【映画レビュー】オタクが『ヴェノム』を観にいくべき7つの理由

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(by 蛙田アメコ

■オタクが『ヴェノム』を今すぐ観に行くべき7の理由■
人衣一体!!!! 神衣《カムイ》最ッ悪!!!!

……最近Amazonプライムビデオで再視聴した『キルラキル』があまりに良すぎたあまり、『ヴェノム』の紹介エッセイをこうやってはじめてしまった。オタクにはいつだって変身願望があるので許してほしい。まあ、とにもかくにも、11月2日(金)より、【 最 悪 】とのキャッチコピーとともにアンチヒーロー映画『ヴェノム』が日本公開となった。私は賢いので知っているのだが、最悪というのは「最もワル」という意味だ。けっこうなワルが幅を利かせている映画界で最もワルとは、どれだけワルなんだろう、このヴェノムとかいう黒いの(不勉強ながら原作アメコミは未履修だ)。そういうわけで、筆者もさっそく公開初日に映画館へダッシュした――のだが。声を大にして主張したい。

いいか。

この映画、【オタク】に刺さる。
刺さるぞ。

――この記事では、【オタクが『ヴェノム』を今すぐ観に行くべき7の理由】と題して、映画『ヴェノム』の紹介をしていきたいと思う。ヴェノム、最高で最悪だった。

■理由1、俺の右手が疼く■
善良な俺に凶悪な宇宙人が寄生する――控えめに言って最高だ。筆者は物心ついてからこのかた、延々と飽きもせずにオタク女として生きてきた。日本でオタクをやっていれば高確率で「俺の右手が俺の意思に反して暴れ出す」というシチュエーションを目にする。そして、オタクはそれに燃える。『地獄先生ぬ~べ~』の鬼の手や『NARUTO -ナルト-』の九尾の狐やら一尾の守鶴やらに燃えた経験のあるオタクは即刻映画館に『ヴェノム』を観に行くべきである。あと、『寄生獣』好きも行くべきだろう。ただし、ヴェノムの前で「寄生」とは絶対に言ってはいけない。怒られるので。

■理由2、負け犬よ牙をむけ■
本作主人公トム・ハーディ(いつも作中で酷い目にあう)演じるエディは、冒頭10分くらいで負け犬フラグが立つ。そして華麗に回収する。アメコミヒーローのお約束、人生どん底マンだ。最高だ。あと詳細はわからないが、ヴェノムも地球外生命体カーストは低いらしい。劇中で「俺も負け犬だ」って言っていた。オタクは負け犬が好きだ。それは「うだつの上がらない自分に主人公を重ねて~……」なんてシャラクセェことを言っているわけではない。いつだって私たちが応援してきたヒーローは人生のどん底から這い上がってきてくれたからだ。その姿はアツい。ただそれだけだし、ヴェノムもアツい。オタクは『ヴェノム』を観るのだ。

■理由3、心を通わせる『俺たち』なんてアツいに決まってる■
『キルラキル』好きには必ず『ヴェノム』を観ていただきたい。ヴェノムという最悪の宇宙生命体は基本的にネバネバしていて、人体に寄生……いや、共生する。主人公のエディは、ヴェノムをスーツよろしく纏ってヴェノムと一体化したまま戦うのである。人外の存在を纏い、心を通わせる。最高、最っ高だ。圧倒的なパワーで暴れまわり、基本的には人間や可愛いワンちゃんを「とっても美味しそう!」という目線で見ているヴェノムが主人公のおっさんの体を依り代に大暴れするのだ。そして、マーベル人気の火付け役であるアイアンマンが「私がアイアンマンだ」と高らかに宣言したように――おっと。ここから先は劇場で目撃してほしい。

■理由4、(日本での)知名度が低い■
ヴェノム、残念ながら正直ちょっと知名度が低い。(ヴェノムが原作で本来共演している)スパイダーマンとかに比べると本当に知名度が低い。しかし、私もオタクの端くれとしてわかるのだが、「流行しまくっているものを観に行くのは腰が引けちゃう」という心理を往々にしてオタクは持っているものである。だから、大丈夫。観に行ってほしい。『ヴェノム』の知名度は低い。安心だ。

