2021年6月

【乙女ゲームレビュー】『黒蝶のサイケデリカ』〜冥界の扉の前でわたしたちが望む幻とは〜

(by すなくじら) ──もう一度、会いたい。──もう一度会えるなら。 “旅人が尋ねます。どうして君は泣いていたのか、と”“蝶は答えました。大切な片割れがいなくなって悲しいのだ、と”“それならば、サイケデリカへおゆきなさい”“この道のずっと先に、サイケデリカと呼ばれる楽園があって。死んでしまったもの […]

【名画再訪】『南瓜とマヨネーズ』~迷子だった私の耳に届いた優しさの道しるべ~

(by 遠山エイコ) 曖昧な物語が好きだ。 悪を懲らしめて正義が勝つとか、恋をして駆け引きをした先の結婚とか、物語に明確な結末はつきものだけれど、エンドロールまで観てもスッキリしない作品もあって、私はいつまでも、そういう物語のことを考えてしまう。 眉間にきゅっと皺を寄せながらパソコンの画面を閉じ、冷 […]

【エッセイ】腕を組み頬を寄せ合うのが「女の友情」とは限らない

(by みくりや佐代子) 「ちゃんとお祝いをしたいから会おう」と送ったすぐ後に「忙しくて時間がとれないから繁忙期が終わったら連絡する」と返ってきたラインを見て、これは一体どちらだ、と首をひねった。本当に忙しいのか、それともただ単に今は会う気分じゃないのか。 そんな風に疑ったのは私自身が「忙しい」とい […]

【名画再訪】映画と脚本はバディのような関係だ~映画『グリーンブック』を観て

(by 安藤エヌ) 久しぶりに面白い映画を観た。面白い、の定義は人それぞれ違うと思うが、私の場合、面白いと感じる映画には共通点がある。映画のシナリオを担う筋がしっかりしていてユーモアに富み、ストーリーが整っており、かつ感動の起伏を上手くコントロールする脚本の上で描かれている作品を、特に面白い映画と感 […]

【映画エッセイ】『ノマドランド』に、キヨちゃんがいるような気がした。

(by こばやしななこ) なんて美しいんだろう。 観ている間、何度もそう思った。 マジックアワーのブルーとオレンジとピンクが淡く溶けこんだ空を背景に平原をファーンが歩いていくシーンなんか、言葉での描写ができないほどきれいだった。画面を左方向に歩いていくファーンが右手に持ったランプが、白いスカート越し […]

【名画再訪】『しあわせのパン』~私にとってのカンパニオ〜

(by 碧月はる) パンの焼ける匂いは、人をしあわせへと導く。小麦の香ばしさとバターの芳醇な香り。思わず深呼吸をする頃には、すっかり心を手招きされてしまっていて、足は自ずとパンを頬張る瞬間へと向かっている。 私には、年の離れた二人の息子がいる。二人ともにパンがすきで、長男のお気に入りはメロンパン、次 […]

【エッセイ】なかよし学級の子と遊びなさいと言われた話

(by 隷蔵庫) 私は多摩ニュータウンという場所に小学校卒業まで住んでいた。その時に出会った、印象に残っている女の子がいる。一つ下のいつこちゃん(仮名)という特別支援学級の生徒である。 いつこちゃんは彼女が小学4年生のとき、北海道から母親と一緒に多摩に引っ越してきた。彼女は私と一緒の団地に住んでいた […]