レビュー

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【映画レビュー】死者となって死後の世界を見つめる92分間『ア・ゴースト・ストーリー』

(by 冬日さつき) 小さい頃、わたしはいまよりもずっと死を恐れていた。なにげなく遊んだ占いのゲームに「あなたの寿命は36歳です」と伝えられ、それからしばらく毎日布団の中で死について考えていたのだ。ちょうど当時の母の年齢がそれとほとんどおなじだったこともあって、わたしはその運命を受け入れようと必死だ […]

【映画レビュー】シャマラニストたちよ、快哉を叫べ『ミスター・ガラス』

(by とら猫) 叫べ、快哉を。 シャマラニストである君は今まで幾度となくセンスを疑われ、鼻で笑われ、肩身の狭い思いを味わってきたにちがいない。当然だ。 宇宙人の侵略をお茶の間レベルで描いた『サイン』、植物によるテロという斬新すぎるコンセプトで主演のマーク・ウォルバーグをして“失敗作”と言わしめた『 […]

【映画レビュー】月面着陸のリアルを今体験する『ファースト・マン』

(by こばやしななこ) 初めての虫歯治療で奥歯に被せ物をした時、ああ、もう宇宙飛行士になれない、と思った。虫歯になったことがあると宇宙飛行士になれない、とどこかで聞いたことがあったのだ。実際はちゃんと治療してあれば、宇宙に行くことは可能らしい。とにかくこの時私は、将来の可能性から宇宙飛行士を消去し […]

【映画レビュー】満を持して現代に蘇った『シティーハンター 新宿プライベート ・アイズ』

(by シェループ) 幼い頃、よく見ていたアニメは、と聞かれたら『ルパン三世』と『シティーハンター』の二作を挙げる。 何をきっかけにその二作を見るようになったのか。今となっては記憶にない。ただ、いずれも車が発端だったように思う。特に『シティーハンター』の主人公、冴羽リョウが乗り回す「ミニクーパー」に […]

【ノベルゲームレビュー】すべての百合好きは『Butterfly Soup』をプレイすべし

(by 蛙田アメコ) 理想のノベルゲームだ、これ。 私はプレイが終わった後、しばし茫然とモニターの前から動けなかった。頼む、すべての百合好きはこのゲームをプレイしてくれ!! そして私と語ってくれ!!! そのゲームの名は、『バタフライ・スープ(原題:Butterfly Soup)』。 頼む。すべての百 […]

【ノベルゲーム】『Butterfly Soup』~日本が近い未来に訪れるおとぎ話~

(by 葛西祝) 『Butterfly Soup』をクリアしたときに思ったのは、「これは日本が向かう近い未来のことなのだろうな」ということだった。アメリカのオークランドに住む女の子たちが、野球をしながら仲良くなるストーリーは、この先に起こることが描かれている。 今年の新宿区で行われた成人式では新成人 […]

【映画レビュー】観る者の感受性が裁かれる壮絶なラスト『サスペリア』

(by とら猫) 『サスペリア』がリメイクされるらしい。 そういう噂が数年前に広まったとき、大半の映画ファン、というかアルジェントを偏愛する一部の好事家たちは耳を疑ったものだ。私も含めて。 だって、“あんなもの”をリメイクできるのか。 なぜなら『サスペリア』という映画は、そもそも“映画”と呼べるのか […]

【映画レビュー】ツウでもニワカでもロッキー好きなら必見『クリード 炎の宿敵』

(by こばやしななこ) 時は2001年。 寂れた港町。市内に1つだけあるTSUTAYAで借りてきた『ロッキー』のVHSをブラウン管テレビで見ている少女。それは11歳の私である。 子供というのは自分のヒーローを真似するものだ。その日から私はロッキーのトレーニングを真似て生卵を飲み、脳内でロッキーのテ […]

【ゲームレビュー】孤島で猫ちゃんを見つけよう『Hidden Paws Mystery』

(by とら猫) 猫好きの間では常識だが、奴らは隠れるのが巧い。 例えば拙宅に住んでいる猫ズもよく姿が見えなくなる。というか消える。マジで。いやいや消えるとか大げさでしょ、プリンセス天功じゃあるまいし、と今半笑いで呟いたあなたは一度、猫ちゃんとかくれんぼ勝負をしてみるといい。 奴らは必ずや、あなたが […]

【映画レビュー】危険な雪山でイドリスと過ごそう『ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間』

イドリス・エルバを雪山で独り占めしてウハウハ。 そんな世界中のイドリス愛好家が泣いて喜ぶような映画が、ここに登場した。しかもタイトルは『ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間』ときた。三度の飯よりもイドリスが好きという諸兄なら、このタイトルを聞いただけで胸は高鳴って「熊蜂の飛行」を奏でだし、心臓は […]

【ゲームレビュー】『GRIS』~ゲーム的物語表現の極致に触れる、喪失と再生のアクションアドベンチャー~

(by シェループ) アクションゲームに物語は要らない。このジャンルでは時々、そのような声が出ては議論になる。 背景にあるのはジャンルの性質だ。アクションゲームはその名の通り、キャラクターを動かし、作中の世界を直接体験することに主眼を置く。だからこそ、文章を読ませたり、長い映像を挟むなどの物語を想起 […]

