あなたを選びます!

――映画『天使のくれた時間』より

「あのとき、ああしていれば…」と後悔したことが今までの人生で何度であったでしょうか。

ジェイソン・ステイサム主演の『MEG ザ・モンスター』を観に行こうと思い
朝イチの上映回を予約したときのこと。
数日前まで納品ラッシュが続いていて、とにかく寝不足だった私。
目覚まし時計をセットするのをすっかり忘れ、目が覚めたときは、なんと映画の始まる5分前。

「上映前の約10分間は予告だから大丈夫」と自分に言い聞かせても、やっぱりこの時間に家を出て間に合うはずがありません。
1800円を惜しみながら、泣く泣く夕方の上映を予約…。
こんなことなら、ちゃんと起きて4Dで観ればよかった。あのとき、目覚まし時計をきちんとセットしておけば…と、くらーい気持ちになりました。
(そんな胸中でも、ジェイソン・ステイサムは最高で、でも今回ご紹介する映画はこの映画ではありません。)

そんなくだらない話だけではなく、
誰にでも1度や2度は人生を変えるような選択を迫られたことがあると思います。
あのとき仕事を辞めないでおけば、彼・彼女を手放さないでおけば、あの人のいうことを聞いていれば…。
今までなんとも思ってなくても、ふとしたことをきっかけに、選ばなかった道が強烈に光って見えるときがあります。

今日ご紹介する『天使のくれた時間』(ブレット・ラトナー監督)のジャック(ニコラス・ケイジ)も同じ。
ジャックは13年前、仕事の研修に行くために恋人のケイト(ティア・レオーニ)を残してロンドンへ旅立ちます。


嫌な予感を感じてロンドン行きを反対するケイトに、ジャックは「離れていても気持ちはかわらない」と告げます。
が、その後、彼はケイトとは結ばれずにウォール街で成功。優雅な独身貴族として生活を送っていました。
ジャックは「自分の生活に何の不満もない、俺はすべてを手にしている!」と思って過ごしていましたが、クリスマスの朝に目を覚ますと、その世界は彼が選ばなかった「もしもの世界」だったのです。

マンハッタンの高級マンションに住んでいたはずなのに、家はNY郊外の一軒家。
独身だったはずなのに、13年前に空港で別れたはずのケイトと結婚し、子供は2人。
金融会社で成功していたはずなのに、勤務先はタイヤ店。
職場には家族写真や子供たちが描いた絵が飾られており、
買い物といえば、高級ブティックではなく近所のモール(しかもセールのとき。財布は妻がしっかり管理)。今までと正反対の生活にとまどうジャックですが、だんだんと愛する人との生活に幸せを感じはじめます。

「元の生活に戻りたい」と必死だったジャックが、家族と過ごすことに幸福を感じはじめたとき
天使のキャッシュが再び現れて彼を現実の世界に戻してしまいます。

「転職したいなら、本気でしたいなら、子供を連れて、2人で共有したこの家も捨てて、あなたについてくわ。あなたを愛してるから。愛してる。
住所より、もっと大切なことだもの。あなたを選ぶわ」

これは、「家族でマンハッタンに引っ越そう」と提案するジャックに妻のケイトが答える台詞です。
最後の、「あなたを選ぶわ」という台詞は映画の中で3回も登場するキーワードとなる台詞なのですが、実際は“I choose you.”ではなく”I choose us.”(私たちを選ぶ)と言っています。
youではなくusを使うことで、ただ相手の意見に合わせるのではなく「ふたりが一緒にいる人生を選ぶ」という強い気持ちが感じられました。
ここまで相手を信頼し、愛せるなんてうらやましい関係です。


さて、「もしもの世界」で愛も富も名声もすべて手に入れたジャックは、再び現実の世界へ戻ってしまうのですが、現実でのケイトは、やり手の弁護士として活躍中。フランスに拠点をうつすところでした。13年前とは逆に、今度はジャックが飛行機に乗ろうとするケイトに愛の告白をすることに。
今度こそ2人は同じ道を選ぶことができるのでしょうか…?

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英日字幕翻訳者。中国語も少し。最近は韓ドラにはまってます。
連載エッセイ:字幕翻訳者の“この台詞が好きなんです”
字幕担当作品:『キス・ミー・ファースト』など