猫好きの間では常識だが、奴らは隠れるのが巧い。

例えば拙宅に住んでいる猫ズもよく姿が見えなくなる。というか消える。マジで。いやいや消えるとか大げさでしょ、プリンセス天功じゃあるまいし、と今半笑いで呟いたあなたは一度、猫ちゃんとかくれんぼ勝負をしてみるといい。

奴らは必ずや、あなたが隅々まで知悉していたはずの家の中に未踏の隙間や死角を見つけだし、そこにまんまと収まって、「猫いない猫いない」と慌てふためく人間たちを尻目に惰眠をむさぼっているだろうから。

そういった、猫と暮らしたことのある者すべてが一度は経験しているであろう、あの「隅々まで探したのに猫ちゃんいない」という、まるで神隠しや魔術のたぐいにでも遭ったかのような、果たして自分は“本当に”隅々まで探したのか…と疑心暗鬼になってしまう体験を抽出し、ゲームという形に仕上げてみせたのが本作『Hidden Paws Mystery』(PC)である。

そういうわけでルールはシンプルだ。
君はただ、猫を探せばよい。

ふふん、そんなのへそで茶をボイルするぜ。

確かに最初のほうはよゆうだ。鼻歌だって出る。というか猫ちゃんたちは隠れてすらいないので、君はただ、そこにいる猫ちゃんたちをクリックしさえすればよい。すると「にゃー」という萌える効果音と共に無数のハートが上空へ昇っていき、無事猫ちゃんを発見しましたよとカウントされる。こうやって各ステージ内に隠れている猫ちゃんたちをすべてクリックし、「にゃーん」と鳴かせればクリアと相成り、次の猫ちゃんたちが隠れている島へ向かうことになる。

が、冒頭でも申し上げたとおり、奴らは隠れるのが巧い。決して人目の届かない場所をどういうわけか見つけて、入り込んでいく。さすがにあんな狭いところにはいないだろう…と人間が予断と先入観の罠に陥ってしまう場所にこそ、猫ちゃんは潜んでいるのである。すべての石をひっくり返して探すような、地道な忍耐力が問われる。

猫ちゃんによっては壺や長持ちの中など、外目には見えないところにも隠れている。こうしたプロップはクリックして割ったり、勝手に開けたりできるので、少しく背徳的な気分にさせられる。また、死角的な場所に隠れている猫ちゃんを「にゃーん」と鳴かせるには、ねずみ…じゃなくてマウスの左右ボタンによる視点切り替えを駆使し、角度を微調整して、ちょうどいい塩梅のアングルまで持っていかないと猫ちゃんが見えず、クリックして「にゃーん」と鳴かせることができない。

島によっては地形が入り組んでおり、例えば岩屋の奥まったところに猫ちゃんが隠れていたりして、こういう猫ちゃんを「にゃーん」と鳴かせるには戦略的かつ段階的に視点を切り替え、徐々に迫っていく必要があり実際難儀する。黒猫は闇に溶け込んでしまって一層見つけにくいというところも、猫という存在に対するデベロッパの愛情および造詣の深さを感じさせ、猫好きならニヤリとしてしまうだろう。

ストーリーは正直よくわからない。なぜこの猫ちゃんたちが巨大キノコの生えている、ドクターモローの島のような恐ろしい場所へたどり着いてしまったのかは不明だ。もしかしたら、その昔、この島へ漂着した難民船か何かに乗り込んでいた猫ちゃんたちが、サバイバル術に乏しい人間たちをよそに繁栄し、生き残ったのかもしれない。それでああいったレクイエムのような荘厳なBGMが流れているのであろうか。そうやって妄想を膨らませていくのもまた一興である。

アクション性はないので、仕事の合間の息抜きにもぴったりだ。煩雑な作業に倦んだ時には、謎の島へ猫ちゃん探しへ出かけてみてはいかがだろう。

前作『Hidden Paws』とセットで買うとよりお得である。

(c) Manic Hyena

 

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