(by 蛙田アメコ

ホラー映画がダメだ。なぜなら怖いから。
「物書きたるもの、なんでもインプットしなくちゃね!」という志を一応持ってはいるものの、もうマジで無理なのだ。だって怖い思いなんて絶対にしたくないじゃないですか。

雷が鳴れば「撃たれて死ぬかもしれない」と恐怖し、外を歩けば「あの大きなトラックが突っ込んでくるかもしれない」とおののき、人と会話をしては「和やかに笑ってるけど内心では私のことを見限っているに違いない」と絶望する毎日。恐怖というのはそのへんに掃いて捨てるほどあるもので、それをわざわざ1900円の鑑賞代を払って、2時間以上の時間をかけて、直撃をくらいにいくなんて、絶対したくないじゃないですか……おい、その「ぶーん」ってずっと鳴ってる低音をやめろ! 物陰をゆっくりとのぞくときにドクドク鳴り響いてる心音を止めろ!! キーーーンって耳鳴りみたいな音もやめてくれお前はアラレちゃんなのか!! 振り向いたらいきなりそこにいるのはマジでやめてくれーーーっ!!

『ヘレディタリー/継承』は、2020年に公開した『ミッドサマー』で一躍有名になったアリ・アスター監督のデビュー作である。

グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは夫・スティーブン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を受け継いでいたことに気づかぬまま・・・。
やがて奇妙な出来事がグラハム家に頻発。不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする・・・。祖母に溺愛されていたチャーリーは、彼女が遺した“何か”を感じているのか、不気味な表情で虚空を見つめ、次第に異常な行動を取り始める。まるで狂ったかのように・・・。
そして最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。そして想像を絶する恐怖が一家を襲う。
“受け継いだら死ぬ” 祖母が家族に遺したものは一体何なのか?
(『ヘレディタリー/継承』公式HPより)

これがもう、べらぼうに怖かった。
終始なんとなく嫌な雰囲気をただよわせている画面の中で、マジで嫌なことが起き続ける。個人的な「これだからホラー映画は嫌なんだよポイント」を挙げていくと、

・小動物の死(さいあく)
・子どもの死(しかも生首)
・めっちゃ飛んでる小さい虫(嫌すぎる)
・どう見ても痛そうなケガ(効果音も痛い)
・傷んだ死体(もういや!)
・襲い来る肉親(かんべんしてくれ!)

などなど、枚挙にいとまが無い。
ホラー映画の嫌なシーンをすべて集めて作ったとしか思えないものだった。
恐怖に震える人間を一番エンタメにするのは、「実況」という形式であろうと思い、鑑賞中にメモをした新鮮な悲鳴を編集してみた。

もうめちゃくちゃである。
何が悲しくて恐怖に怯えながら坂本龍馬の表情マネをし、ウィリアム・テル序曲を流しているのか。ホラー映画は人を狂わせるということが非常によくわかる。
ちなみに、セルフ実況鑑賞会を終えて就寝したところ、とてつもない悪夢に魘されて夜中に起きてしまうわ、怖くて夜にトイレにいけないので朝まで耐えようと思うもちょっと間に合わなくて少々チビってしまったという悲劇が起きるわ、もう散々であった。恐るべし、アリ・アスター。

……はい。
というわけでして、「怖がりラノベ作家、『ヘレディタリー/継承』に挑む」。
結果としては、「死ぬほど怖かったうえに、もう30才にもなったのにおしっこを漏らした」という最悪の結果になりました。

BadCats Weeklyの編集長とのメールで生まれたこの企画。ホラー映画に詳しくない私のために、編集長は『ヘレディタリー/継承』を推薦してくれました。私はとても編集長を信頼しているので、その日のうちにAmazonでレンタルをして観てみたわけでございます。誠実な仕事だと自分でも思います。

本当に死ぬほど怖い思いをして、『ヘレディタリー/継承』を見終わった数日後。
Twitterのタイムラインに流れてきた記事を読んで驚きました。「史上最も怖いホラー映画」のランキング形式のその記事……堂々の1位に……『ヘレディタリー/継承』って書いてあったのです……。

は、謀ったな、編集長っ!!

++++
(C)2018 Hereditary Film Productions, LLC
『ヘレディタリー 継承』映画.comページ

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でBadCats Weeklyをフォローしよう!