【連載/だからゲームはやめられない】第17回: まさかの旧世代機で発売された、奇怪な新作かつ隠れた傑作『Cu-On-Pa(クオンパ)』

  • URLをコピーしました!

(by シェループ)

1996年に発売された、任天堂の次世代ゲーム機『NINTENDO 64(ニンテンドウ64)』。

古い付き合いのマリオの新作が発売される。
その後には、前世代機のスーパーファミコンで大ヒットした『スーパーマリオカート』の続編も出る。
だから、次の主力ゲーム機はきっとこれだ。

そんな根拠なき確信から購入に至った私に待っていたのは、本体発売から1~2月近く経っても、次の新作が一向に発売されない、地獄のようなソフト不足だった。

当時、店頭で配布された新作紹介パンフレットによれば、1996年の内に任天堂のゲームだけでも実に14本近くのタイトルが発売されるとのことだった。だが、実際に発売されたのはたったの4本。文字通りの誇大広告だった。

任天堂だけでなく、サードメーカーからも新作が出なかった。ただ、当時購読していた雑誌によれば、『Cu-On-Pa(クオンパ)』なるパズルゲームが秋に出ると告知されていた。

だが、サードメーカーの新作二本目として出たのは『ワンダープロジェクトJ2 コルロの森のジョゼット』。『クオンパ』ではなかった。

しかも、気付いた頃には発売中止に。
そして、スーパーファミコンソフトとして発売された。

思わず耳を疑う展開だが、本当にそうだったのだから仕方がない。
同作はスーパーファミコンの新作として発売されたのである。

「なんじゃあそりゃあ!?」

当時、テレビ東京系列で放送されていたゲーム情報番組『64マリオスタジアム』でこの情報を知った私は激しく困惑した。しかも、同年12月20日発売とのことだから、ビックリ仰天三国峠である。

だが、とても買えたものではなかった。何故なら、まさにその頃、『スーパーマリオカート』の続編こと『マリオカート64』が発売されたからだ。結局、それどころではなかったのもあり、以降、同作のことは頭の片隅より消え去った。

蘇ったのは、約9年後のこと。過去、泣く泣く購入を見送ったスーパーファミコンソフトを中古で買い漁っていた頃、某ゲーム店の売り場でたまたま本作を発見した。
今も鮮明にその時の値段を覚えている。税抜き480円。箱・説明書付きである。

「そう言えば、こんなゲームあったな…。」と、見かけた時に思った。
しかも、お値段ワンコイン。牛丼並盛プライス。

……買っちゃうか。
別に欲しいものじゃないけど、安いし。
そんな酷く雑な思いから、私は本作を買うに至った。

そして、少し日時を置いた後、遊んだ。

え、なにこれ……面白いぞ。

十字キーでサイコロ状の立方体を転がし、マス目のステージ上に置かれた「ライフパネル」を消していくという内容のパズルゲームで、見た目はすごく地味。しかし、これがなかなかに一筋縄ではいかぬ作り。

特にパネルの消し方がクセモノ。立方体には六つの面があって、それぞれに色が設定されている。パネルにも同じく色が設定されていて、立方体の面の色とそれが一致すれば、消すことができる。

だが、パネルと立方体の面を直接重ねるのではなく、立方体の上の面とパネルの色を合わせる、つまり赤のパネルなら、赤の面の裏側にある紫の面を重ねるという、逆の発想が求められるものになっているのだ。

めんどくせえ!……と、最初は思った。
なんで素直に同じ色と色を合わせる方法にしないんだ、と。
しかし、やってみるとそんなに難しくはなく、最適な転がし方を考え、実践しながら立方体を転がしていくのが楽しい。試行錯誤の末に消せた時も、派手な演出が挟まるのもあって結構な気持ちよさがある。

そして、得点稼ぎが熱い。パネルの消し方には、他に「サンダーパネル」の爆発に巻き込ませるというのもある。このパネルはステージに頻繁に出現する「カラーパネル」、色だけのパネルを消すと「サンダーパネル」に変わる。それに続けて「ライフパネル」を消すと、その色に応じた「サンダーパネル」が爆発。爆風が周囲八マスに渡って広がる。

その爆風が別のサンダーパネルに接触すると、誘爆が発生。その近くにも別のサンダーパネルがあれば、連鎖的に爆発を起こしていくのだ。その流れでライフパネルが巻き込まれれば消滅。同時に爆発の量に応じたボーナス得点が換算される。

これが最高に気持ちよく、自然に「サンダーパネル」を量産しては大爆発を狙いに行ってしまう。演出も仰々しく、マス目いっぱいにサンダーパネルを作った時に発生させれば、もはや花火大会。

だが、制限時間があるので、欲をかけば自滅に繋がる。そんな限りある時間で、どこまで突き詰められるかに挑む面白さもあって、時間を忘れてのめり込んでしまう高い中毒性がある。

パネルの面の色が減るモード、手数制限が加わるモードなど遊びの幅も広く、それぞれに固有のステージが100個(合計300個)用意されているなど、ボリュームも満点。隠し要素も豊富で、やり込み派のプレイヤーの欲求にも応えてくれる。

なんてよく出来たゲームなんだ。

エンディングを迎えた時、私は感心しっぱなしだった。
そして、本作が話題作の集中した1996年の年末に発売されたのはマズかった、とも思った。埋もれてしまっているからだ。発売されたことが知られてない程度に。そのリベンジを狙ってか、後発でPlayStation版も出ているのだが、こちらもお察しの通りである。

未だに思う。もっと注目されていいだろ、と。特に得点稼ぎの面白さは色褪せない魅力があって、限界点を検証するだけの魅力がある。もし、パズルゲーム好きで本作を存じていなければ、ぜひ遊んでみていただきたい。これは正真正銘の隠れた傑作だ。多くの人にやり込まれて然るべきパズルゲームである。

いつか、このゲームに陽の光が射すことを願い、これを書き記す。
一人でも多くの人に誘爆の素晴らしさが伝わることを。

誘爆バンザイ!

※ちなみに本作はWindows、Macintoshで1995年に発売された『Endorfun』というゲームを原作にしていて、オープニングのクレジットに同作の名が記されている。

(c) T&E SOFT
ゲーム『クオンパ』Amazonページ

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

新旧のゲームを遊びまくる人。ひよっこライター。もぐらゲームスなどゲーム系メディアへ寄稿中。

個人リンク: ブログ/ポートフォリオ/Twitter/note