【フリーに生きる】第2回:小説家・岸馬きらくの場合〜「生きている時間」を増やすということ〜

  • URLをコピーしました!

(by 岸馬きらく

「やりたいことをやっている時間は生きている。やりたくないことをやっている時間は死んでいる。なるべく長く生きたいと思う」

これが作家・マンガ原作者そして創作コミュニティ『スタジオきらく』の運営をしている私、岸馬きらくの座右の銘です。この座右の銘について今から話をしようと思います。

私は三年前に小説家になるために警察官をやめました。このご時世に目を疑うような暴挙でしょう。

なんというチャレンジャースピリット、そんな無謀で情熱的な選択は私にはとても真似できない、と読者の方々は思うかもしれません。もちろん、そういう身投げのような熱い気持ちはありました。その辺の熱さが好きな方は岸馬の著書『新米オッサン冒険者シリーズ』を楽しく読んでもらえると思います。

ですがそういう熱い気持ち以外にも、岸馬の中で小賢しい計算に基づいた理由があります。

それが「やりたいことをやっている時間=生きている時間」と「やりたいくないことをやっている時間=死んでいる時間」の計算です。

皆さんも感覚的に分かることとは思いますが、金を稼ぐことだけが目的で好きでもないバイトなどをしている時は楽しくないですし「早く終われ」と常に思っているはずです。その時間は「あってほしくない時間」なわけです。岸馬はその時間を死んでいるのと同じと考えます。逆に特に義務感など無く自分がやりたいと思って何かをしている時は、それが多少苦しいことでも充実感と楽しさに満ちているはずです。心臓に心地よく血流が流れ心は満ち足りて、「生きている」と感じるはずです。そして、岸馬は俗物なのでなるべく長く生きたいと思っています。

その視点で見ると、公務員の仕事は素晴らしい仕事であり、やりがいのある仕事だというのは当然なのですが、少なくとも岸馬にとっては必要であっても「やりたいこと」にはなりえなかったのです。公務員の仕事はそれほど長くないという印象をお持ちの方はいると思いますが、それでも通勤時間もあるし部署によっては残業も多いものです。単純に計算して一日11時間くらいは仕事関係、要は「やりたくないこと」に時間を使うことになります。しかも、残りの13時間の大半を占める睡眠の時間すら「明日仕事だし寝なくちゃ」という義務のような睡眠になります。岸馬の体感としては、一日にやりたいことをやっている時間、つまり生きている時間は3時間程度になるかなと思います。土日のことを考えても平均して6時間と言ったところでしょうか?

短い。あまりにも短い。
定年までそんな短い時間しか生きられないと思うと、ゾッとしました。

ところが、フリーランスとして今の岸馬は一日中自分のやりたいことだけをやっている状態です。なにせ仕事がやりたいことなわけですから。さらに時間の自由もきくので睡眠も「寝るのが好きで寝たいから寝る」という状態になります。冗談抜きで義務感で何かをやっている時間が一秒もなくなりました。つまり「生きている時間」が一日24時間になったわけです。すでに、そうなってから三年経っていますが、私の「生きている時間」はすでに公務員として生きてきた場合の4倍の量が積みあがっています。もう12年分も生きているのです。こんな幸せがあるでしょうか? あのまま公務員を続けていたら、同じだけの時間を生きる頃には岸馬はアラフォーになっています。定年になるころまでには、どれだけ差が開いているか分かりません。

以上が、岸馬が公務員をやめることができた小賢しい計算になります。極論だなと思う方もいるとは思いますが、もしフリーランスになるか考えている方は、こういったちょっと変わった価値観も参考にしてみてはいかがかと思います。

++++
画像:photoBさんによる写真ACからの写真

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

代表作は『新米オッサン冒険者』シリーズ、自作ラブコメをユーチューブ漫画化した『人生を諦めた美女を助けたらどうなるのか?』が累計500万再生を突破。創作コミュニティ「スタジオきらく」の運営など現在も様々なことに取り組んでいる。