■理由5、ヴェノムは伝統的な男だ■
宇宙生命体であるヴェノムは基本的に見た目が気持ち悪い。なんかベトベトネバネバしているし、人型フォームになったときもすげぇ悪い顔をしている。例えるならば、スーパーマリオのパックンから愛嬌をすべて取り去った面構えだ。しかし、ヴェノムの弱点はとっても伝統的。そう、【音】だ。特定周波数の音が苦手である。最凶最悪の宇宙人の弱点が音……そう、ゴジラシリーズ第6作『怪獣大戦争』(1965年)やティム・バートン監督の名作SFコメディ『マーズアタック』(1996年)と同じ文脈なのである。我々オタクが愛してきた映画の血が『ヴェノム』には熱く流れているのである。

■理由6、ヒロインがしなやかだ■
ヒロインであるミシェル・ウィリアムズ演じるアンは法律家であり、情にあつく、勇気ある女性として描かれている。別れた男(=エディ)ともコーヒー片手に街角でまるで男子高生同士のようにお喋りすることだってできる。ピンチには自分で行動を起こすし、あとめっちゃ足が速い。かっこいい。マッチョな女性ではないけれど、身体も心もしなやかに描かれていて、すごく、こう……ヘルシーだ。そう。ヘルシーなヒロイン。それがアン。全体的に画面に映っているものが全然ヘルシーじゃない(腐敗したジャンクフードとか、全然ヘルシーじゃないでしょう)映画のなかでひときわ輝いていた。カッコいいヒロインは女性のオタクは大好きだ。女オタクたちも『ヴェノム』を観に行くべきであるということがお分かりいただけよう。

■理由7、この身に巣食う『最悪』が世の理不尽をぶっ飛ばす■
本作の主人公エディ。なんとも憎めない、可愛い男だ。ジャーナリストである彼は非常に正義感が強い。現代に生きるには、いささか強すぎる正義感を持っている。この正義感が理由で無職になったり婚約者と破局したりする。受難だ。そんな彼が、『最悪』の地球外生命体のヴェノムと共生し、ときに本意ではないのに無双するハメになり、ときにヴェノムと意思を通わせてヒーローよろしく(すっげぇ怖い顔に)変身する。――なんのために? 悪を、ワルをぶっ飛ばすためだ。ワルをぶっ飛ばすのは正義だけではない。最もワルなヤツ……そう、【 最 悪 】がワルいやつらをぶっとばすのだ。

***

そういうわけで『ヴェノム』は100点の映画ではない。問題点もいくつかあったと思うし、アクション映画としてはスロースタートな作りになっている。最初からど派手なアクションが見られる訳じゃない。しかし、少なくともオタクたちは『ヴェノム』を観に行くべき理由が7つもあるということを覚えておいて欲しい。

まとめよう。女オタクである私がこの記事で伝えたかったことは3つだ。

・オタクは『ヴェノム』を観に行ってくれ。
・ヴェノムはすげぇワルだ。
・いいから『ヴェノム』を観てくれ。
・ヴェノムis可愛い。

それでは、みなさん。
よい【最悪】を。

++++
(c) Avi Arad Productions, (c) Columbia Pictures Corporation, (c) Marvel Entertainment, (c) Sony Pictures Entertainment (SPE), (c) Tencent Pictures

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この記事を書いた人

蛙田アメコのアバター 蛙田アメコ ライトノベル作家

小説書きです。蛙が好き。落語も好き。食べることや映画も好き。最新ラノベ『突然パパになった最強ドラゴンの子育て日記〜かわいい娘、ほのぼのと人間界最強に育つ~』3巻まで発売中。既刊作のコミカライズ海外版も多数あり。アプリ『千銃士:Rhodoknight』メインシナリオ担当。個人リンク:  小説家になろう/Twitter/pixivFANBOX