2022年– date –
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映画
【ぼくが映画に潜るとき】第8回:『秘密の森の、その向こう』〜互いの哀しみを慰撫する「対等」な抱擁について〜
はんめを喪った哀しみを、ぼくはだれとも共有できずにいる。その実の娘である母とさえも。だからぼくはいまだに、はんめの死を現実のものとして認識できていない。もう1... -
日常
【恋愛エッセイ】愛するってどういうこと? 〜今こそ愛について考えたくなった〜
唐突だが、私はまだ人を愛したことがない。男の人をちゃんと好きになったことが、多分まだない。恋をしたことはもちろんある。最後に恋をしたのはいつだったかな、中学3... -
武道家シネマ塾
【武道家シネマ塾】第13回:『麻雀放浪記』~命を懸けて、笑ってみたい~
僕が48年間生きてきて、わかったことがある。物事に命を懸けられる人間には、勝てないということだ。 僕がまだ格闘技の選手だった頃、お付き合いしていた女性が格闘技に... -
ゲーム
【ノベルゲーム講座】第5回:新作『Silence of Switchblade』の原点を訪ねて 〜『さよならを教えて』における狂気とは 〜
(※本稿には『さよならを教えて』のネタバレが含まれます。未プレイの方はご注意ください) もし自分がゲームを作り始めた理由となったノベルゲームをひとつあげるとす... -
日常
【関根という名のうさぎ】第3話「秒針は回る」
こんにちは、関根です。関根という名のうさぎです。さらに言うと、関根という名の死んだうさぎです。 あんまり死んだ死んだ言うのもどうかと思い、あたかも死んでいない... -
漫画
【コミックレビュー】心の中に、雪が降る。私はそれをじっと見つめた~『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』に寄せて
子どもの頃、雪が降ると生まれ変わったような気持ちになれた。足をばたつかせ、海を泳ぐように雪の上を走る。かじかんだ指を雪の粒に滑らせ、おにぎりの形にして雪玉を... -
映画
【新作映画コラム】『すずめの戸締まり』~きれいごとでは終わらせない~
(*本稿では一部、映画の核心部分に触れています) 『すずめの戸締まり』を観るために映画館に行ったら、開始10分で寝てしまった。 つまらなかったわけではない。長い... -
日常
【フォトエッセイ】2枚目:祖母の姿、晴れた空、色づく葉、すべてを遺したいと思った日~写真という愛おしい記憶〜
新品の、まだ1枚も撮っていないインスタントカメラ。今日はこれがないと始まらない。絶対に持って行って、遺さなければならない光景がある。 その日、私は東京・錦糸町... -
映画
【武道家シネマ塾】第12回:『線は、僕を描く』~横浜流星の狂気~
横浜流星には、不思議なくらいマッチョイズムの匂いがしない。極真空手という、“マッチョイズムの結晶”のような格闘技をしていたにもかかわらずだ。僕も90年代に極真空... -
ゲーム
【ノベルゲーム講座】第4回:ノベルゲームの演出を、刑事ドラマ『ケイゾク』から考えてみる
ノベルゲームを制作しているとさまざまな困難に遭遇する。なかでも多いのは、テキストをちゃんと書いた、スチルも良いのができあがった、音楽もピッタリなものを用意し... -
日常
【エッセイ】私と世界のキリトリ線
会社員を辞めた2016年には絵空事に近かった「ものを書いて暮らしていきたい」という希望は、今のところ達成されつつある。 生活費を稼ぎながらスキマ時間で配信コンテン... -
日常
【関根という名のうさぎ】第2話「月に帰らないうさぎ」
こんにちは、関根です。関根という名のうさぎです。 今しがたインターホンが鳴って、大きなダンボールが届きました。その中には、先日飼い主その①がいつものようにネッ... -
ゲーム
【ゲーマーの恩返し】第1回:“今と昔のゲーム好きをつなぐノベルゲーム”を作る理由
「レトロゲームとは、どのくらい前に出たものからのゲームをさすのか?」 という話題は、する時期で基準がズレていくものだし、時代の線引きでなぜか悶着がおきやすいの... -
映画
【新作映画コラム】『マイ・ブロークン・マリコ』~傷を抱える私が観た、“大丈夫になるための”物語〜
どうしようもない不安に駆られ、安定剤を手に取り、夜のしじまの中で思うことがある。どうか、私に「大丈夫だよ」と言ってくれる人がそばにいてくれますように、と。そ... -
映画
【新作映画コラム】『LAMB /ラム』〜剥奪されたアイデンティティの物語〜
(*本稿には一部、映画のネタバレが含まれます)真におぞましいのは“人ならざるもの”の存在やその誕生なんかではなく、絶対的強者たちの純真かつ無自覚な傲慢さなので... -
