【映画レビュー】限界オタクにこそ観てほしい『アナと雪の女王2』

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(by 安藤エヌ

こんにちは、鬼滅の刃読んでますか?安藤エヌです。

私は映画について硬めの文体でレビューを書く時もありますが、本体はかなり限界を迎えたオタクです。しんどいマンガやアニメが大好き。限界を迎えた……というのは端的にいうと

・作品が好きすぎてしんどい
・キャラが愛おしすぎてしんどい
・つらいのにそのしんどさが気持ちいい
・もうなんか推しに生かしてもらってるからとりあえず生きてる

みたいな崖っぷちでビーバーのような鳴き声をこだまさせて生きているオタクのことです。あの声ですね、「ア”---------ッ!!!!!!!!!!」ってやつ。

そんなこんなで、私は先日『アナと雪の女王2』を観に行きました。前情報も歌だけしか仕入れずに行ったのと、前作である無印が私にはウーン?だったので、正直あまり期待していなかったのです。でもそこはディズニーだし、しかも昨今のディズニーは現代の価値観をガンガンにブラッシュアップして作品をつくることに長けている。期待を下回ることは無いだろう、と安心しきって(またはそれを腑抜けた精神という)観に行った結果、

身体じゅうが穴ぼこだらけになって帰ってきました。どこから帰ってきたのか心配されるくらい。壁外調査帰りかな?

よもや『アナ雪2』を観て、こんなに、こんなにも満身創痍になってしまうなんて誰が想像したでしょう。

今作は、前作『アナ雪』を観てキャッキャした人が泣く子も黙るエルサ女王の美しさにより即刻黙らされるカカア天下のような映画なのです。決してカカアが忙しい時に趣向の凝らした晩御飯を要求してはいけないのと同じ、私たちはエルサの美しさの前では何も言えなくなってしまう――そんな映画なのです。

そういうわけで、1と今回の2ではかなり傾向が違います。1はあくまで姉妹の暮らすアレンデールという町を舞台とし、エルサが己の魔法力を解き放ってしまい困惑するも自分はありのままでいいのだ(Let it goですね)と気づき妹や町の人々から離れ、妹であるアナが暴走するエルサと姉の力で凍ってしまった町を「愛」により救う――という、いわば王道の形を取って終幕を迎えましたが、そこから続く2は、

・エルサがふたたび自分自身と向き合う
・アナも向き合う
・姉妹によりつくられたオラフも自我を持ち始める
・クリストフはヒロイン

という、現代人なら誰もが抱えるであろう「自己との対峙」というものが大きな根幹となって描かれているのです。クリストフの自己がかよわい乙女だったというわけではないのですが、ここに並べるべき重要な要素だと思ったので書きました。ポスターの彼が放つキラッキラな瞳、見ていると何かに誘ってくれるのでぜひご注目いただきたい。

王道展開と口ずさみやすいキャッチーな歌が魅力の1に対し、2は怒涛の展開、怒涛の涙、笑い、そして涙!!!アクションもてんこ盛り、魔法もマシマシで一体全体どんな技術を使い彼らを生身のキャラクターたらしめているのかというほどの技術力の鬼!!!と舌を巻いてしまう映像、そして1のキャッチーさを残しつつ、訴えかけるエネルギーが軒並みパワーアップしている歌の数々……

今回、エルサの魔法はどこから授かったのかという彼女のルーツがテーマとなっているために、エルサの自分自身を見つけ出す旅の様子を観客は追っていくことになります。

限界オタクである私は鑑賞しながら感情が四方八方に奔走しまくり、ついにエルサが自分のルーツを見つけ出した瞬間、純白のドレスがひるがえり、結った髪を解き放ち……

そんなエルサがあまりにも美しすぎて私、生まれたてみたいに顔を赤くして泣いちゃいました。

美しい、とはさまざまな意味で言えるものだと思うのですが、2のエルサが私たちに魅せてくれたのは決して単純なものではなく、彼女だから、彼女がそうして生きたことによる、未来を自分の意志で決めた強さによる、まさに氷の結晶のような美しさでした。

冷たい冬の朝も、陽の光が差し込んだ時にきらっと輝く結晶……それを踏まずに掌で包み、目を凝らした者に見える強さ、優しさ、勇敢さ。それは何よりも不変であり、他人が災いや故意の力により介入したところでびくともしません。だってずっと「その形」と決まっているのですから。エルサやアナ、オラフやクリストフそれぞれの結晶は、彼らが互いを愛した時からずっと変わっていないのです。それが今、この『アナと雪の女王2』で、一斉に光を浴び輝きだした……そんな風にいえるなあ、と私は思いました。

あまりにも良かったので、早速おかわりの算段を画策中です。今作、時代背景を盛り込んだ舞台設定が凝りに凝っていて、深みのある考察もはかどってしまう魅力もあったりなんかしちゃいます。いくらでも違う視点・観点から観れるので、ぜひ鑑賞してお友達を巻き込んでしまいましょう!(オタクのお家芸)

限界オタクにこそ観てほしい『アナと雪の女王2』、絶賛公開中です!

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『アナと雪の女王2』公式サイト

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この記事を書いた人

安藤エヌのアバター 安藤エヌ カルチャーライター

日芸文芸学科卒のカルチャーライター。現在は主に映画のレビューやコラム、エッセイを執筆。推している洋画俳優の魅力を綴った『スクリーンで君が観たい』を連載中。
写真/映画/音楽/漫画/文芸