【連載/だからゲームはやめられない】第11回: 『ゴールデンアイ 007』から足を踏み入れた、映画007シリーズの世界での意外な巡り会い

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第10回からの続き

1997年8月23日に発売された『ゴールデンアイ 007』は、当時、NINTENDO64本体の購入を後悔していた自分にその選択が間違ってなかったことを沢山教えてくれた傑作だった。

そんな007は、父親が小学生の頃から上映されている映画であるとのことだった。結局、私はゲームから007の世界に足を踏み入れたのだが、当のゲームが面白かったことから、映画の007も観てみる決意を固めるに至った。

ただ、その頃の私は日本産、海外産問わず、実写映画に大きな恐怖心を抱いていた。いつかは忘れたが、ある日、テレビ放送されていた作品で、おじさんが腕を刃物に変える男に惨殺される瞬間を偶然目撃し、その夜、眠れなくなるほどの酷いトラウマを植え付けられたのがきっかけである。ちなみに後で知ったが、その映画とは『ターミネーター2』だった。

そんな事もあって、映画はアニメ以外観なくなったのだが、ゴールデンアイのおかげで向き合う気持ちが出てきて、ビデオをレンタルしてみようと思った。

だがその頃、私はショップの会員証を持っていなかった。
なので、テレビで放送しないかなと、ある土曜日、新聞のテレビ欄を眺めていた。すると偶然にも、TBS系列で放送されていた深夜の映画番組『ダイヤモンドシアター』で、007の映画が放送されるのを発見した。作品名は『007 ドクターノオ』。

当時は深夜に起きていると親から怒られたので予約録画し、翌朝に観た。ゲームでもお馴染みのオープニング、テーマ曲に興奮するも、妙に映像が古い。それもそのはず、同作は映画シリーズ一作目だった。そのためか全体的に渋く、淡々と進んでいく内容で、派手なアクションを期待していた私は、「思ってたのと違う…」という感想に終わった。

この時は他のシリーズを観る意欲が失せていた。だが次の週、また同じ番組で007が。今度放送するのは『007 ムーンレイカー』。
ゴールデンアイの隠しステージの舞台になった作品だ!

『ゴールデンアイ 007』にはクリア後要素で二つの隠しステージがあり、その一つ「アステカ」は、『007 ムーンレイカー』を原作としていた。

それは絶対に観なきゃ、ということで予約録画。
翌朝に観ると……あれ?007を演じる人が違う。
そこに父親が現れ、こう言った。

「お~、ロジャー・ムーアじゃん!それが三代目だよ。」

あ、演じる人が変わるのってこれか。
前の人とは雰囲気違うな……と、別の作品を見ているかのような気分になった。

ただ、映画本編は凄く面白かった。特にラストの無茶苦茶過ぎる展開には大興奮。映画007に対する個人的なイメージは今作で一変し、改めてもっと観たい気持ちにさせられた。

しかし、同番組での007の放送はそこで途絶えてしまった。
もう、かくなる上は会員になってビデオを借りるしかない。
この時、やっと踏ん切りがついた私は店へと直行した。

そこには『ゴールデンアイ』を始め、沢山のシリーズ作が置かれていた。更に対戦モードのルールとして称されてた『007は二度死ぬ』、『黄金銃を持つ男』、『リビング・デイライツ』、『消されたライセンス』も。
あれらは過去作の題名だったのかと、私はこの時に初めて知ったのだった。

対戦ルール四部作も気になったが、一番見たいのはゴールデンアイ。迷わず同作の日本語吹き替え版をレンタルし、帰宅間もなく観始めた。

かつて、私は平日の夕方五時から放送されていた『ルパン三世』、『シティーハンター』に夢中になり、銃で戦うヒーローに強い憧れを抱いていた。
特に後者の主人公「冴羽リョウ(※)」は、カッコイイけれど間抜けな一面も持つ面白いキャラクターで、今もなお、私の中の理想のヒーロー像として君臨し続ける存在だ。

初めてゴールデンアイを観始め、007が喋った時、とてつもない衝撃が走った。
なんと、声が冴羽リョウ!(神谷明氏)
シティーハンターで聴き馴染んだ声で007が喋ったのだ。

寝耳に水だった。まさかこんな所でリョウの声を聴くだなんて。
おかげで以降、私はくぎ付けとなり、全編ノンストップで観てしまった。

ゲームを先に遊んでいたのもあり、見覚えのあるシーンやキャラクター達が出てくる展開には凄くワクワクした。映画独自のシーンも多く、特に「軍用書庫」での戦闘はゲームと全く違っていて唖然。他にも戦車が市街地で大暴れするチェイスシーン、湖から姿を現す巨大アンテナも迫力満点で驚かされた。ボリスの最期という、大爆笑したシーンも一箇所。

何より、007がリョウの声で喋る。
これが私に実家のような安心感を抱かせるだけでなく、彼が「実写映画も楽しいから、怖がらずに見てみようぜ」と誘ってくれたように聴こえたのだ。

この巡り会いが機となり、実写映画への抵抗は消滅した。以降、対戦ルール四部作を含む過去作から直近の新作まで鑑賞し、他の実写映画も観るようになっていった。

後にシリーズは全作鑑賞。新作は都合が合わないことから、ソフト化を待つことが多かったが、近年は公開当日に劇場へ足を運ぶなど、早めに観に行くことを心がけている。

映画シリーズ全作で一番のお気に入りは、対戦ルール四部作の一つ『消されたライセンス』。

『ゴールデンアイ 007』は、NINTENDO64を買った甲斐を沢山教えてくれた傑作だった。それだけでなく、怖いものと敬遠していた実写映画にも007シリーズという楽しい作品があることを教えてくれ、世界を大きく広げてくれた。

もし、別のゲーム機を買っていたら、今の自分はどうなっていたのだろうか。

当時を思うと悔やむことは多い。でも、歳を重ねた今も観続けている作品との出会いがあったのを考えると、本当に大きな転機だったと思う。

改めて、ゴールデンアイには大きな感謝を伝えたいこの頃。そして、日本語吹き替え版でボンドを演じられた声優の神谷明氏にも感謝の言葉を贈りたい。

劇場版『シティーハンター』、絶対に観に行きます!

※機種依存文字であるため、下の名前を片仮名表記としました。

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(c) Rare Ltd., (c) Nintendo Co., Ltd., (C) 1995 Danjaq, LLC and United Artists Corporation.

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この記事を書いた人

新旧のゲームを遊びまくる人。ひよっこライター。もぐらゲームスなどゲーム系メディアへ寄稿中。

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