評価

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【名画再訪】『パターソン』つつがない日々の生活こそが、豊かさの収斂であるということ

(by 翳目) それは不思議な感覚だった。まるで夢心地みたいな浮遊感があるのに、いつか何処かで体験していたかのようなリアルな描写が、映像を通して私の記憶の中をまさぐり続けた120分だった。 映画「パターソン」は2016年に製作されたアメリカ映画。主役はあの世界が誇る名作長編映画「スター・ウォーズ」シ […]

【映画レビュー】『羅小黒戦記』を観て~人間を憎みきれなかった妖精、風息に感じたやるせなさを考える〜

(by 安藤エヌ) やるせなさ、という感情について考えることが好きだ。 心が猛烈に締め付けられ、いてもたってもいられなくなる。なぜか。大抵はその「やるせなさ」は、抱いたところでどうにもならないことが多いからだ。 話題になっている中国のアニメ映画『羅小黒戦記』を観た。言いたいことは沢山あるのだが、登場 […]

【ホラーの嗜み】最恐映画『ヘレディタリー/継承』に怖がりラノベ作家が挑んだ話

(by 蛙田アメコ) ホラー映画がダメだ。なぜなら怖いから。「物書きたるもの、なんでもインプットしなくちゃね!」という志を一応持ってはいるものの、もうマジで無理なのだ。だって怖い思いなんて絶対にしたくないじゃないですか。 雷が鳴れば「撃たれて死ぬかもしれない」と恐怖し、外を歩けば「あの大きなトラック […]

【映画レビュー】劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』~人々の小さな営みは、すべてが歴史になる~

(by 蛙田アメコ) 劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。アニメシリーズから始まった、手紙の代筆をする女性――自動書記人形《ドール》として生きる元少女兵ヴァイオレットが『愛してる』を知り、『愛してる』を伝える物語の終着点だ。京都アニメーションの近年の代表作。 2020年11月9日の動員123 […]

【名画再訪】『エターナル・サンシャイン』を観ておセンチに泣く夜

(by こばやしななこ) センチメンタルになって泣きたい夜がある。私がもっと美人なら、こうゆう感情にはならないのだろうか。とにかくそんな夜には『エターナル・サンシャイン』を観てさめざめ泣くのが一番だ。 初めてこの映画を観たときは、感情が大きく動くことはなかった。そこからいろんな経験といくつかの恋愛を […]

【推しの一作】あなたの生きる世界は本当にノンフィクションですか?~真下みこと著『#柚莉愛とかくれんぼ』〜

(by みくりや佐代子) 想像はフィクションである。想像と実際は別物である。 けれど真下みこと著「#柚莉愛とかくれんぼ」は小説でありフィクションであり、現実である。「矛盾しているじゃないか」という声も聞こえてくるが、まさにその「矛盾」がスピード感をもって鮮やかに描かれているのが本作の見どころ。第61 […]

【エッセイ】『ル・ポールのドラァグレース』〜批判を受け止めるための自尊心〜

(by こばやしななこ) 批判を受けとめることの難しさについて、考えている。 なぜそんなことを考えているのかといえば、数日前に日本配信が始まったアメリカの人気コンペティション番組『ル・ポールのドラァグ・レース』の新シーズンを駆け抜けるように見たあとだからだ。 『ル・ポールのドラァグ・レース』とは、シ […]

【この一曲】天才になれなかったすべての私たちの余生に捧ぐ--ヨルシカ“八月、某、月明かり”

(by 満島エリオ) 25歳になったら死のうと思っていた。そればかり考えながら生きていた時期がある。 * ものごころついた時から、将来の夢は「小説家になる」だった。自分だけの物語を空想しては、それを一生懸命ノートに書き記した。多くの子どもが一度は通る道だ。 中学生の時、綿矢りさが最年少で芥川賞を受賞 […]

【名画再訪】『永い言い訳』〜どうしようもない大人たちよ、時には振り絞るように泣け〜

(by みくりや佐代子) 正しい母親像、正しい父親像についてこの頃よく考えている。 何をもって正しいというのかはっきりとした定めがないこの概念は、辞書を引けどネットを彷徨えどそれらしい形をしたものしかなくて、ドアの先にドアが続くようにいつまでも惑わされてしまう。 西川美和監督作品「永い言い訳」を観た […]

【名画再訪】『her~世界でひとつの彼女~』から見る近未来的で原始的な愛の形

(by みくりや佐代子) 「愛してる」だの「そばにいて」だの、恋愛には言葉がツールとして用いられることが多い。指輪というただの金属が「結婚しよう」という台詞によってプロポーズとみなされ、音楽でも甘い歌詞をもってしてラブソングだと認知される。言葉は道具であり、介在物だ。 あくまで言葉を操る「人間」に恋 […]

【映画レビュー】『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』〜誰しもみな自分の物語を生きていい〜

(by こばやしななこ) ずっとずっと公開を待ち望んでいた映画が、ついに公開された。 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は、言わずと知れた少女文学の名作小説『若草物語』を『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督が映画化したものである。 小説『若草物語』は、戦争で父がいない1年を母と […]

