、夕飯はどこにしようかと選んでいた私たちは、選んでいたというより迷っていたという方が正しかったかもしれない。なぜならそこで見る看板には異国の言葉が踊り、どんな料理か判 […]

【エッセイ】プロポーズされた君へ、おめでとう。これから先も、隣で書かせて

(by チカゼ) かぼすが結婚する。 その知らせを聞いていちばん最初に湧き上がったのは、「とうとうかぼすが彼氏に盗られてしまった」という身勝手な思いだった。「おめでとう」、ではなく。 ちなみにかぼすというのは、15年来の付き合いになる、ぼくの数少ない友人のひとりだ。そんなかぼすからティファニーブルー […]

【映画レビュー】限界オタクによる『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』感想~やっぱりファンタビは愛の話だった~

(by 安藤エヌ) 前作である『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』から4年。 ついに最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が公開され、ワーナーの試写会イベントでいち早く観てきた私です、こんにちは。息してません。 『ファンタビ2』については以前、こちらの記事でも書か […]

【映画エッセイ】『青葉家のテーブル』~大人はもっと、ダサい自分を子どもに見せていい~

(by 碧月はる) 北欧のインテリアが好きだ。シンプルで木肌の温もりが感じられるものや、焼き物のぽってりとした趣。色は白、もしくは青を基調としたものに惹かれる。見た目だけではなく、使い勝手の良さも外せない。そんな私の好みを熟知している友人が、とあるブランドを教えてくれた。 「このお店、はるさん好きだ […]

【エッセイ】トイレットペーパーとお尻の尊厳

(by こばやしななこ) 乙女のカリスマこと作家の嶽本野ばら先生が「キティちゃんのトイレットペーパーしか使わない」とエッセイに書いてらした。 思春期から彼の作品に影響を受けまくっていた私は読んでさっそく感銘を受け、キティちゃんのペーパーを探した。そんなもんどこにも売っていやしなかった。 エッセイは「 […]

【武道家シネマ塾⑦】あなたが映画を勉強したいなら、『ロッキー2』だけ観ればいい

(by ハシマトシヒロ) 「ハシマさんがいちばん好きな映画はなんですか?」 自称映画通の同僚に尋ねられた。「年間200本観てる」と豪語しているヤツだ。なんか「通っぽい」タイトルを出さないとバカにされるかと思い、とっさに出たのが「『存在の耐えられない軽さ』かなぁ……」だった。 ウソです。いちばん好きな […]

【映画エッセイ】あたしゃ、ケネス・ブラナーの魅力を語らせてもらうよ!

(by こばやしななこ) ケネス・ブラナーをご存知だろうか?最近では『テネット』の武器商人として知っている人も多いはず。私と同世代のアラサーたちには『ハリー・ポッターと秘密の部屋』のロックハート先生といえば通じるだろうか。 物心ついた時からケネス推しな私は、彼の監督作『ベルファスト』がアカデミー賞の […]

【ぼくが映画に潜るとき⑤】『パッチギ!』〜イムジン河を渡り切る意味について〜

(by チカゼ) ぼくは「祖国」がわからない。 昨年、帰化申請をして日本国籍を取得したぼくは、「日本人」になった。それまでぼくは韓国籍で、書類上では「在日韓国人4世」だったのだ。でもこの表現は、ぼくにふさわしくない。なぜならぼくのルーツは、もう少々込み入っているから。 朝鮮戦争、南北分断。イムジン河 […]

【ノベルゲーム講座③】私がピクセルでイラストを描くわけ〜特に懐古趣味ってことはなく〜

(by 隷蔵庫) 私はノベルゲームを作り始めた当初から、ほとんどのゲームのイラストを「PC-98ライク」な二値絵で描いてきた。これは、自分がレトロゲームに親しんでいたからだとか、ファンだからというわけではない。 とはいえ、もちろん私は小学生のころ、MOTHERシリーズやスーパーマリオシリーズなど、任 […]

