社会

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【エッセイ】脚本コンクールの最終選考で落ちた話

(by こばやしななこ) 2021年、10月某日。パソコンの前に座った私は、1分ごとにクロームの更新ボタンをクリックしていた。開いているのは「創作テレビドラマ大賞」という脚本コンクールの選考ページだ。最終選考には、私の名前が残っている。 この後は、最終選考に残った10本から大賞1本と佳作2本が選ばれ […]

【エッセイ】家族という呪いと、クリスマスの夜~家族愛を描いた映画に感動できなくていい~

(by 安藤エヌ) クリスマスが近づくにつれ、街は華やぎ、色づいていく。ディスプレイに飾られたサンタクロースの人形を見て思い出されるのは、幼い頃の記憶だ。 小学生の頃、冬休みになるといつも母方の祖父母の家に遊びに行っていた。家庭の事情など何ひとつ知ることのなかった私は、父親のもとから離れた場所で優し […]

【おなかの中のくらげ④】朝は二度来る

(by みくりや佐代子) 「くらげ」と呼んでいたおなかの中の赤ちゃんが、第三子として誕生して約2か月。黄疸の検査で通院は続いていたものの空腹や眠気を訴える泣き声は力強さがあって、生命力のあらわれのようだった。 「新たな一員」を迎え入れたことは長男と長女の生活にも変化をもたらした。当然だが「はい!今日 […]

【碧い海に浮かぶ月③】「しあわせのスープ」が染み込んだ夜、かっこわるい大人は、ゆるやかに立ち上がった

(by 碧月はる) 晩秋の夕暮れどき、ふと思い立ち、てくてくと散歩をした。民家の柿の実が鈴なりになっている。枝先には、もうほとんど葉が残っていない。その光景を目にして、祖父母の庭に毎年たわわに実る柿の実と、庭の後ろにそびえ立つ山々の連なりを思った。杉の木が凛と立ち並ぶ山間のなかに、ぽつんと佇む一軒の […]

【碧い海に浮かぶ月②】大人である私たちは、置き忘れたことにさえ気づかないままで

(by 碧月はる) 『ちいさなちいさな王様』という物語がある。ドイツの作家、アクセル・ハッケのベストセラー小説だ。ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵が美しい本書は、一見御伽噺のような風貌を醸しつつも、哲学的な要素を持ちあわせている。 王様の世界は、年齢を重ねるごとに身体が縮んでいく。その代わり、想像の世界は […]

【碧い海に浮かぶ月①】私の生の隣には、いつだって海と言葉があった

(by 碧月はる) はじめてこの海を訪れた朝、私は厚手のロングコートとふかふかのストールを身に着け、それでも凌ぎきれぬ寒さにカチカチと歯を鳴らしていた。 新天地での生活は、希望より不安のほうが大きかった。岩肌に勢いよく押し寄せる水面が砕け散る様を眺めながら、祈るような気持ちで目を閉じた。望まぬ形で置 […]

【連載/LIFE-】第9回:“文化的荒涼”のなかで鳴る東京五輪開会式の『ドラゴンクエスト』序曲

(by 葛西祝) その音楽は “文化的荒涼”のただ中にて、Twitterのタイムラインで称賛された。 オリエンタリズムのクリシェに塗れた演目が終わり、選手入場のイベントが始まる。噂された『ドラゴンクエスト』序曲が鳴り響き、各国から選手が競技場へ歩み始めた。オーケストラはやがて『ファイナルファンタジー […]

【エッセイ】腕を組み頬を寄せ合うのが「女の友情」とは限らない

(by みくりや佐代子) 「ちゃんとお祝いをしたいから会おう」と送ったすぐ後に「忙しくて時間がとれないから繁忙期が終わったら連絡する」と返ってきたラインを見て、これは一体どちらだ、と首をひねった。本当に忙しいのか、それともただ単に今は会う気分じゃないのか。 そんな風に疑ったのは私自身が「忙しい」とい […]

【エッセイ】なかよし学級の子と遊びなさいと言われた話

(by 隷蔵庫) 私は多摩ニュータウンという場所に小学校卒業まで住んでいた。その時に出会った、印象に残っている女の子がいる。一つ下のいつこちゃん(仮名)という特別支援学級の生徒である。 いつこちゃんは彼女が小学4年生のとき、北海道から母親と一緒に多摩に引っ越してきた。彼女は私と一緒の団地に住んでいた […]

【エッセイ】「自分はこういう人間である」はだいたい錯覚らしい

(by みくりや佐代子) 部屋が綺麗になった。リビングのソファに積み重なっていた衣類たちは片付けられ、キッチンカウンターは本来の乳白色を取り戻した。ズボラで掃除嫌いの私にとって部屋が綺麗になったことは、娘の入学や第三子の妊娠をしのいで「この春の二大変化」の一つといってみても過言ではなかった。 部屋が […]

【連載/LIFE-】第8回:人生の半分を簡単に取り戻す方法

(by 葛西祝) 今回はとても簡単に人生の半分を取り戻す方法について教えましょう。前置きしますと、金銭や健康といったものを取り戻すものではないです。もしご期待したら申し訳ありません。 さて、人生の半分っていつだと思いますか? 40歳? 平均寿命を半分に割った結果ですね。じゃあ30代? そう単純じゃあ […]

