(by シェループ)
「だから新しいゲーム機はすぐ買うものじゃない」……と。
私の中で、絶対的な信条として掲げているものがある。
それは……”発売1ヶ月以内の新しいゲーム機は絶対に買わない。”
2019年現在、現役街道を走るNintendo Switch、PlayStation 4、Xbox One。どれも発売から3ヶ月以上、もしくは1年ほど経過した後に買った。過去のWiiU、ニンテンドー3DS、PlayStation Vitaなども同様。大体、それぐらいの時間を置いて買っている。
何故、そのような信条を掲げるに至ったのか。
発端は1996年の『NINTENDO64』(以下、ロクヨン)だ。
あのゲーム機を買ったのは、発売から1ヶ月後の7月だった。
その結果、どんな目に遭ったか。
地獄のようなソフト不足である。幾ら待っても次の新作が出ない、増えない。一緒に買ったマリオの新作も終わり、やることがなくなる。穴埋めで買ってもらった『パイロットウィングス64』も、もたない。
そんなロクヨンを尻目にPlayStation、セガサターンは次々と新作を発表。ロックマンの続編まで、そちらで出ることになった。
絶望した。ロクヨンだけ未発売で、泣きたくなるほど絶望した。
さらにあろうことか、スーパーファミコンも追い打ちをかけた。ロクヨンへの代替わりに合わせて引退……しなかった。変わらず新作を、それもロクヨン以上に出し続けたのだ。発売されるゲームも魅力的なものばかり。
とりわけ強烈だったのが『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』。
1994年、スーパーファミコンの限界を超越した美麗なグラフィックで大きな注目を浴び、300万本以上を売り上げる記録的大ヒットを叩き出したアクションゲーム『スーパードンキーコング』のシリーズ3作目である。
前年度の1995年、続編の『スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー』が1年足らずで発売されたことから、3作目が次の年に発売される予感はなんとなくしていた。しかも、過去2作は全て11月発売。ゆえに次も多分同じ月。そして、ロクヨン発売後。
もしかしたら、劇的な進化を遂げた新作が見れるのかもと、まだ本体を買っていない頃から期待は高まっていた。
だが、3作目はスーパーファミコンで発売された。「スーパーファミコン史上最高画質」の売り文句と共に。
実の所、そのことはロックマンの新作こと『ロックマン8』と違い、ロクヨン購入前より把握していた。当時視聴していたテレビ東京系列のゲーム情報番組『スーパーマリオスタジアム』、購読していたゲーム誌で紹介されていたからだ。
なんだ、次もスーファミなのか……と、その報せには少しガッカリした覚えがある。けど、出る頃にはロクヨンも魅力的な新作が揃って、買う余裕など無いぐらい充実しているだろうから、今回は遅れて買う形になるかもな……と、思いもした。
そもそも、スーパーファミコンは現役から退くから新作は減るだろうし、と。
……全然違った。
バリバリ出た。ロクヨンの方が出なかった。
結局、それが元で年内に買うという、前年と同じ展開に。
肝心のゲームも売り文句に相応しいグラフィックの美しさ、より起伏の増したステージの数々、そして謎解き要素の追加で手ごわくなったやり込み要素に魅了され、夢中になって遊んだ。ロクヨンそっちのけで。
一応、12月には『マリオカート64』の参上で出番はあったが、一区切り以降はドンキーと年明けに参上した”もうひとつ”のため、スーパーファミコンがフル稼働という、元の木阿弥。
そして、そのグラフィックを見れば見るほど感じる、スーパーファミコンの底力。
心底思った。買うの早すぎた、と。
その結果、ロックマンとは不本意な別離を強いられ、ソフト不足という名の地獄に落ちた。
本数の少なさからスーパーファミコンが活躍することになった。しまいには、その様子を見た親から「なんで買ったんだ!」と突っ込まれた。
それもあって、今もドンキーのパッケージを見るたび思うのだ。我慢していれば……と。当のドンキーも、ゲームを通して語りかけてくるのである。「だから新しいゲーム機はすぐ買うものじゃない」……と。
この時の経験が「最新ゲーム機の早期購入=危ない行為」との認識を植え付けたのは言うまでもなかった。
しかし、昨今のように信条と掲げるまではいかなかった。最初こそ酷い有様だったが、1998年以降、ロクヨンへの愛着は深まっていったからだ。
そして、それが元で後年、私は同じ過ちを繰り返すのである。
ロクヨンの後継機……『ニンテンドーゲームキューブ』で。(続く?)
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©1996 Nintendo
『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』販売ページ