【映画レビュー】両エースが去っても心配なしの面白さ『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』

(by とら猫) 前作『ボーダーライン』は掛け値なしの傑作だった。 『ブレードランナー 2049』の監督にも抜擢されたドゥニ・ヴィルヌーヴの描く、麻薬カルテルと米国政府のガチンコバトルは非情で、残酷で、それでいて詩的な美しさを湛えていた。 俳優陣もすばらしく、中でもエミリー・ブラントが善と悪の境界< […]

【映画レビュー】『ボヘミアン・ラプソディ』~時代を越えた“伝説”のミュージシャン~

(by 長夏実) フレディ・マーキュリーが亡くなった1991年に私は生まれた。 物心ついたときから『クイーン』は伝説のバンドであり、CMやドラマでも彼らの曲は当たり前のように使われていた。クイーンの絶世期をリアルタイムで経験できないことが非常に残念だ。フレディ・マーキュリーがシャウトしている姿を、テ […]

【映画レビュー】フレディを追いかけた旅の果て『ボヘミアン・ラプソディ』

(by とら猫) 思えば、ずっとフレディを追いかけてきた。 最初に聴いたクイーンのアルバムは確か『イニュエンドウ』で、当時はヘヴィメタルしか聴いていなかった私に、やっぱりヘヴィメタルしか聴かない友だちが、主にヘヴィメタルのことしか載っていない『BURRN!』という雑誌と一緒にCDを貸してくれたのでは […]

【映画レビュー】オレたちのトムハと一緒に皆で『ヴェノム』になる

(by とら猫) 何か別のものになりたい、いわゆる「変身願望」というやつはおそらく、かなりの割合の人が持っているはずで、私なんかももちろん持っている。たっぷり。それが証拠にかつては自宅のクローゼットに、サルとカンガルーの着ぐるみを常備していた。 が、実際着てみると分かるが、変装は温度差との戦いだ。無 […]

【映画レビュー】オタクが『ヴェノム』を観にいくべき7つの理由

(by 蛙田アメコ) ■オタクが『ヴェノム』を今すぐ観に行くべき7の理由■人衣一体!!!! 神衣《カムイ》最ッ悪!!!! ……最近Amazonプライムビデオで再視聴した『キルラキル』があまりに良すぎたあまり、『ヴェノム』の紹介エッセイをこうやってはじめてしまった。オタクにはいつだって変身願望があるの […]

【映画レビュー】ケレン味たっぷりの翻訳から生まれる珠玉の台詞回し『カウボーイビバップ 天国の扉』

(by 蛙田アメコ) ■あなたは、ハードボイルドが好きか■突然だが、あなたはハードボイルドが好きか? 何を言っているかわからない? なるほど、それでは質問を変えよう。あなたは、『バトルシップ』は好きか。あなたは、『虐殺器官』が好きか。あなたは、『パシフィック・リム』が好きか。あなたは、『バイオハザー […]

【映画レビュー】『パーフェクト・ワールド』~“Trick or Treat!”の持つ意味とは

(by あでゆ) 仕事の関係でほとんど父が家に帰ることがなかった家庭環境において、私の父親像はひどく曖昧なものだった。数える程しかない、父と何かを行ったという記憶の中で最も印象深いのは、一年ほど続いた一緒に映画を観にいくという習慣だ。毎週水曜日、学校帰りにそのまま父の車に乗って近所の映画館に連れられ […]

【映画レビュー】日本語吹き替え版なら魅力は二割増し『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』

(by シェループ) ハロウィン。元は古代ケルト民族の宗教行事として始まり、19世紀にアメリカ大陸へと移民と共に渡った後、娯楽色の強い民俗行事として浸透した秋のイベント。日本国内も近年、関連イベントが盛んに開かれるようになり、すっかり10月末の恒例行事として、良くも悪くも注目を集めるようになった。 […]

【映画レビュー】『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』~私の中のバトル~

(by 長夏実) 大学生の頃の私は、パティ・スミスやライオットガールムーブメントについて興味津々で、「パンクロック界におけるジェンダーロールの変化」をテーマに研究していた。それからも、“女である”というだけで経験した不快な思いや、フェミニズムムーブメントについての自分の考えをつづったZINEを作り、 […]

【映画レビュー】『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』~闘いは終わっていない~

(by 吉野山早苗) 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を観たのは、名前だけは知っていたビリー・ジーン・キングの来し方に興味があったのと、エマ・ストーンとスティーヴ・カレルという、好きな役者が主演だったからだ。 髪を濃いブラウンにし、眉のところで前髪をぱつんと切りそろえ、さらに野暮ったい眼鏡をかけてい […]

【映画レビュー】『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』~旧来の価値が崩れゆく現実に耐えられない嗚咽~

(by 葛西祝) 昨年からの#MeToo、そして性や人種、障害の多様性が語られる現在。この流れで自分が注目しているのは、むしろ既存の社会的な価値で優位な立場である男性だ。がらがらと旧来からの価値が崩壊をはじめるとき、優位な立場だったはずの人間のひとりひとりが何をもって自意識を保っていたのかがはっきり […]

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