こばやしななこ

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【映画エッセイ】ジョエル・コーエン監督『マクベス』が描く、疲れた還暦超えマクベスの悲劇

(by こばやしななこ) 幾度となく再演され映画化されてきたシェイクスピアの名作『マクベス』が、コーエン兄弟として知られるジョエル・コーエン監督の手によって映画化された。コーエン版『マクベス』は、省略や脚色を施しつつ原作の台詞をふんだんに使用し、極めて原作に忠実に作られている。それにもかかわらず、観 […]

【エッセイ】トイレットペーパーとお尻の尊厳

(by こばやしななこ) 乙女のカリスマこと作家の嶽本野ばら先生が「キティちゃんのトイレットペーパーしか使わない」とエッセイに書いてらした。 思春期から彼の作品に影響を受けまくっていた私は読んでさっそく感銘を受け、キティちゃんのペーパーを探した。そんなもんどこにも売っていやしなかった。 エッセイは「 […]

【映画エッセイ】あたしゃ、ケネス・ブラナーの魅力を語らせてもらうよ!

(by こばやしななこ) ケネス・ブラナーをご存知だろうか?最近では『テネット』の武器商人として知っている人も多いはず。私と同世代のアラサーたちには『ハリー・ポッターと秘密の部屋』のロックハート先生といえば通じるだろうか。 物心ついた時からケネス推しな私は、彼の監督作『ベルファスト』がアカデミー賞の […]

【映画エッセイ】『パワー・オブ・ザ・ドッグ』〜男らしさの犠牲者〜

(by こばやしななこ) なぜ、彼はああなってしまったのだろう。なぜ周りから愛されないふるまいばかりするのだろう。ドスドスと床を踏み鳴らす祖父の気配を感じながら、息をひそめいつも考えていた。なぜ?と。 両親が離婚してから数年、母と祖父と一緒に暮らした。何年一緒に暮らしても家族だとは思えなかった。一緒 […]

【エッセイ】脚本コンクールの最終選考で落ちた話

(by こばやしななこ) 2021年、10月某日。パソコンの前に座った私は、1分ごとにクロームの更新ボタンをクリックしていた。開いているのは「創作テレビドラマ大賞」という脚本コンクールの選考ページだ。最終選考には、私の名前が残っている。 この後は、最終選考に残った10本から大賞1本と佳作2本が選ばれ […]

【エッセイ】絶望名人カフカの人生論〜ネガティブだけどチャーミングな人〜

(by こばやしななこ) ときどき読み返す本の中に『絶望名人カフカの人生論』がある。 20世紀を代表する作家・カフカが残したネガティブな名言を集め、編訳の頭木弘樹さんが解説を加えた本だ。冒頭でまず、カフカのこんな言葉が取り上げられている。 「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかっ […]

【映画エッセイ】『燃えよ剣』にハマって京都に行ったら新撰組のヤバさに気づいた話

(by こばやしななこ) うら若き16歳の春、私は新撰組に熱狂していた。 司馬遼太郎の歴史小説『燃えよ剣』のせいだった。 『燃えよ剣』は土方歳三がまだ何者でもない道場に通う若者だった頃から、新撰組の副隊長となって五稜郭の戦いで最期を迎えるまでを描いた作品だ。 かなりのエンタメ小説で、私はすっかり土方 […]

【エッセイ】妄想ライフのススメ

(by こばやしななこ) 生きるって大変。エコバッグ持ってても買い物に忘れず持っていけたことはないし、ぼーっとしてるとレジ袋も貰い忘れて袋だけ買いにレジに並び直すハメになる。憂鬱を切り替えるために丁寧に淹れたコーヒーも、手がすべって床にぶちまけた。コーヒーと一緒に食べようと思って焼いたクロワッサンは […]

【映画レビュー】『シンデレラ』〜魔法使いがビリー・ポーターでなければならない理由〜

(by こばやしななこ) 「たとえ辛い時も信じていれば夢は叶うもの」 ディズニーアニメ版『シンデレラ』が伝えるメッセージはこれに尽きる。描かれているのはどんな境遇にあっても卑屈になることなく、夢を諦めず優しく誠実でいる人の魅力だ。私は何度も何度も「たとえ辛い時も信じていれば夢は叶うもの」とシンデレラ […]

【映画レビュー】『ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている』単なる成功譚ではなく、10代の痛みと喜びに満ちたドキュメンタリー映画

(by こばやしななこ) 時代のアイコンになったビリー・アイリッシュ 洋楽をあまり聞かない人でも、ビリー・アイリッシュの名は知っているのではないだろうか。2019年に発売されたデビュー・アルバムは18カ国で1位になり、翌年のグラミー賞を取りまくった。2001年生まれの少女は、世界に注目され時代のアイ […]

【映画エッセイ】『ノマドランド』に、キヨちゃんがいるような気がした。

(by こばやしななこ) なんて美しいんだろう。 観ている間、何度もそう思った。 マジックアワーのブルーとオレンジとピンクが淡く溶けこんだ空を背景に平原をファーンが歩いていくシーンなんか、言葉での描写ができないほどきれいだった。画面を左方向に歩いていくファーンが右手に持ったランプが、白いスカート越し […]