【名画再訪】『コードネームU.N.C.L.E』〜続編祈願!こんなに面白いスパイ映画ある?〜

(by 安藤エヌ) 『コードネームU.N.C.L.E』という映画がある。未見の方はえ?コードネーム?スパイ映画?アンクルっておじさん?と訝る人もいるかもしれない。何を隠そうこの映画、タイトルが面白いのはもちろん、中身も超絶ド級に面白いのだ。 監督はガイ・リッチー、主演はヘンリー・カヴィルとアーミー・ […]

【名画再訪】『百円の恋』〜心と体が連動しなきゃ生きてる意味がない!〜

(by みくりや佐代子) 自分に最も無縁な動詞は何だろうかと考えた時に、真っ先に浮かんだのは「闘う」だった。 生まれてこの方、武闘には縁がない。元ヤンキャラのバラドルが話す「嫌いな奴をタイマンでボコりました」などというエピソードトークを前にしても、一ミリも笑うことなく驚いて目を丸くしてしまう。大好き […]

【ゲームレビュー】『アンリアルライフ』〜打てば響くことで伝わるもの〜

(by とら猫) 素晴らしいゲームだった。いや作品だった。 こうした素晴らしいタイトルに触れるとき、私はいつも思う。これをゲームと呼んで良いものかと。ゲームの指し示すものが多様化し、教育や医療にも応用されている昨今ですら、ゲームと聞くや脊髄反射的に「子供の遊び」と結論づける人は少なくない。 少なくと […]

【名画再訪】『LEON』~大人を心に飼う少女マチルダと、その愛人について〜

(by 安藤エヌ) 困った。映画『LEON』についてレビューを書いてみようとしたものの、あまりに名作すぎて、中途半端な言葉でこの映画を説明したくない。何度観返しても、レオンとマチルダの愛をどんな言葉で説明したらいいのか分からずに頭を抱えてしまう。そもそも、2人の愛は説明が不要なのだ。あるいは、説明す […]

【名画再訪】『レディ・バード』〜模範的になれない私たちの映画〜

(by こばやしななこ) 自転車を盗んだことがある。女子高生だった。 友だちと隣の県の商業施設へ行こうと電車に乗ったが、二人の手持ちでは往復の電車賃が足りなかった。「ひと駅手前でおりて歩こう」と私が言った。 目的地より手前の見知らぬ駅で電車をおりると、見わたす限り畑だった。商業施設がありそうな気配は […]

【この一曲】フジファブリック“赤黄色の金木犀” 〜終わってしまった残りの月〜

(by 満島エリオ) フジファブリックの“赤黄色の金木犀”を聴くたびに思い出す人がいる。 1歳年上の、バイト先の先輩。いい人だったけれど、いかにもきゃぴきゃぴしている感じが、地味な私には少し苦手だった。大学を卒業した後彼女は地元に帰り、もう会うことはないだろうと思っていた。 それから1年ほど経った頃 […]

【ゲームエッセイ】死角から振り返る『ファイナルファンタジーVll』と『ファイナルファンタジーX』

(by 葛西祝) 名作は時間の経過に耐えうるという。よく言われる「名作は何度見ても発見がある」という言葉は、そもそも見る自分たちが変わり、視点が変わったことが大きい。時を経て、自分と環境が変わってしまっても、鑑賞に耐えうるからそう言われるのだと思う。 ファイナルファンタジーシリーズで屈指の評価を得た […]

【名画再訪】『愛の渦』~本当の自分に必要なのは、名前の要らない居場所〜

(by みくりや佐代子) 六本木のマンションの一室で行われるパーティー。そこには、ただただセックスがしたい大人たちが集う。「愛の渦」という映画の冒頭だ。常識の仮面を剥いで性に溺れる人達の人間模様を描いたその映画は、エロティックで過激だと2014年の話題をさらった。 主人公の陰気なニートを演じる池松壮 […]

【この一曲】the pillowsの“ハイブリッドレインボウ”と一緒に、いつか選ばれる明日を待つ

(by 満島エリオ) BUMP OF CHICKENが“ハイブリッドレインボウ”という曲を歌っていると知った時、「あれ?」と思った。バンプっ子の私は彼らの出したCDを全て網羅していたはずなのに、その曲を知らなかったからだ。一体なんだこれは、と調べて、それが『シンクロナイズド・ロッカーズ』というトリビ […]

【ゲームレビュー】『あつまれ どうぶつの森』〜いろんな人にやさしいじぶんだけの島〜

(by 冬日さつき) 幼いころ住んでいた家の押し入れに、今でもゲームがたくさんしまってあると母親が教えてくれた。かつての宝物を思い出したような気持ちになって、持って帰ってきてもらうことにした。たくさんのカセット(いまはもうそんなふうには言わないのだろう)やディスクを見て、すぐにいろんなことを思いだす […]

【この一曲】東京事変“私生活” 〜私を前へと歩かせ続ける遠くのあなたへ〜

(by 満島エリオ) ≪酸素と海とガソリンと/沢山の気遣いを浪費している≫このフレーズを耳にしただけで、わかる人はきっと胸をつかれる思いがするだろう。 東京事変、“私生活”。私もまた、この曲を何度聴き、何度背中を押されてきただろうか。 ≪酸素と海とガソリンと/沢山の気遣いを浪費して≫≪行ったり来たり […]

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