ドラマ

【推しの一作】愛しきものの不在とともに生きる~坂元裕二作品における「叶わなかった恋」への慈しみについて~

(by 遠山エイコ) 映画『花束みたいな恋をした』の大ヒットも記憶に新しい脚本家・坂元裕二。4月には東京、5月には札幌で朗読劇の公演があり(大阪公演は緊急事態宣言の影響により中止)、現在はドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』が放送中だ。 一世を風靡したトレンディドラマ『東京ラブストーリー』をはじめ、オ […]

【映画レビュー】~死ぬまで青春するわたしたちへ~『空の青さを知る人よ』

(by 蛙田アメコ) ◇31歳が青春映画にログインしました◇ 超平和バスターズ制作 、秩父三部作。『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』(2013年、テレビシリーズ)、『心が叫びたがっているんだ』(2015年、映画)に続いて、埼玉県秩父市を舞台とした長井龍雪監督の新作アニメーション『空の青さを […]

【映画レビュー】『帰れない二人』は愛ではなく情を描いた物語である

(by こばやしななこ) 好きな作品が1つ増えた。今から書くのはその映画についてだ。映画について書くたびに思うことだけれど、今から紡ぐ私の言葉はちゃんと読む人に作品の魅力を感じさせられるだろうか。ドキドキして、キーボードの上を指が彷徨う。勇気を出して書き始めてみるので、しばし耳を(目を)貸してもらえ […]

【映画レビュー】『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』~ぼくらは勇者じゃないけれど~

(by 満島エリオ) 私はゲームをほとんどしない。誰かがプレイしているのを、いつも後ろから見ていた。『ドラゴンクエストV』もそうだ。3才年上の兄がスーパーファミコンでプレイしているのを肩越しに見てた。だけどすごく印象に残ってる。この長く、不思議な物語。 * 生まれた直後、母マーサを魔物・ゲマにさらわ […]

【映画レビュー】誰だって完璧な親にはなれないけれど『ガラスの城の約束』

(by こばやしななこ) 『ガラスの城の約束』を観た後、一緒に鑑賞した友人と駅までの道のりを親子の関係などについてあれこれ話しながら歩いた。一人で観に行かなくてよかった。鑑賞後の感情を一人胸に抱えたまま帰るには、あまりに心が混沌としすぎていた。 本作はジャネット・ウォールズという女性が書いた自叙伝の […]

【映画レビュー】『あの日々の話』で思い出す、過ぎし日の“オール”の感覚

(by こばやしななこ) 『あの日々の話』を観終わった時、なんとなく『マリー・アントワネット』が思い浮かんだ。 ソフィア・コッポラが監督した映画『マリー・アントワネット』は歴史大作のようでいて、14歳で強制的にフランスに嫁がされた少女がヴェルサイユで過ごした青春の物語になっている。 マリーと夫のルイ […]

【映画レビュー】米副大統領ディック・チェイニーの半生をブラックユーモアたっぷりに描いた『バイス』

(by こばやしななこ) NYの高層ビルが煙を上げている映像を、実家の2階でテレビ画面を通して見ていた記憶がある。夜遅く、そろそろ寝ようとしているところだった。一体何が起こっているのか把握できずボーっとテレビを見ていると、急にそのビルに飛行機が突っ込んだ。なにこれ、今、起きたの?現実に?唖然としてい […]

【映画レビュー】『グラン・トリノ』と対をなす贖罪の物語『運び屋』

(by とら猫) イーストウッドの映画を観るということは、イーストウッドを体験するということだ。 こうした特性はイーストウッドが七十歳を過ぎて以降、監督と主演を兼任した作品において顕著に見られる。『ミリオンダラー・ベイビー』しかり、『グラン・トリノ』しかり。演じるのは架空の人物でも、そこに投影されて […]

【映画レビュー】『運び屋』~人生は常に一日しかない~

(by こばやしななこ) 87歳の老人がドラッグの運び屋をする実話を、クリント・イーストウッドが監督・主演すると聞いて、それはさぞ渋いハードボイルドな映画だろうと想像していた。 いざ、劇場に足を運ぶ。映画が始まると画面いっぱいのキレイなお花。お花。お花。お花キレイ。のどかな園芸農場、洒落たスーツとハ […]

【連載/字幕翻訳者の“この台詞が好きなんです”】第5回: 銃弾よりも人を傷つける言葉『L.A.ギャングストーリー』

取り消せないことが2つある。撃った弾と言った言葉だ。 Two things you can’t take back on this job, bullets out of your gun and words out of your mouth. 映画『L.A.ギャングストーリー』より […]

【映画レビュー】月面着陸のリアルを今体験する『ファースト・マン』

(by こばやしななこ) 初めての虫歯治療で奥歯に被せ物をした時、ああ、もう宇宙飛行士になれない、と思った。虫歯になったことがあると宇宙飛行士になれない、とどこかで聞いたことがあったのだ。実際はちゃんと治療してあれば、宇宙に行くことは可能らしい。とにかくこの時私は、将来の可能性から宇宙飛行士を消去し […]

