2021年5月

【推しの一作】愛しきものの不在とともに生きる~坂元裕二作品における「叶わなかった恋」への慈しみについて~

(by 遠山エイコ) 映画『花束みたいな恋をした』の大ヒットも記憶に新しい脚本家・坂元裕二。4月には東京、5月には札幌で朗読劇の公演があり(大阪公演は緊急事態宣言の影響により中止)、現在はドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』が放送中だ。 一世を風靡したトレンディドラマ『東京ラブストーリー』をはじめ、オ […]

【推しの一作】この生活はどこまでも続く〜『スーパーカブ』というライトノベル〜

(by 蛙田アメコ) 自分は乗らないバイクの話をします。 幸福は子猫の形をしているというけれど、孤独には形がないからこそ、こんなにも人を蝕むのかもしれません。自粛生活も丸々2年目、おおむね4ターン目に突入。ずるずると長引く、外圧によって発生する孤独。想像力に乏しい人間なのでアンネ・フランクの隠れ家生 […]

【映画レビュー】『街の上で』が描き出す夢の終着駅、安らぎの下北沢。

(by すなくじら) お気に入りのスニーカーの靴紐を結び、古びたアパートのドアを閉める。キィと情けない音が周囲に響いて、白い陽の光が目に染みた。 わたしの母は一人暮らしの相棒であるこのアパートを「女の子が住む物件ではない」と称しているけれど、わたしはそこそこ、今住んでいる物件が気に入っている。6畳の […]

【映画レビュー】『Mank/マンク』〜せっかくNetflixに登録してるなら観て!という話〜

(by こばやしななこ) デヴィッド・フィンチャー監督のオリジナル長編映画『Mank/マンク』が昨年12月からNetflixで配信されている。マンキーウィッツ(通称マンク)という脚本家がアメリカ映画史で傑作とされる『市民ケーン』の脚本を書く経緯を、史実にフィクションを織り交ぜつつ映画化したものである […]

【エッセイ】「自分はこういう人間である」はだいたい錯覚らしい

(by みくりや佐代子) 部屋が綺麗になった。リビングのソファに積み重なっていた衣類たちは片付けられ、キッチンカウンターは本来の乳白色を取り戻した。ズボラで掃除嫌いの私にとって部屋が綺麗になったことは、娘の入学や第三子の妊娠をしのいで「この春の二大変化」の一つといってみても過言ではなかった。 部屋が […]

【エッセイ】薄れはしても消えはしない。そんなピースを鞄に詰め込み、私たちは日々を歩く。

(by 碧月はる) 別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す君のドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ 『香水』~瑛人 この曲を聴くたびに、あぁ、と思う。大抵の思い出の傍らには、何らかの香りが存在する。 香りが連れてくるものは、記憶だけではない。入り乱れる感情の波も、無意識に連れてくる。穏 […]