【映画レビュー】『Mank/マンク』〜せっかくNetflixに登録してるなら観て!という話〜

(by こばやしななこ) デヴィッド・フィンチャー監督のオリジナル長編映画『Mank/マンク』が昨年12月からNetflixで配信されている。マンキーウィッツ(通称マンク)という脚本家がアメリカ映画史で傑作とされる『市民ケーン』の脚本を書く経緯を、史実にフィクションを織り交ぜつつ映画化したものである […]

【名画再訪】『ドント・ウォーリー』〜あんたの自己憐憫に一言いわせて〜

(by こばやしななこ) 「そんな疲れた歩き方をしても誰も同情しませんよ。」 高校の部活帰り、商店街の本屋で立ち読みした本の一節にグサっと心をえぐられた。疲れると周りに気遣ってもらうためにすぐ「私は疲れていますよ」と全身からダダ漏らすような態度をとる自分を見透かされたようでいたたまれなかった。考えて […]

【エッセイ】シュレーディンガーの彼

(by こばやしななこ) トイレのドアを開けるとき「中に誰か入っているかも」という思いが頭をよぎる。「同居人が入っているかも」という意味ではない。「知らない誰かが、そこに隠れているかも」という意味だ。 トイレだけじゃない。 窓の外を見るときにはベランダに誰かいるんじゃないかと思うし、玄関のドアを開け […]

【エッセイ】さようなら、ラーメンズ〜衝撃をうけた読書対決のこと〜

(by こばやしななこ) ラーメンズの小林賢太郎氏が、パフォーマーとしての活動を引退した。 ラーメンズといえば、多摩美術大学で出会った小林賢太郎氏と片桐仁氏が組んだコントユニットである。もしこれを読んでいるあなたが彼らについて知らないなら、YouTubeで公式アカウントがコント動画をたくさんアップし […]

【映画レビュー】『ソウルフル・ワールド』〜私たちただ生きているだけで十分じゃない?〜

(by こばやしななこ) わわわ。ピクサーの新作映画『ソウルフル・ワールド』が良すぎて、感極まっている。 『ソウルフル・ワールド』は新型コロナウィルスの影響を受けて劇場公開が中止され、去年の12月25日にディズニー+で独占配信された。正直、最高の作品がしかるべき環境で上映されないのは、あまりにもった […]

【名画再訪】『ロスト・イン・トランスレーション』〜言葉にすると、抜け落ちてしまうもの〜

(by こばやしななこ) 「最も個人的なことが、最もクリエイティブなこと」 『パラサイト』でアカデミー監督賞を受賞したポン・ジュノ監督は、スピーチでマーティン・スコセッシ監督のこの言葉を紹介した。 個人的なことを描いた映画の傑作は数あれど、私が真っ先に思い浮かべるのは『ロスト・イン・トランスレーショ […]

【名画再訪】『エターナル・サンシャイン』を観ておセンチに泣く夜

(by こばやしななこ) センチメンタルになって泣きたい夜がある。私がもっと美人なら、こうゆう感情にはならないのだろうか。とにかくそんな夜には『エターナル・サンシャイン』を観てさめざめ泣くのが一番だ。 初めてこの映画を観たときは、感情が大きく動くことはなかった。そこからいろんな経験といくつかの恋愛を […]

【エッセイ】シネマライズのあった渋谷

(by こばやしななこ) 渋谷のスペイン坂を上がったところに、シネマライズという映画館があった。 シネマライズ。その名を口にしただけで、お腹の奥がきゅっと切なくなる。私の憧れが詰まった場所。今はもう存在しない場所。 私の地元は鳥取県の港町だ。日本で1番人口が少ない県には当然、ミニシアターなどない。シ […]

【エッセイ】『すべて忘れてしまうから』〜恋人に「この人、稲垣吾郎と同い歳なんだよ」と言ったこともすべて忘れてしまうのだろうか〜

(by こばやしななこ) 燃え殻という奇妙なペンネームの作家を知った時、私はジムでクロストレーナー(名称がわからなかったので「両手両足 一緒に動かす マシーン」と検索した)の上にいた。ジムの備え付けのテレビで、当時まだSMAPだった稲垣吾郎氏がMCをしていた番組『ゴロウ・デラックス』に燃え殻さんがゲ […]

【エッセイ】「お金に困る」の定義

(by こばやしななこ) 先日、母と電話をしていたら「私たちお金に困ったことってないよね」と言われた。 「そうだっけ?」と返さずにいられなかった。けっこう困ってきたと思うけど。 私が人生で一番裕福だったのは、4歳あたりだ。大企業に務める父と、主婦の母と暮らしていた。私は幼稚園に通いながらクラシックバ […]

【エッセイ】『ル・ポールのドラァグレース』〜批判を受け止めるための自尊心〜

(by こばやしななこ) 批判を受けとめることの難しさについて、考えている。 なぜそんなことを考えているのかといえば、数日前に日本配信が始まったアメリカの人気コンペティション番組『ル・ポールのドラァグ・レース』の新シーズンを駆け抜けるように見たあとだからだ。 『ル・ポールのドラァグ・レース』とは、シ […]

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