【連載/映画ホルマリン漬け】第4回: 『恐怖の報酬 オリジナル完全版』~スターも銭を稼ぐのは大変だ~

(by とら猫) きっつ。銭かせぐのきっつ。 と初めて音を上げたのは、花屋のビラ配りの仕事だった。別に花が好きだったり、看板娘にホの字(死語)だったりしたわけではなく、当時大学生だった私はご多分に漏れず銭がなかったので、アンだかフロムエーだかで見かけた近所のビラ配りのバイトに申し込んだところ、花屋へ […]

【映画レビュー】危険な雪山でイドリスと過ごそう『ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間』

イドリス・エルバを雪山で独り占めしてウハウハ。 そんな世界中のイドリス愛好家が泣いて喜ぶような映画が、ここに登場した。しかもタイトルは『ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間』ときた。三度の飯よりもイドリスが好きという諸兄なら、このタイトルを聞いただけで胸は高鳴って「熊蜂の飛行」を奏でだし、心臓は […]

【連載/隠れ名画のすゝめ】第5回: 『ボヘミアン・ラプソディ』の監督が贈るもう一つの伝記映画『イーグルジャンプ』

(by あでゆ) 以前、塾講師をしていた頃のある生徒の話をしましょう。その子は高校1年生からの3年間を卒業まで受け持っていて、はっきりいって全く勉強ができない生徒でした。九九すらもおぼつかず、「七の段は?」と聞けば一個ずつ足して数えてしまうほど。当然勉強に対してやる気もなく、担当になってはじめの頃は […]

【映画レビュー】『ボヘミアン・ラプソディ』~時代を越えた“伝説”のミュージシャン~

(by 長夏実) フレディ・マーキュリーが亡くなった1991年に私は生まれた。 物心ついたときから『クイーン』は伝説のバンドであり、CMやドラマでも彼らの曲は当たり前のように使われていた。クイーンの絶世期をリアルタイムで経験できないことが非常に残念だ。フレディ・マーキュリーがシャウトしている姿を、テ […]

【映画レビュー】フレディを追いかけた旅の果て『ボヘミアン・ラプソディ』

(by とら猫) 思えば、ずっとフレディを追いかけてきた。 最初に聴いたクイーンのアルバムは確か『イニュエンドウ』で、当時はヘヴィメタルしか聴いていなかった私に、やっぱりヘヴィメタルしか聴かない友だちが、主にヘヴィメタルのことしか載っていない『BURRN!』という雑誌と一緒にCDを貸してくれたのでは […]

【映画レビュー】『パーフェクト・ワールド』~“Trick or Treat!”の持つ意味とは

(by あでゆ) 仕事の関係でほとんど父が家に帰ることがなかった家庭環境において、私の父親像はひどく曖昧なものだった。数える程しかない、父と何かを行ったという記憶の中で最も印象深いのは、一年ほど続いた一緒に映画を観にいくという習慣だ。毎週水曜日、学校帰りにそのまま父の車に乗って近所の映画館に連れられ […]

【連載/隠れ名画のすゝめ】第2回: オトナになりきれない人への『21ジャンプストリート』

(by あでゆ) 先日、『ペンギン・ハイウェイ』という映画を観に行ってきました。アオヤマ君と呼ばれる秀才小学生と、彼の近所で歯科助手として働くお姉さんを中心としたジュブナイルSF作品です。 アオヤマ君にとって、お姉さんは初めて恋心を抱く異性です。男性であるアオヤマ君にはないものを持った彼女は、彼にと […]

【映画レビュー】『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』~私の中のバトル~

(by 長夏実) 大学生の頃の私は、パティ・スミスやライオットガールムーブメントについて興味津々で、「パンクロック界におけるジェンダーロールの変化」をテーマに研究していた。それからも、“女である”というだけで経験した不快な思いや、フェミニズムムーブメントについての自分の考えをつづったZINEを作り、 […]

【映画レビュー】『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』~闘いは終わっていない~

(by 吉野山早苗) 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を観たのは、名前だけは知っていたビリー・ジーン・キングの来し方に興味があったのと、エマ・ストーンとスティーヴ・カレルという、好きな役者が主演だったからだ。 髪を濃いブラウンにし、眉のところで前髪をぱつんと切りそろえ、さらに野暮ったい眼鏡をかけてい […]

【映画レビュー】『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』~旧来の価値が崩れゆく現実に耐えられない嗚咽~

(by 葛西祝) 昨年からの#MeToo、そして性や人種、障害の多様性が語られる現在。この流れで自分が注目しているのは、むしろ既存の社会的な価値で優位な立場である男性だ。がらがらと旧来からの価値が崩壊をはじめるとき、優位な立場だったはずの人間のひとりひとりが何をもって自意識を保っていたのかがはっきり […]