【エッセイ】「可愛くなりたい」の病気には処方箋があった。コンプレックスと戦う全ての人へ

(by すなくじら) 私はたぶん、現在進行形で「可愛い」の病気にかかっている。可愛いは正義だ。顔が可愛ければ、なんでも許される。多少男癖が悪くたって、美人のあの子は「でも可愛いから」で許される。“顔は変えられないけれど、性格は変えられる”は、ほんとうは真逆。顔は今の時代、整形でもメイクでも変えられる […]

【エッセイ】21歳、キャバクラの防音扉を開けて、今私はここにいる

(by 翳目) 21歳の頃、私はフリーターだった。 専門学校を二年次の序盤で中退し、昼間はコンビニ店員、夜は都内のキャバクラで稼ぎを得る「キャバ嬢」として働いていた。キャバクラで働いていた、と言うと多くの人が意外そうな顔をする(し、自分でもよく働いていたなと感心する)が、夕方までコンビニで働き、夜は […]

【フリーに生きる】第5回:システム開発者・ゆきうさぎの場合〜選択できることのメリット〜

(by ゆきうさぎ) とあるIT企業の『会社員』を辞めて『フリーランス』となり、かれこれ5年が経過した。会社には10年ほど勤めていたため、3分の1をフリーランスとして過ごしたこととなる。早いものである。 なぜ10年もやっていた『会社員』を辞めたのか? 理由はいくつかあるが、その一つに『会社が求めてい […]

【エッセイ】半径2メートルに塩をまくように生きる

(by みくりや佐代子) 肌寒い日の信号待ち。喫茶店の入り口に大きな盛り塩を見た。お茶碗一杯くらいの。驚きのあまりじっと見入ってしまっていたようで、ちょうど店先の掃き掃除をしていた奥さんと目が合った。 「これ、おはらい用ですか?魔除けとか、そういうの?」一度気になると知らない人にも話しかけてしまう、 […]

【エッセイ】「やさしい世界」について

(by 冬日さつき) わたしはやさしい世界がすきだ、とよく話してきた。でも、実際「やさしい世界」というのは、どういうものなのだろうか。というか、そんなものは在りうるのだろうか。そもそも、やさしいというのは、どういう意味? みんなが笑っていて、争いのない世界? それでいて抑圧や怒りが存在しないこと?  […]

【フリーに生きる】第4回:ITコンサルタント・古藤総一郎の場合〜誠実な仕事がファンを呼ぶ〜

(by 古藤総一郎) 初めまして、現在、独立してITコンサルをやっているSoichiroと申します。 ITコンサルと言っても多くの人が想像するであろうコンサルタント然とした内容だけでなく、開発側出身のため自ら手を動かしシステム作ったり、コード書いたりもすれば、お客様になり代わり業者との折衝や社内調整 […]

【エッセイ】締め切りに関するある疑惑

(by とら猫) 最近ひそかに疑っていることがある。 締め切りは生きているのではないか、ということだ。 だってそうだろう。それまであんなに遠くに、地理的にはハワイあたりにあった締め切りが気がつくと大島沖まで迫っていて、あれよあれよという間にみなとみらいに上陸してゴジラのごとく暴れ回って、こちらは髪を […]

【フリーに生きる】第3回:あるITエンジニアの場合〜自分の心の声に従うこと〜

(by あるITエンジニア) 新卒で大きな会社に入り1年働き、調子を崩した。身体ではなく心のほうで。 新卒特有の何がわからないのかわからない状態であたふたし、先輩や上司に気を使いながら仕事をしていたストレス。日勤夜勤でひたすら作業しても、次の日にリセットされ振出しに戻ってしまう仕事。深夜2時の帰宅に […]

【エッセイ】14歳の私と堂本剛くん~かつてアイドルに本気の恋をした全ての人を肯定したい~

(by みくりや佐代子) 「アイドルを本気で好きになりました。どうすればいいですか?」 やべえ台詞だ。痛々しい。見るに堪えない。けれどこれは14歳の私だった。 KinKi Kidsを知った時期を覚えていない。あまりに当たり前に、ブラウン管の向こうの人気者として彼は現れた。中学生の私がレンタルビデオ店 […]

【エッセイ】270円でサカナクションに生きる力を貰った話

(by みくりや佐代子) 仕事を早めに切り上げて午後にふらりとヒトカラへ行った。 とりあえずサカナクション「新宝島」を入れて、一度目はPVを視聴する。リリースからはもう1年経つ曲だが自分の中でブームが去る気配がない。目に飛び込んでくるオレンジと白のバイカラーは真新しく、狭い部屋にたったひとりで大画面 […]

【連載/LIFE−】第7回:テキストにおける “若さ”から手を切るということ

(by 葛西祝) 若さを良いものと評することは多い。選手が全盛期を迎える期間が限られたスポーツはまさにそうだし、流行りのファッションや音楽からは誰でも良い意味で若さを捉えているだろう。 だけど多くの人が見て、若さがすぐに気づかれない分野がある。それがテキストにおける若さである。 毎日誰もが目にする文 […]

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