LIFE-(ライフマイナス)

【連載/LIFE-】第10回:「が」のお話

(by 葛西祝) 「が」について、ささやかなお話をしよう。まず、自己紹介のテキストを書くとする。 「ぼくは中学3年生ですが、来年4月から高校生になります」 このテキストはすぐ修正をかけることになる。手を加えたあとはこうだ。 「ぼくは中学3年生で、来年4月から高校生になります」 ダムのひび割れみたいに […]

【連載/LIFE-】第9回:“文化的荒涼”のなかで鳴る東京五輪開会式の『ドラゴンクエスト』序曲

(by 葛西祝) その音楽は “文化的荒涼”のただ中にて、Twitterのタイムラインで称賛された。 オリエンタリズムのクリシェに塗れた演目が終わり、選手入場のイベントが始まる。噂された『ドラゴンクエスト』序曲が鳴り響き、各国から選手が競技場へ歩み始めた。オーケストラはやがて『ファイナルファンタジー […]

【連載/LIFE-】第8回:人生の半分を簡単に取り戻す方法

(by 葛西祝) 今回はとても簡単に人生の半分を取り戻す方法について教えましょう。前置きしますと、金銭や健康といったものを取り戻すものではないです。もしご期待したら申し訳ありません。 さて、人生の半分っていつだと思いますか? 40歳? 平均寿命を半分に割った結果ですね。じゃあ30代? そう単純じゃあ […]

【連載/LIFE−】第7回:テキストにおける “若さ”から手を切るということ

(by 葛西祝) 若さを良いものと評することは多い。選手が全盛期を迎える期間が限られたスポーツはまさにそうだし、流行りのファッションや音楽からは誰でも良い意味で若さを捉えているだろう。 だけど多くの人が見て、若さがすぐに気づかれない分野がある。それがテキストにおける若さである。 毎日誰もが目にする文 […]

【連載/LIFE−】第6回:アカデミー賞にノミネートされながら、物乞いに堕ちたアニメ作家の物語

(by 葛西祝) さまざまなジャンルから、人生や日常の欠落についてを書く連載「LIFEー」6回目は、とある破滅的な経歴を送った作家の話をしよう。 あらゆる表現に関して、残された作品以上に生み出した作家のパーソナリティがフィーチャーされることは少なくない。その作家が苛烈な人生を送ったならばなおさらだ。 […]

【連載/LIFE-】第5回: POPEYEの村上春樹

(by 葛西祝) 雑誌でよくPOPEYEを読む。去年からおや、と感じたのは、村上春樹のエッセイが始まったことだ。はじめはすこし驚いたが、毎回読むうちに昔から書かれていたみたいに思えていった。毎回持っているTシャツについて書いていて、そのスムーズなテキストが、POPEYEのコンセプトへきれいに収まって […]

【連載/LIFE-(ライフマイナス)】第4回: ノンポリティカルの時代は終わった

(by 葛西祝) 令和に変わるまでの数か月、どこでも平成の特集や総括が行われていた。自分がこの30年で確信しているのは、様々なエンターテインメントにしろ、実際の態度にしろ、ノンポリティカルでいることが難しくなったことだ。 平成はノンポリティカルでいられる時代だった。作品と現実はまったく別物であり、政 […]

【連載/LIFE-】第3回: 名誉と報酬をめぐる物語としての格闘技

(by 葛西祝) 社会的に得ることのできる名誉と、仕事の対価である報酬にはどんな関係があるのだろうか? この関係を考えるうえで、少し前のMMA(※打撃、投げ技、関節技が許される総合格闘技の正式名称)以上に適したジャンルはない。ふたつの価値がドラマチックな展開を見せる、おそらく唯一のジャンルだからだ。 […]

【連載/LIFE-】第2回: 現実世界の向こうの現実へのアクセス

(by 葛西祝) 「現実からディスプレイの向こう側の作品世界と関わる」これはビデオゲームを遊ぶ構造を利用した仕掛けだ。この構造を押し出すことは、いまではメタフィクションということで語られやすい。 メタフィクションは賢い見方に思えるかもしれない。でも自分にとっての実質的なファーストインプレッションはち […]

【連載/LIFE-】第1回: ささやかな日常の感情についてを見つめるビデオゲーム

(by 葛西祝) 現実を生きるなかで実際にやることはささいな行動の数々だ。ほとんどはドラマチックな物事から切り離されている。朝決まった時間に起きる。朝食を作る。皿を洗う。服を着替える。歯を磨く。生活のおおよそは特別なこともない行動で埋められている。 ビデオゲームでは長らく、そんな生活の中で生まれる感 […]