【碧い海に浮かぶ月⑦】「大丈夫じゃない」を言えるようになったから

(by 碧月はる) 梅の芳醇な香りに誘われて見上げた空は、白と青の絵の具を混ぜ合わせたような、薄い水色だった。ねじれた枝の先端でほころぶ蕾たちが、その淡い空色に小さな手を伸ばしている。風は穏やかで、空気はほのかにゆるみ、木々の新芽が膨らんでいる。季節が、一周した。この地にまた、春が巡る。 離婚に伴う […]

【物語るモノ③】私の見る世界と、君の聴く世界〜日本語吹き替えの世界〜

(by 蛙田アメコ) モノは、いたるところに溢れている。テキスト、音声、あるいは言葉もなく語るもの。ライトノベル作家がハマっている物語コンテンツについて綴ります。 **** 最近、翻訳がアツい。 物語をくるむヴェールである、翻訳されたテキストやセリフや音声に目を向けることが多くなった。あれって、すご […]

【武道家シネマ塾⑥】『ロッキー』~すべてのダメ人間に捧ぐ~

(by ハシマトシヒロ) 「格闘技しか取り柄がないのに二流の選手」昔、そんな陰口を叩かれたことがある。 うん、その通り。よく知ってるじゃないか。腹を立てても仕方がない。事実だから。悔しかったら強くなれって、じーちゃんが言ってた。 ロッキーもおんなじだ。 「ボクシングしか取り柄がないのに二流の選手」い […]

【推しの一作】『30までにとうるさくて』は決して“女性のためのドラマ”ではない

(by みくりや佐代子) 冬模様に変化した街で、ショートブーツのファスナーを上げ切っていない人を二度見た。一度はバスの車内、一度はデパートの地下の総菜売り場だった。かかとから上へ伸びるファスナーは半端な位置で留まり、足首の部分の黒い皮が外側に開いていた。 それを見つけた時、「あ、私だ」と思った。私と […]

【マイ・ラヴ・パレード②】なんにでもなれる、チャーミングな俳優に恋して

(by 安藤エヌ) エディ・レッドメインという俳優を心底愛している。彼ほど俳優として味のある人はいない。『ファンタスティック・ビースト』のレビューを書いたときから、いつか彼のことについて思いのたけをぶつけたものが書きたいと思っていた。今年は待ちに待ったファンタビの最新作が公開されるというタイミングも […]

【ぼくが映画に潜るとき④】『トムボーイ』〜「男の子」のふりをして過ごした、あのころのこと〜

(by チカゼ) 小学4年生のとき、ぼくは通っていた体操教室で約半年間、「男の子」のふりをしていた。運動音痴の双子の弟が教室への出席を拒否し始めたことが、そのきっかけだった。 ぼくはそのころ、しょっちゅう男の子に間違われていた。短い髪と、Tシャツに短パン。そういう服装を好むだけの「ただのボーイッシュ […]

【映画エッセイ】『パワー・オブ・ザ・ドッグ』〜男らしさの犠牲者〜

(by こばやしななこ) なぜ、彼はああなってしまったのだろう。なぜ周りから愛されないふるまいばかりするのだろう。ドスドスと床を踏み鳴らす祖父の気配を感じながら、息をひそめいつも考えていた。なぜ?と。 両親が離婚してから数年、母と祖父と一緒に暮らした。何年一緒に暮らしても家族だとは思えなかった。一緒 […]

【碧い海に浮かぶ月⑥】365分の5日

(by 碧月はる) 大事すぎる思い出ほど、誰にも見せずに自分のなかだけに留めておきたいと思う。生まれたての赤ん坊を抱きかかえるように、そっと静かに、ゆらゆらと揺れながらその記憶に浸りたい、と。 誰かに読まれる場所に、鮮烈な記憶を置く。その行為の先で、己の人生の一端が奇異の目で消費されるたび、ゆるやか […]

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