【連載/だからゲームはやめられない】第4回: 10年近く探し求め、遂に身を投じた荒野の大激闘『ワイルドガンズ リローデッド』~

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(by シェループ

1990年代前半、スーパーファミコンが現役だった頃。

ゲームソフト一本の値段は大きく跳ね上がった。特に1994年以降は著名なメーカーが出すものなら、1万1400円超えが当たり前。小遣いを使う、親にねだるなりしてゲームを買っていた当時は、買うものを選別するしかなく、泣く泣く興味を持った一部のゲームを見送ってきた。

それから時は流れ、現役を退いたスーパーファミコンのゲームは中古市場で安く売られるようになった。

ある日、中古ゲーム店で昔、買い逃した二本のスーパーファミコンのゲームを発見し、合わせて2000円ほどで手に入れた私は、それを機に、アルバイトで稼いだ資金を投じ、かつて見送ったゲーム達を買い漁ることを始めた。特に2006年には、数多くの見送ったゲームを回収。また、インターネットで調べて知ったのを機に、興味を抱いたゲームを探すことにもまい進した。

『ワイルドガンズ』はその内の一本だ。

1994年にナツメ(現:ナツメアタリ)より発売された本作は、照準と自機の二つを操作し、画面奥から攻撃してくる敵を撃退していくアクションシューティングゲーム。その独特な仕組みと硬派な難易度、迫力のボス戦で高く評価されていた、隠れた名作と謳われる一本である。

私は同じナツメが制作した『奇々怪界 謎の黒マント』というゲーム(これも名作である)をインターネットで調べていた際、本作を紹介する個人のWebサイトへと辿り着き、関心を持つに至った。

これは絶対に見つけねばと、知った次の日からは探し始めた。

だが、相場を調べてみたところ、箱説明書付きは1万円以上!
カセット単体でも8000~9000円以上!
紛うことなきプレミア品だった。
それでも、見つけたら大枚をはたいて買う意気込みでいた。

しかし、それとは別のプレミア品であるスーパーファミコンソフトに大枚をはたいたことで、財布が大ピンチに陥り、新作も含め、ゲーム購入を自粛しなければならぬ状況に追い込まれた。

運悪く、この時に私は東京都内某所で、本作の箱説明書付きを発見した。

勿論、買ったりすれば破産待ったなし。

喉から手が出るほど欲しいのに見逃すしかない、苦渋の決断を下すしかなかった。

その後、自粛が解かれた頃には、ゲーム機一台が買えるほどの値段にまで上昇。この状況に風穴を開けることに期待を寄せた任天堂のゲーム機、「Wii」で始まった旧作配信サービス「バーチャルコンソール」での復刻も行われないどころか、何故か海外でしか発売されない奇妙な展開に。後継機「WiiU」でも、その状況に変わりはなく、日本で売られることはなかった。

その後もオリジナルは値を上げ続け、遂に完品は6桁に。

欲しいのに買えない。

復刻してくれない。

そんな理不尽な状況に怒りを通り越し、疲れ果てた私は、諦めの気持ちが強くなり、結局、自分にはこのゲームを遊ぶ資格がないんだと思うようになっていた。

しかし、2016年6月、思いもしないニュースが飛び込んできた。

PlayStation 4のダウンロードソフトとして、新規に蘇ることが発表されたのだ。
その名も『ワイルドガンズ リローデッド』。オリジナルのスーパーファミコン版をベースに、最大四人まで参加可能な協力プレイを始めとする、多くの新要素を追加したリメイク作だ。しかも、グラフィックはスーパーファミコン版そのまま。制作も当時のスタッフが担当するという。気になるお値段も税込み1800円!5桁でも、6桁でもない。そして、今回は日本でも発売!

まさに僥倖。欲しいのに買えないゲームを遂に遊べる時がくると、ニュースを聞いた時の興奮は数日間冷めぬほどだった。そして、2016年も終わりに近づいた12月に製品版が発売。四の五言わずに購入へと走り、遂に10年近く探し続けたゲームの世界へを足を踏み入れることができた。
だが、その世界は想像以上に過酷だった。中でも銃を撃っている時は照準だけを動かせ、撃ってない時は自機を動かせるという操作の仕組みに混乱する一方で、最初のステージをクリアするだけでも悲鳴を挙げるほどだった。

しかし、攻撃と移動を切り替えるタイミング、敵の弾にこちらの弾を当てて相殺する戦術を知るとミスも減っていき、気が付けば最初のステージを難なく突破できるように。相手の動きを鈍くする「投げ縄」、回避手段兼照準の位置を調整する「二段ジャンプ」も使いこなせば、より華麗な立ち回りもできるようにもなって、敵は倒し放題、物は壊し放題に。
幾度のゲームオーバーと再挑戦を経て、エンディングを迎えた頃には、一つの激闘が終わりを告げた静けさが広がり、なんとも言い難い達成感に浸る自分がそこにいた。

過酷なゲームだった。だが、確かな上達が実感できる難易度の塩梅は素晴らしく、激しくも楽しい、極上の一時が味わえた。そして、50代を越えた今もなお、ゲーム制作に現役で取り組む、ナツメアタリのベテランクリエイターの方々の底力を思い知った気分にもなった。
その後、本作はPC(Steam)、Nintendo Switchでも発売された。後者にはゲームオーバーがない「ビギナーモード」が新たに搭載され、より気軽に荒野の激闘に挑めるようになっている。

スーパーファミコンのオリジナル版は値段の高騰もあり、気軽に買えたものではない。だが、本作はどのハードでも1800円で販売中だ。最初のハードルは高いが、仕組みを理解すれば、荒唐無稽で熱い銃撃戦を味わえる。アクションゲーム、シューティングゲームが大好きで、何度やられようが諦めない気持ちがあるなら是非、この荒野の戦場に足を踏み入れてみよう。
最後に、この場をお借りして、本作を作られたナツメアタリの開発チーム「TENGO PROJECT」の皆様に感謝の言葉を贈りたい。

幻のゲームをいつでも買えて遊べる時代にしてくれて、本当にありがとうございました!

(c) ナツメアタリ株式会社

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この記事を書いた人

新旧のゲームを遊びまくる人。ひよっこライター。もぐらゲームスなどゲーム系メディアへ寄稿中。

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