【連載/だからゲームはやめられない】第16回: 泣きっ面に『ロックマン8 メタルヒーローズ』

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(by シェループ

好きになった作品はゲームに限らず、長く追い続けたい。
しかし、それが一生続く保証はない。

歴史が長くなるものほど時代と共に変化し続け、いつしかついていくにも労力が試されたり、時に望ましくない方向に一変するなどして距離を置きたくなったり、酷いと嫌いになる。

私もそれが原因で買うのを止めたり、見限ったゲームが少なからずある。
言うまでもなく、そうなったゲームには侘しさが湧く。

だが、ゲーム機本体が無い・買えないために距離を置くこととなり、嫌いになった作品と比べれば、まだ軽いものかもしれない。自分がそうしたいという意志があるのだから。意志なき別離ほど、辛いものはない。

『ロックマン8 メタルヒーローズ』は私にとって、そんな思い出を作ったゲームだ。これからも追い続けたい気持ちで満々だったロックマンの新作が当時、持っていないゲーム機で発売される。

本当に泣きたくなる出来事だった。

そうなったのも、全ては次の主力ゲーム機はNINTENDO64(以下、ロクヨン)だと、根拠なき確信から買ったことに起因するのだが。某月刊漫画誌で本作を目にした時はがく然となった。

けど、ロクヨンでも後々出すでしょと、少し希望も抱いてた。

だが、ほどなくしてそれは潰えた。ロクヨンのROMカセットには、アニメムービーが入るほどの容量がないから移植困難との事実を購読していたゲーム雑誌を通して知ったためだ。それどころか、年が明けた1997年には、派生シリーズ『ロックマンX』新作までもがロクヨン以外のゲーム機で発売。泣きっ面に蜂も同然な展開を迎えた。

当然、それも遊べるはずも、買えるはずもなかった。

親にねだっても、これ以上ゲーム機を増やすなと叱責されるだけ。だから、ロックマン絡みで繋がりを持っていた友人達との会話に入れない。話の内容にも付いていけない。

そもそも、御呼びじゃない。どっかいけ。マリオやってろ。
なんで好きなゲームでこんな目に遭わなきゃいけないんだ。

その時ばかりはロックマンを作ったカプコンを呪った。ましてやスーパーファミコン時代、ロックマンと並び、当時のアクションゲーム界隈を賑わせた『がんばれゴエモン』、『ボンバーマン』の二作はロクヨンにも新作を出してくれていたのだ。何のフォローもしないその姿勢に、私はロックマンを心の中でこう吐き捨てた。

「薄情者め。」

そこから愛着が無くなったのは当然の帰結だった。丁度その頃、『ゴールデンアイ 007』と出会って、ロクヨンを買った意義を見つけたのも大きい。

その後、『ロックマン8』を早々に次世代機で販売したことへのお詫びで、『ロックマン&フォルテ』なる番外編がスーパーファミコンで発売されても全く興味を持てなかった。「今更ふざけんな」という思いがあったのかもしれない。

しかし、元々本意でなかったからこそ、戻りたい気持ちは残り続けた。

結局その後、2000年にゲームボーイで発売された『ロックマンX サイバーミッション』を皮切りに復帰し、件の『ロックマン&フォルテ』も発売から3年遅れて購入するに至った。

だが、『ロックマン8』を手にしたのは大分先。自らの意志でゲーム機、ゲームソフトを購入できるようになってからのこと。

さらに1996年当時、ロクヨン……任天堂のゲーム機での発売を願った思いは、2018年にNintendo Switch用ソフトとして発売された『ロックマンクラシックスコレクション1+2』で変則的に実現。実に22年も後のことだった。

2017年の暮れ、シリーズ生誕30周年と新作『ロックマン11 運命の歯車!!』などの発表が行われた時のこと。そのことを知らせる動画で、次のテロップが表示された。

”完全新作を楽しんでもらうためには、過去作品も合せて同じ機種で遊べるべき。”

今なお思う。
あの時もそうだったら、どんなに幸せだったか。
楽しい会話を繰り広げられたかと。

しかし、今やより強い愛着を持つ作品になったのを思うと、あの別れは必然だったのかもと思う。『ゴールデンアイ 007』(007シリーズ)と出会えたのも、別れたからこそだ。

とは言え、こんな別れ方、二度と御免だ。強制的に引き裂くやり方は禍根を残すし、作品への愛着を失わせる。

時にはそうせざるを得ない事情があるかもしれないが、マルチプラットフォームという素晴らしい枠組みができた時代だからこそ、ロックマンはこれからもプレイヤーに大きな金銭的負担を与えないシリーズとしてあり続けて欲しい。

そんなことをNintendo Switchでロックマン8を遊びながら思うのだった。

……スノボー、キツいよ。

(c) CAPCOM CO., LTD.
『ロックマン クラシックス コレクション 1+2』Switchページ

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この記事を書いた人

新旧のゲームを遊びまくる人。ひよっこライター。もぐらゲームスなどゲーム系メディアへ寄稿中。

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