ハシマトシヒロ

【武道家シネマ塾】第9回:『あゝ、荒野』~ユースケ・サンタマリアに憧れて~

(by ハシマトシヒロ) 10代の頃の僕にとって、寺山修司という名前は、自分自身を「文学青年」に見せるための便利なアイテムだった。 女の子と待ち合わせる時は、壁にもたれて『家出のすすめ』などを読んでいた。おしゃれに見えると思ったからだ。 本棚に、寺山修司を並べた。ついでに、中原中也やボードレールやラ […]

【武道家シネマ塾】第8回:『ロッキー3』~時代おくれの友情~

(by ハシマトシヒロ) 2022年3月。アカデミー賞授賞式において、ウィル・スミスは、司会者を平手で張り飛ばした。 同じく2022年3月。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』において、北条時政は、主君である源頼朝を罵倒し、袂を別った。 どちらのケースも、自分の大事なもの=家族を侮辱されたことに端を発 […]

【武道家シネマ塾】第7回:あなたが映画を勉強したいなら、『ロッキー2』だけ観ればいい

(by ハシマトシヒロ) 「ハシマさんがいちばん好きな映画はなんですか?」 自称映画通の同僚に尋ねられた。「年間200本観てる」と豪語しているヤツだ。なんか「通っぽい」タイトルを出さないとバカにされるかと思い、とっさに出たのが「『存在の耐えられない軽さ』かなぁ……」だった。 ウソです。いちばん好きな […]

【武道家シネマ塾】第6回:『ロッキー』~すべてのダメ人間に捧ぐ~

(by ハシマトシヒロ) 「格闘技しか取り柄がないのに二流の選手」昔、そんな陰口を叩かれたことがある。 うん、その通り。よく知ってるじゃないか。腹を立てても仕方がない。事実だから。悔しかったら強くなれって、じーちゃんが言ってた。 ロッキーもおんなじだ。 「ボクシングしか取り柄がないのに二流の選手」い […]

【武道家シネマ塾】第5回:『キッズ・リターン』~始まるんだよ、何度でも~

(by ハシマトシヒロ) 「俺たち、もう終わっちゃったのかな」「バカヤロー、まだ始まっちゃいねーよ」 あまりにも有名なエンディング。挫折し、傷つき、敗れ去った2人は、本当にもう終わってしまったのか。あるいは、まだ始まってすらおらず、これから始まるのか。これからどちらに転ぶのかは、観た人の想像にゆだね […]

【エッセイ】スネが折れただけやん。

(by ハシマトシヒロ) 人間のスネの骨は、意外と簡単に折れる。 よくあるパターンは、フルスイングしたローキックが相手の硬い部分(膝だったり、スネ同士だったり)に当たってテコの原理が働き、スネが真ん中で折れてしまうケースだ。初めて見た時は衝撃だった。スネが真ん中で90度に曲がって、膝の下にもう一個、 […]

【武道家シネマ塾】第4回:『キス・オブ・ザ・ドラゴン』~あの頃ジェット・リーは、もう少しでひとりのダメ人間を立ち直らせそうになった~

(by ハシマトシヒロ) 2001年。 大学まで出してもらったにもかかわらず、父親に怒鳴られ、母親に泣かれ、弟たちには白い目で見られ、「長男は元々いませんでした」という扱いを受けながらも、なんとか踏ん張っていた演劇活動も、すでにほぼ詰んでいた。 風呂無しトイレ共同で家賃一万七千円の木造アパートから、 […]

【武道家シネマ塾】第3回:『燃えよ剣』~そもそも美しさとは作れるものなのか~

(by ハシマトシヒロ) 『燃えよ剣』を観た。 原作、司馬遼太郎。監督、原田眞人。主演、岡田准一。 司馬遼太郎。言わずと知れた、歴史小説の大家である。『竜馬が行く』、『国盗り物語』、『関ヶ原』、『功名が辻』など、そのおもしろ過ぎる歴史小説の中でも、この『燃えよ剣』は国宝級のおもしろさである。全・日本 […]

【武道家シネマ塾】第2回:どんなに大人になっても僕等はサニー千葉の子供さ(後編)

(by ハシマトシヒロ) さて。 前回の記事を通じて、入門編としての“ヒーロー・千葉真一”を堪能してもらえたと思う。主演映画の面白さをわかってもらえたと思う。 本番はここからだ。今までの二作品は前座にすぎない。勝手に料金に加算されている、突き出しにすぎない。 この映画を見せるために、あえて“ヒーロー […]

【武道家シネマ塾】第1回:どんなに大人になっても僕等はサニー千葉の子供さ(前編)

(by ハシマトシヒロ) いやいや、千葉真一が死ぬわけないやん、だって千葉真一やで! ……と思っていたが、どうやら事実らしい。 『仁義なき戦い』シリーズで一緒に暴れまわっていた方たちが、どれだけお亡くなりになっても、千葉真一は死なないと思っていた。だって、たまにテレビで見かける姿は常に元気で黒光りし […]

【エッセイ】とある芝居の話〜嫌いな女性を嫁にしてみる〜

(by ハシマトシヒロ) 「あなたたち、全然夫婦に見えない!」作・演出の美奈さん(仮名・年下)が、怒って芝居を止めた。 二十数年前の僕は、あるお芝居の公演に参加していた。大きな芝居ではない。仲間内の芝居だ。その「仲間」というのも、所属劇団が解散した者、所属劇団をクビになった者、入りたい劇団に入れない […]

【映画レビュー】『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』~マシーンから「プロの普通」へ~

(by ハシマトシヒロ) ある日、このサイト『BadCats Weekly』の編集長であるとら猫さんよりメールが届いた。 「ハシマさん、映画評も書きたいって言ってましたよね?『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』で一本書きませんか?」 「一般的には昆虫学者としての面が有名な彼だが、実は彼は詩人でもあり、ま […]