【食エッセイ】ウタカタの変態飲料

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(by シェループ

私は酒を一滴も飲めない。
だが、ジュースは毎日のように飲む。
ほとんどコーラだが。
幼い頃、かの有名な「骨が溶ける」との都市伝説で飲むのを禁じられていたのもあって、成人を迎えて以降は半ば意地で飲み続けている。

コーラの種類は多種多様だ。
普通のもの、ゼロカロリー、近年ではトクホ系なんてものまで誕生した。
また、レモンにピーチなど、果物のフレーバーを混ぜたものも時々売られる。

そして、すい星のごとく登場しては、泡沫の夢のように消えるもの。
いわゆる、変態系フレーバーだ。

いつからだったかは記憶にないが……多分、コーラを普通に飲むようになってから、私はこの種の変態系フレーバーを販売される度、決まって買うようになった。物珍しさゆえの好奇心もさることながら、間違いなくこれは定着せず消える、今しかないというある種の焦燥感に駆られるのが大きい。

実際、その種のものは決まって定着しない。
当たり前だ。変態系、常軌を逸したものなのだから。
現にキュウリにモンブラン、スイカなど、「発案者は気が触れたか」と物申したくなるものが過去に発売された。そして、飲んだ人を新次元に陥れた後、消えた。中にはコーヒーのような成功例(?)もあるが、やはり定着することはなく、数週間が経った頃には店頭から消え去っている

何もコーラに限った話ではない。世の中には何故、これをジュースにしたと言いたくなるモノが多く誕生しては消えている。一時期、コンビニに平然と売られていたカレーのラムネ、緑茶と炭酸を混ぜた瑞々しさ以上の禍々しさが詰まったもの。一見普通なのに、エイリアンの血を飲んでいるに等しい感覚に襲われた、キウイフルーツまる絞りなんてのもあった。でもって、消えた。

某有名メーカーが販売する豆乳も時々、妙な味のものを販売する。
昨今も果敢に新種の味を発売しては人に挑戦を促し続ける有様だ。
メーカーのスタッフは豆乳を通して人間に何を望むのか。

このような流れを見る度、つくづく感じる。変態系のジュースは儚い。
例え、奇跡的に美味いものでも、大体一ヶ月が過ぎた頃には消えてしまう。
新種として定着することもなく、その役目を終えてしまう。

大半が受けるかどうかも怪しい代物なので、定着することそのものが望み薄だが、あえて他がやらないことへ挑んでは散っていく様には、時々、挑戦を恐れず挑むことの大切さを考えさせられもする。飲む側からすると、今この瞬間を大事にすることだ。「やらない後悔よりもやる後悔」という格言があるが、変態系のジュースはそれを教えてくれる。現に飲めば大抵は後悔するのだから。けど、飲まなかった後悔よりも飲んだ後悔の方が思い出にもなるし、話のネタになったりと得られることも多い。そして、その後悔は売られている”今”にしか得られない。

昨今は一時期に比べ、変態系ジュースの量は減少傾向にある。豆乳は相変わらずだが。
とは言え、時折どこかのメーカーが血迷ったかのように新種を出してくるから、油断ならない。そして、大半は飲んだ人を後悔させる……のだろう。けど、時々思わぬ相性の良い組み合わせに巡り逢うこともある。だからこそ、変態系ジュースは面白い。

これからも、私は変なものが出たり、目にした時は手にしてしまうのだろう。何故なら、その時限りのものになるかもしれないのだから。そんな思いを他の趣味などでも大事にして、日々を過ごしていきたいなと、思ったりしたのでした。

それにしても、ラムレーズン+豆乳とはいかがなものか。

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この記事を書いた人

新旧のゲームを遊びまくる人。ひよっこライター。もぐらゲームスなどゲーム系メディアへ寄稿中。

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