日常
【エッセイ】職業選択の自由、あははん
僕の初めての就職は、わずか半年で終わった。職場はいい人ばかりで歓迎会まで開いてもらったが、本来の自分の属性(体育会系の文科系)とは真逆の仕事(理数系)による... -
関根という名のうさぎ
【関根という名のうさぎ】第1話「うさぎの口は堅い」
わたしは今、牧草を食べています。牧草はいつもプラスチックケースの中にたっぷりこんもり盛られていて、時間無制限の食べ放題です。ケースのふちに前足をのせて、牧草... -
映画
【名画再訪】劇薬『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のヤバさを説明したい
夏だ!!ブチ上がりたい!!!ムダに血湧き肉躍るこの季節、持て余した熱をどう発散させようか。フェス?ビアガーデン?海?どれも全然ブチ上がらない。滾っているのは... -
映画
【ぼくが映画に潜るとき】第7回:『ボヘミアン・ラプソディ』〜フレディ、ぼくの永遠のヒーロー〜
フレディ、もし初潮が来る前にあなたに出会えていなかったら、ぼくは果たして今日まで生き延びることができただろうか。 月9の主題歌『I Was Born To Love』を高らかに... -
映画
【新作映画コラム】『NOPE /ノープ』~本当に“ありえない”ものは、果たして誰なのか
(*本稿では一部、映画の核心部分に触れています)「ノープ」は、「ありえない」「無理」という拒絶の意味を持つ言葉である。元々は「no」を強調させるために「nope」... -
映画
【武道家シネマ塾】第11回:『GONIN』~宝物は、いつの間にかなくなっている~
親譲りの無鉄砲で、子供の頃から損ばかりして──いや、両親は堅実で真面目な人たちだ。 無鉄砲で損ばかりしてきたのは僕だけである。 なんの影響なのか、「男は侮辱され... -
映画
【名画再訪】それでも私は『インスタント沼』が好きだと言い続けよう
その昔、街コンに参加したときのこと。 参加者に配られたプロフィールシートの中に「好きな映画」という項目があったので、私は正直に『インスタント沼』と書いた。いや... -
映画
【映画レビュー】『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』〜でっかいことはいいことだ〜
(*本稿には映画の内容に関する若干のネタバレが含まれます!)でっかいものが大好きな友達がいる。「巨大」とか「長大」という言葉に大笑いし、「モルヒネ規定量の500... -
日常
【エッセイ】「何かに夢中になる人」の成功を喜べない
三杯目のアイスカフェラテを注文するのを躊躇した。目の前には、やけにハツラツと注文をとる学生アルバイトが立っている。おあずけを食らっても次の餌が貰えると信じて... -
テレビドラマ
【ドラマレビュー】思わず若返る胸キュンロマンス、Netflixドラマ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』にハマった三十路の悶絶ダイアリー
どうも、15歳に若返った安藤エヌです。 嘘です、今年で満30歳のアラサーならぬサーの安藤エヌです。いかがお過ごしでしょうか。なぜこんな出だしから始まるかというと、... -
映画
【名画再訪】『プロミシング・ヤング・ウーマン』〜性暴力がある世界に生きている〜
(※この記事には性暴力に関する記述が含まれます。) 最近、立て続けに周囲で起きた性被害の話を聞いた。テレビやネットで次々と性被害の告発がある中、告発できない被... -
映画
【映画レビュー】高齢者が安楽死を選択する社会『PLAN 75』〜早川監督はどこまで当事者として映画を撮っていたのか?〜
「見えないところで死ね」──それが街を行きかう人々や電車に乗る人々の総意なんだと僕は思い込むことがあって、精神が壊れそうになることも多い。精神が壊れた人は社会... -
映画
【武道家シネマ塾】第10回:父が観て、僕が観た『椿三十郎』
僕の父は武道・格闘技と映画が好きで、僕が武道家兼映画ライターになったのは、そんな父に育てられたからだ。 中学生になった僕は、サッカー部に入った。サッカーには1... -
日常
【フォトエッセイ】1枚目:写真で切り取る、日々是好日~1輪の花と老婦人との出会い〜
アザミのとげに触れるみたいに、胸がちくちくと痛いときがある。今がそれだ。ひとつの物事に対して受け取る感情が人一倍多い私は、日々の変化に直面するたびしばしば心... -
映画
【映画レビュー】『ベイビー・ブローカー』〜母親は赤ん坊を「捨てた」のか、それとも「託した」のか
(by 碧月はる)“この世に生まれなければ良かった命など存在しないと、自分は彼らに言い切れるのか?” 映画『ベイビー・ブローカ―』の公式サイトに記載されている、是枝...