【連載/だからゲームはやめられない】第8回: RPGなんて大嫌いだ~『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』との馴れ初めと数十年後の後悔~

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(by シェループ

苦手なゲームジャンルは「スポーツ」であると『ゴルフ』の回で答えた。更に昔へ遡れば、「ロールプレイングゲーム(RPG)」もそうだった。

苦手どころではない。大嫌いだった。

そのきっかけとなったのが『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。
言わずと知れた国民的RPGのシリーズ三作目で、名作中の名作と謳われる作品だ。
そして、私が初めて遊んだRPGである。
ただ、買って遊んだ訳ではない。
当時、話題を共有する仲になって間もない、同級生に遊ばせてもらった。

その出来事が私を大のRPG嫌いにした。

ある日、件の同級生が自宅へ遊びに来ることになった。
休み時間、その話を二人でしていた中、どんなゲームが好きかと聞かれた。
私はアクションゲームが好きだが、当時はジャンルの呼称を知らなかったので、マリオやロックマンみたいなゲームが好きと答えた。
それに対し、彼はこう答えた。

「じゃあ、ドラクエやってみない?」

初めて聞くゲームだった。
なので、どんなゲームなのと聞き返した。彼は答えた。

「マリオやロックマンみたいなゲームだよ。勇者になって敵を倒していくんだ。」

それを聞いた私は「へえ~マリオやロックマンみたいなゲームで、ドラクエってのもあるんだ。」と内心思った。そして、強い興味を抱き、「やりたい!」と返答した。
かくして、彼はドラクエこと『ドラゴンクエストIII』を持参し、私に遊ばせてくれた。

その時の感想を率直に書く。

なにこのつまらないゲーム。

ボタンを押してもキャラがジャンプしない、押せばゲームが止まる。
ステージは横じゃなくて上下左右に広がっている。
敵が現れてもキャラを動かして攻撃できない。
そもそも、何をするか分からない。

どこがマリオやロックマンみたいなゲームだよ!
私は思わず抗議した。
すると彼は、

「え、マリオやロックマンみたいなゲームじゃん。面白くない?」

と返した。

お前は何を言ってるんだ。

遊び方も教えてくれたものの、私自身、憤ってたのもあって全く耳に入らず。結局、しばらくして遊ぶのを止め、以降は彼がプレイする様子を眺めるも、何が面白いのか微塵も分からなかった。

後日、私はゲームボーイを譲ってくれた叔父との雑談でジャンルの呼称を知り、ドラクエがRPGというものであることを知った。
更に『ファイナルファンタジー』というゲームも同じものだと知った。

そうか、あのつまらないゲームはRPGというのか。
絶対に買わないようにしなくては。
かくして私はそれ以降、徹底してRPGを避け続けた。

だが、時代がスーパーファミコンに移行したある日。
不気味なパッケージに恐怖し、購入するのを止めたゲームに代わって、隣にあった、アクションっぽい別のゲームを代理として買った。
店員から手渡された後、パッケージの裏面を見た。

やってしまった。それはRPGだった。
ロックマン3』再びである。

だが、今回は箱を開けていない。返品が効く状況だった。
しかし、店は返品を受け付けてくれず。
なら売却しようとするも、それには親の身分証が必要。
そして、当の親はそれを許可せず。
結局、八方塞がりとなり、向き合うことになってしまった。

あろうことか、そのRPGは問題山盛りの作りで、想像以上の苦行を強いられた。
だが当時、ロックマン繋がりで親交のあった友人が攻略に協力してくれ、更に遊び方の手ほどきもしてくれたのもあり、RPGへの嫌悪感は徐々に和らいでいった。

その後、件の友人より薦められた『MOTHER2 ギーグの逆襲』で、私はRPGが面白いものであることを初めて認識。嫌悪感は完全に消え去った。

だが、同作の影響で「任天堂のRPGなら大丈夫」と刷り込んでしまい、ドラクエを始めとする他社製は危険と見なし、買うのは拒否し続けた。

触れるようになったのは2001年以降。
ロックマンがRPGとなり(※ロックマンエグゼ)、それが面白かったことから認識が和らぎ、以降、他社の作品に触れていくようになった。そして2006年、ニンテンドーDS版『ファイナルファンタジーIII』で、遂にFFシリーズを初体験。

残すはドラクエだけとなったが、なかなかその機会に恵まれず、結局、私が同作に触れたのは、シリーズ生誕25周年記念で発売されたWii用ソフト『ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』の時。実に6年後のことだった。

当時の苦い思い出から、遊んだのはスーパーファミコンのリメイク版にした。
勿論、初代、IIをクリアした後に遊んだ。

もの凄く面白かった。自由なパーティを編成し、世界に脅威をもたらす悪の討伐を目指す開放感のあるゲーム展開、広大で探索し甲斐のあるマップ、やり込み甲斐のある転職システム。間違って紹介されていなければ、ゲームを買っていたのではないのかと思うほど、時間を忘れてハマった。

そして、辿り着いた最後の地。時系列順にシリーズを遊んだからこそ分かる驚きがそこにあった。これが本作を名作中の名作と言わしめる全てか、と。最終決戦直前のイベント、エンディングにも大きな衝撃を受け、かつて嫌悪感を抱かせた作品は、記憶に残るRPGと印象を一変させ、幕を閉じた。

後にオリジナルのファミコン版も遊んで確信した。
本作は名作中の名作である。
そして、強烈な余韻を残したRPGである。

けど、初めて遊んだその時は、全く理解できなかった。
RPGの遊び方を知った後も、やる気になれなかった。
結局、その事実を知るのは数十年も先になってしまった。

何故、こんな巡り合わせとなってしまったのだろう。
あんな風に紹介されてしまったのだろう。

どこかにタイムマシン、無いのだろうか。
そんなことを思う日々である。

(c) SQUARE ENIX, (c) Nintendo Co., Ltd.

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この記事を書いた人

新旧のゲームを遊びまくる人。ひよっこライター。もぐらゲームスなどゲーム系メディアへ寄稿中。

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