私も影響を受けたわ。
(Everybody that comes in contact with you) becomes part of your problem.

――映画『セックスと嘘とビデオテープ』 より

字幕翻訳者は、当然ながら映像に字幕をつけることが仕事なので、基本的に仕事中はずっと映像を見ています。しかし、仕事の合間に好きなドラマをノンストップで見ることや、納品後に映画館へ足を運ぶことが息抜きになっていることもしばしば。

放送開始から夢中になっているドラマは『ブラックリスト』。

ブラックリスト

ジェームズ・スペイダーが国際的な犯罪者・レッドを演じるサスペンスドラマです。しかし、お恥ずかしいことに、このドラマを見るまでジェームズ・スペイダーを知りませんでした。

「誰よ、このおじさん」と思いながら見続けていくうちに、どの登場人物よりもこのおじさんがセクシーに見えてくる。お腹の底に響くようなハスキーボイス。緩んだ口元には色気が漂い、絶対に目は笑わない作り笑顔。

で、ググりました。そしてビックリ。若かりしジェームズ・スペイダー、めちゃくちゃイケメンじゃないですか!?

ジェームズ・スペイダー

それから『セクレタリー』『プリティ・イン・ピンク』『ボストンリーガル』など彼が出ている作品を貪るように見ました。偏屈で変態的な役や憎まれ役の多いジェームズ・スペイダーですが、彼の美しさと壊れてしまいそうな繊細さをうまく描いている作品があります。

それが今日ご紹介する『セックスと嘘とビデオテープ』です。1989年に公開された本作品で、スティーブン・ソダーバーグ監督は史上最年少の26歳でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。ジェームズ・スペイダーも同映画祭で男優賞を受賞しました。

セックスと嘘とビデオテープ

町一番の美女・アン(アンディ・マクダウェル)は弁護士の夫・ジョン(ピーター・ギャラガー)とのセックスレスに悩み、精神科に通っています。しかし、ジョンはアンの自由奔放な妹・シンシア(ローラ・サン・ジャコモ)との不倫中。そんな中、ジョンの大学時代の親友・グレアム(ジェームズ・スペイダー)が突然彼を訪れるところから物語は始まります。心に闇を抱えたグラハムの趣味は、女性に性的な問題をインタビューし、それをビデオに撮ることでした…。

この家に入り あなたと接触する人は皆関係あるのよ
私もその影響を受けたわ (中略) あなたの影響なのよ

「自分の心に闇はあるが、他人には関係ない」と心を閉ざすグラハムにつめよるアンのセリフです。この箇所の原文を見てみると、

Everybody that comes in contact with you becomes part of your problem…and part of it is because of you”

とあります。

直訳すると「あなたと関係を持った人はみんな、あなたの問題の一部になる」でしょうか。

グラハムに出会い、“影響”を受けたアンは、ある大きな決断を下します。それはグラハムの問題に引きずりこまれたからではなく、自発的に起こした行動でした。

字幕は、ただ原文を直訳するのではなく、全体の流れを汲み、ストーリにあうセリフを作って(訳して)います。 “part of your problem”を「影響を受ける」と訳すことによって、2人が再出発するラストシーンにうまくつながっていくのではないでしょうか?

セックスと嘘とビデオテープ

余談ですが、グラハムが心に傷を負うことになった元カノの名前はエリザベス。
エリザベス…? そう、ブラックリストでレッドが特別な思いを抱く女性と同じ名前です。

『ブラックリスト』についてのお話は、またいつか、別の機会に…。

(C)2002 MGM Home Entertainment Inc.
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