(by 満島エリオ

BUMP OF CHICKENが“ハイブリッドレインボウ”という曲を歌っていると知った時、「あれ?」と思った。バンプっ子の私は彼らの出したCDを全て網羅していたはずなのに、その曲を知らなかったからだ。一体なんだこれは、と調べて、それが『シンクロナイズド・ロッカーズ』というトリビュートアルバムに収録されたカバー曲であることを知った。そうして出会ったのが、the pillowsだった。

ピロウズの楽曲はいわゆるロックロールらしい反骨精神を根幹に持ちながら、それをスタイリッシュに表現する。≪聖書によれば誰もが罪人/この僕以外はね≫(“PIED PIPER”)や≪時代が望んだヒーロー 目の前で目の前で倒してよ≫(”Blues Drive Monster”)など、飄々としながら胸のすくメッセージを歌うピロウズの音楽は、とにかくかっこよくて、痺れた。

その一方で、同期であるミスチルやスピッツを引き合いに、その不遇や大ヒットのなさを語られることも多い。活動歴は長く、根強いファンもたくさんいるけれど、ロックバンド好き以外にはあまり知られていないし、国民的なヒット曲があるわけでもない。

そんなピロウズの代表曲のひとつ、“ハイブリッドレインボウ”はこんなふうに歌う。

≪ほとんどしぼんでる僕らの飛行船/地面をスレスレに浮かんでる≫

≪昨日は近くまで 希望の船が来たけど/僕らを迎えに来たんじゃない≫

わかりやすい売れ筋に乗れない苦悩や、同期や後輩が売れていくことへの嫉妬。いつまでも「自分たちの番」がこない焦り。ピロウズの歴史を踏まえると、これらの歌詞はより一層突き刺さる。

けれど、だからこそ思う。ピロウズがこの曲を作ってくれてよかったと。

オリコン1位や紅白出場やフェスのトリを任されるようなアーティストがいる。別に音楽に限らなくたっていい。どのジャンルでも必ず、一番大きなステージに華々しく立つスターがいる。そういう存在を、私たちは眩しく見上げる。決して敵わない、遠い憧れとして。

the pillowsはそういうバンドではない。彼らは、「選ばれないこと」も、「ずっと選ばれないこと」も、「いつか選ばれるとは限らない」ことも知っている。そんな彼らが歌うのだ。≪昨日まで選ばれなかった僕らでも/明日を待ってる≫と。

昨年、デビュー30周年を迎えたピロウズは、初の横浜アリーナでのライブを行った。キャリアの中でも最大規模の会場だ。そのステージで、ボーカルの山中さわおは「横浜アリーナでやるようなバンドじゃねえんだよ」と言って笑ったのだという。ピロウズらしくて、胸がいっぱいになる。

一番大きなステージじゃなくたっていい。わかりやすく売れていなくたっていい。ミスチルにもスピッツにも歌えない曲を歌ってほしい。彼らの曲はもっと近く、まるで伴走してくれているみたいに響くから。

≪ここは途中なんだって信じたい≫という詞に私自身の祈りも乗せて、ピロウズと一緒に明日を待つ。

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