2020年11月

【名画再訪】『八日目の蝉』〜「男性の不在」に際立つ二種類の母性~

(by みくりや佐代子) 隣で眠る子供の寝顔を見つめながら、どうしてこんなに可愛いのかと疑問に思うことがある。それは慈しみにあふれた湧き上がる愛情とはまた種類が違い、参考書を開いて受験勉強していた時の感覚に似ている。「あれ?これってどうしてなんだっけ。以前に一度解決した気がするのだけど……」と眉間に […]

【ホラーの嗜み】最恐映画『ヘレディタリー/継承』に怖がりラノベ作家が挑んだ話

(by 蛙田アメコ) ホラー映画がダメだ。なぜなら怖いから。「物書きたるもの、なんでもインプットしなくちゃね!」という志を一応持ってはいるものの、もうマジで無理なのだ。だって怖い思いなんて絶対にしたくないじゃないですか。 雷が鳴れば「撃たれて死ぬかもしれない」と恐怖し、外を歩けば「あの大きなトラック […]

【推しの一作】『太陽がいっぱい』〜みんなから見下され、道化師のふりをしなければ、相手にされない人間』の逆襲〜

(by 隷蔵庫) 1. はじめに 「誰かになりたいと願うことは、自分自身を浪費することだ」というカート・コバーンの言葉がある。これ以上ニルヴァーナには詳しくないが、それを突き詰めた小説は知っている。 『太陽がいっぱい』というサスペンス小説だ。 おそらく、映画の方が有名だろう。レンタルビデオ店に行けば […]

【フリーに生きる】第5回:システム開発者・ゆきうさぎの場合〜選択できることのメリット〜

(by ゆきうさぎ) とあるIT企業の『会社員』を辞めて『フリーランス』となり、かれこれ5年が経過した。会社には10年ほど勤めていたため、3分の1をフリーランスとして過ごしたこととなる。早いものである。 なぜ10年もやっていた『会社員』を辞めたのか? 理由はいくつかあるが、その一つに『会社が求めてい […]

【映画レビュー】劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』~人々の小さな営みは、すべてが歴史になる~

(by 蛙田アメコ) 劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。アニメシリーズから始まった、手紙の代筆をする女性――自動書記人形《ドール》として生きる元少女兵ヴァイオレットが『愛してる』を知り、『愛してる』を伝える物語の終着点だ。京都アニメーションの近年の代表作。 2020年11月9日の動員123 […]

【名画再訪】『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』~上質なファンタジーに見る「人間」と「愛」

(by 安藤エヌ) 昨今、自身の発言によりSNS上で物議を醸している作家のJ・K・ローリングだが、私は彼女の生み出した魔法界とそこに生きる人々を愛している。 『ハリー・ポッター』シリーズは幼い頃から何度も大切に読み返し、企画展で母親にねだってふくろうの羽ペンを買ってもらったりと思い出も多い。私が魔法 […]

【エッセイ】傷つきやすい人のための小説の読み方

(by みくりや佐代子) 小説を読む前に、安全バーが欲しい。 朝の通勤バスの中でKindle画面を立ち上げ今日読む本を選ぶとき、注意深く「あらすじ」を読み込んだり本のタイトルに「感想」のワードを加えて検索したりと、やたら慎重になってしまう。最近はいつもそうだ。「どこに旅に出るのか」、ゆく先を知ってい […]

【名画再訪】『エターナル・サンシャイン』を観ておセンチに泣く夜

(by こばやしななこ) センチメンタルになって泣きたい夜がある。私がもっと美人なら、こうゆう感情にはならないのだろうか。とにかくそんな夜には『エターナル・サンシャイン』を観てさめざめ泣くのが一番だ。 初めてこの映画を観たときは、感情が大きく動くことはなかった。そこからいろんな経験といくつかの恋愛を […]

【インタビュー】「使命感が無くなったらその時点で終了じゃないかとは思います」――『ベオグラードメトロの子供たち』クリエイター・隷蔵庫

(インタビュー文・構成:葛西祝、聞き手:とら猫) 今年2020年はビデオゲームでさまざまな話題作がリリースされる年だ。しかし、どこか気配の違うビジュアルノベル『ベオグラードメトロの子供たち』がリリースされたことを忘れてはならない。 本作は近未来の旧ユーゴスラビア圏・セルビアを舞台に、超能力を持った少 […]