~親愛なる隣人ことピーター・パーカーになってほしいのは、アイアンマンではなく〇〇〇〇マンなのだ~

前回の記事「アベンジャーズ・ネタバレありレビュー」では、『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』はフェイズ3の最終作であると同時に、次のフェイズへの橋渡しをしてくれる作品だと記した。
期待に漏れず、

・アイアンマン亡き世界で、ピーター・パーカーはどのような状況にいるのか。
・エンドクレジット後のいつもの「引き」の強いおまけ映像。

で、「いつものMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」が戻ってきた感の強い作品だった。若く、明るく、屈託のないヒーローであるスパイダーマンの魅力を存分に味わえる。ヒーロー映画に出てくるロマンス要素について、筆者個人はあまり好まないのであるが、今作のラブコメ的ともいえる恋愛要素は作品の中での強い必然性を感じた。恋だってするよね、だって青春だもの。
『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』について、簡単にレビューしていこうと思う。そして、最後にちょっとだけネタバレがあるのでご注意を。

◇映像がすごいぞ!◇
MCUにおいて映像がすごい! という前評判だった作品といえば『ドクター・ストレンジ』が記憶にある方も多いかもしれない。個人的な感想だけれど、今回のスパイダーマンは『ドクター・ストレンジ』の映像のすごさを軽く上回っているぞ!!! 演出や魅せ方が非常に巧みで、目が離せない。ドクター・ストレンジも主要メンバーとして参加する予定のMCUフェーズ4は、この挑戦的かつ刺激的な「映像美」も今まで以上にウリの一つになってくるのではないか、と予感させた。いや、すごい。ほんとすごい。状況が許せば4DXで観に行ってほしい。私も行く。

◇若返ったMCU◇
次世代へと舵をきった感を感じてほしい。ピーターの世代の文化がたっぷりと入れ込まれていて、フェイズ4からはじまる「次の10年」の始まりを予感させるのだ。個人的にはティーンエイジャーたちの軽薄で、大人のふりをしようと背伸びをしていて、それでもチクチクとどこかが成長痛でうずいているような人間模様がピーターのクラスメイト達を通して描かれているのが、なんていうか、眩しかった。若返ったMCUをこれから目撃するのが、とても楽しみだ。

しかし、若返ったMCUだからこそ、私は期待していることがある。
痛々しいまでに真摯に、どこまでも「大人」として世界とヒーローを背負って、アイアンマンとして死んだトニー・スタークとともにMCUフェーズ3までを駆け抜けてきた私たちだからこそ願うこと。それは――

◇ピーター・パーカーには、アイアンマンではなく――

***!!!!以下ネタバレ!!!!***

アンパンマンになって欲しいんだ。
ごめん、すまんって!! はい。何を言っているかわからないだろうから、順を追って説明させてもらおう。

スパイダーマンのキャッチコピー「あなたの親愛なる隣人」である。その才能と財力と武力と、そして存在すべてを捧げてヒーローに殉じたトニー・スターク。その跡を継ぐことを世間に期待されてしまったピーター・パーカー。エンドロール後の展開に、驚いた方も多いだろう。あんなにスタークさんが守ろうとしたピーターの、スパイダーマンの正体が世間に知れ渡ることとなってしまうなんて。

親愛なる隣人だったはずのスパイダーマンが、世界の敵になってしまう……そ予感させる展開に、私は強く思ったのだ。

「ピーターには、アンパンマンになってほしいのに」

と。トニー・スタークは自己犠牲の人だったが、ピーターにはそうなってほしくはないのだ。それこそ、そう。自己犠牲なんてダサいぜ、ヒーローだってひとりの人間として、痛みも喜びも分け合ってこの世界を生きようぜ――そんなヒーローになってほしいのだ。
それで、アンパンマンである。アンパンマンはすごいヒーローだ。だってそうだろう。「おなかを空かせている人に、食べ物を分け与える」って、もっとも原始的で、ものすごいヒーロー性なのだ。そこにある自己犠牲は、アイアンマンがすべてを背負って犠牲となったのとは決定的に違う――共に生きるためのヒーロー性なのだから。

スパイダーマンのキャッチコピーである「親愛なる隣人」。
それを体現するヒーローを、ふかふかで甘いパンを分けてくれるヒーローを、私たちは知っている。
トニー・スタークを敬愛し、トニー・スタークの背中を追いかけたピーター・パーカーだからこそ、トニーとは違うヒーローのあり方を見つけてほしいのだ。

……とそんなことを思いながらエンドロールを眺めていたら!!! おまけ映像っ!!!!!(頭を抱える)

(c) 2019 MARVEL
映画『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』公式ページ

 

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