(by 安藤エヌ

オタクにはみんな、推しがいる。推しがいるから生きていける。推しの幸せが私の幸せ──。

カルチャーライターであり生粋のオタクである私が「愛してやまないものたち」について奔放に綴る連載「安藤エヌのマイ・ラヴ・パレード」。記念すべき一回目は、スマホゲームアプリ『ツイステッド・ワンダーランド』のとあるキャラにドはまりしてしまった話をしたいと思う。

そもそも『ツイステッド・ワンダーランド』って何?という読者が多くおられると思うので軽く説明すると、ディズニーが若者向けに開発したスマホゲームアプリだ。ディズニー作品に登場するヴィラン(悪役)を偉大な賢人として校風の規範に掲げている全寮制の学校が舞台で、『不思議の国のアリス』の女王や『眠れる森の美女』のマレフィセントなど、ヴィランたちと彼らが登場する作品にインスパイアされた寮が7つ存在している。ゲームでは生徒たちが繰り広げる日常を軸に、キャラクターとしての過去などパーソナルな側面にもフォーカスした濃厚なストーリーが展開される。

私がその中でハマりにハマってしまったのが、『アラジン』とヴィランであるジャファーにインスパイアされたスカラビア寮の副寮長、ジャミル・バイパー(画像内左)というキャラクターだ。

……と、ここまでざっくりとした説明をしたところで、私と『ツイステッド・ワンダーランド(以下:ツイステ)』とのめくるめく蜜月の日々を思い返してみる。

ある日突然「エヌちゃん、このキャラクター好きだと思う」と友人Mからスカラビア寮のキャラクターを紹介するLINEが送られて、スマホゲームにとんと縁がなかった私は「ふ、ふーん?」と気になるムーブをかますも飽きずに続くかなぁという一抹の不安を抱いていた。しかしものは試しだ、やってみよう、とアプリをインスト―ルし、プレイしてみたところ……めでたくドはまりしてしまったというわけだ。

すぐさま友人MにLINEをする。「【ご報告】ツイステはまりました」歓喜するオタク2人。光の速さでスカラビア寮がメインとして登場するストーリー第4章に追いつき、ラスボスとの戦いに1日中苦戦しながらなんとかクリアした頃には、すっかりジャミル・バイパーのいとおしさの虜になってしまっていた。

突然こんな話をしだすと困惑されるかもしれないが、オタクは「愛憎」という言葉が好きだ。それはもう、三度の飯より、甘いお菓子よりも。愛と憎しみというアンビバレンスな感情が共存しているキャラクターのおいしさったらない。時にはみっともなさやふがいなさを臆面もなく晒すような人間味の感じられるキャラクターこそ、私たちオタクがキュンとしてしまう一撃必殺の愛らしさを秘めているのである。

そう、私の好きなジャミルとはまさにそういうキャラクターなのだ。彼はスカラビア寮長である大富豪の息子、カリム・アルアジームの従者であり、代々アジーム家に仕える家系に生まれている。物心ついたときからカリムとはつかず離れずの関係にあり、従者として彼のそばにいながらあらゆる譲歩と妥協を経て今に至る。カリムの威厳を守り、その顔を立てるために、自分の主張や本当の能力を見せる機会を常に二の次にしてきたのだ。

当然、健全な男子高校生にそんな高度な精神コントロールができるはずもなく、ジャミルの心にはいつしか鬱屈したものが蓄積していった。しかし、カリムのことを本気で憎むことはできない。アジーム家の次期当主であるカリムが刺客から命を狙われれば身を挺して助けるし、なんだかんだ文句を言いながらも甲斐甲斐しく世話をする。もはや「そういう風に生きることが身に染みついてしまっている」──そこが彼のやさしさであり、業でもあるのだ。

ああ、かわいい!なんてかわいいのだろうか。無理。尊い。ジャミルの心の中でないまぜになっている、長年共に過ごしてきたカリムへの友愛に似た感情と、自分の存在意義をかき消してしまうほどのカリムとの業じみた関係を憎む感情、およそ10代なかばの少年が持て余すにはあまりにも苦しすぎる相反した感情に苛まれる姿がいとおしい!!

そんなこんなでジャミルは私の「最推し=作中で最も推すキャラクター」になり、ガチャポン(キャラクターのカードをランダムで引けるシステム)でSSR(もっともレア度の高いカード)のジャミルが出ようものなら必死の形相でお金をチャリンチャリンと落としまくる。いいのだ、そのお金でジャミルが何か自分のために好きなものを買うと思えばお安い御用……男子高校生に貢ぐ20代後半女の爆誕である。楽しい。生きてるって感じがする。

そんなジャミル推しにとって、昨今のゲーム内における彼の描き方には天を仰いで拝みたくなるほど感謝している。ジャミルが登場した4章後、メインストーリーでは5章が公開され、そこにはカリムとの関係を清算しすっきりとした面持ちで、「俺はカリムの従者だ!悪いか!これから先もこのポジションを譲る気はないぞ!なぜなら俺は優秀だからな!」という清々しい開き直りをきめたジャミルがいた。

それを見たときにはもう「ありがとうございます!!!!!」とスマホを床に置いて土下座した。ジャミルが年相応の男子高校生してる~!!!!!となった20代後半女はまたも彼の愛らしい姿を拝むために課金をするのであった。推し活がはかどることこそがオタクの生きる意味であり幸せなのだから、本当にありがたい限りである。

そしてなんと、今年の夏にはそんなジャミルがメインとなって展開される期間限定イベントストーリー「アリアーブ・ナーリヤ」が開催された。学校を離れ、生まれ育った街で絢爛豪華な衣装をまといながら同級生や先輩に地元の祭りを紹介する彼は本当に楽しそうだったし、何より屈託なく笑っていて、4章の彼からは想像もつかないほど朗らかとしていた。

よかったね、よかったねジャミル……(だみ声)

その声色の優しさと笑顔に、オタク特有のクソデカ感情──推しを想うがあまりに巨大な感情を持て余してしまう──が夜空に大輪の花を咲かせた今夏であった。

最後に、私はジャミル・バイパーというキャラクターに出逢えてよかったと心底思っているし、オタクとして今まさに「推しを推す」文章を書けていることは至上の喜びである。このような機会をくださった編集長と、あのとき私にスカラビア寮を、そしてツイステを紹介してくれた友人Mにこの場を借りて多大な感謝を。ありがとうソウルメイト。

『ツイステッド・ワンダーランド』には他にも個性豊かなキャラクターが大勢登場するので、きっとこれを読んでくださった方が「推せる」キャラも見つかることと思う。ぜひ、宜しくお願いしたい。

そして実は先日、今年のハロウィンも去年に引き続いて期間限定イベントが開催されることが決定したので今からドキドキしている。ジャミルのカード来るかな……ソワソワ……

最後に推しよ、ハッピーな日々をありがとう!愛してるぞ!

++++
(c) Disney
『ツイステッド・ワンダーランド』公式サイト

 

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