【連載/だからゲームはやめられない】第5回: 気軽にできる嬉しさとゲームだからこその有難味をゲームボーイ版『ゴルフ』で知る

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(by シェループ

好きなゲームのジャンルは、と聞かれたら、アクションゲームと回答する。
逆に苦手なゲームのジャンルは、と聞かれたら、スポーツゲームと回答する。

理由は単純に現実のスポーツの方が面白いから。
しかし、荒唐無稽な要素があるものなら別。
そういうのは遊んでみたい気持ちになる。

もう一つの例外が「ゴルフ」。
これだけは現実にやろうにも、ハードルが高すぎる。
そもそも、クラブ一式買うだけで、どれだけ金がかかることか!

昔、私の父親は会社の接待の関係で、ゴルフをやっていた。
ある日のこと、ゴルフショップへ行く父親に同行し、ボールやクラブを買う様子を見た。今も鮮明にレジのディスプレイに映し出された金額の桁を覚えている。ゲームソフトが数本、余裕で買えてしまうほどの額だった。
そんなにお金のかかるスポーツなのかと、幼い私は衝撃を受け、以来、数あるスポーツの中でもゴルフだけは雲の上の存在のように思ってきた。いや、今でも思っている。

だから、そんなゴルフを手軽に楽しめるゲームの存在には有難味を感じた。
ゲームボーイの『ゴルフ』は、それを認識するきっかけになった一本だ。

しかし、なんでこんなゲームを買ったのか。
実は買ったものではない。
母方の叔父から譲り受けたものだった。

叔父は私が幼い頃、ゲームを遊んでいた。丁度、母方の祖父母の家に泊まりに行った日に叔父も来て、空き時間に小型の機械でゲームを遊んでいた。それがゲームボーイを初めて知った瞬間だったと記憶している。こんなゲーム機もあるんだと関心を持った私は、興味本位から覗き込んだ。しかし、叔父が遊んでいたのは野球ゲーム。私には遊べそうに思えないものだったが、小さな画面でゲームが動く姿にしばし、くぎ付けになってた。

それが機となったのか、叔父はゲームボーイを三本のソフトと一緒に譲ってくれた。忙しくて遊ぶ機会が少ないから、お前が使ってくれとのことで、いきなり私は新しいゲーム機を手に入れたのだった。

だが、受け取ったゲームは件の野球、F1レース、ゴルフ。
私好みのゲームは一つもなかった。

だから一本、そのようなものを買ってもらおうとしたのだが。
目に悪影響があるからと言って、ゲームボーイのゲームは購入禁止と親が規則を設けてしまった。先の三本なら、自分は長時間やる心配がないと見越してなのか、その恐れのあるものは意地でも買い与えようとしなかったのだ。

実際、叔父から与えられたゲームは長続きしなかった。
けどその頃、親にアダプターやケーブル類を管理されてたがため、平日にゲームをやることを禁じられてた私にとって、それらの機器無くゲームが遊べるゲームボーイは救世主だった。

だから、せめて、この三本の中に遊べるゲームがあっても……と、何度か遊んでは止めるを繰り返した末、『ゴルフ』だけが緩やかに興味を高めていった。

そう言えば、ゴルフって、家の外で遊べるスポーツじゃない。というか、前に父親のクラブとゴルフボールを勝手に持ち出し、遊び半分で打って窓ガラスを割ってしまい、こってり怒られたことがあった。
野球のキャッチボールのように、少人数で狭いところでもできないスポーツだった。

……あれ?ちょっと待てよ。
これ、そんな心配なく遊べるじゃん?
家の外でできないスポーツを楽しめるぞ。
え、実は結構面白い?

いつしか、私はこのゲームの魅力に気付き、次第にプレイ時間が増えていき、すっかりゴルフ三昧となってしまった。詳しいルールはよく分かってなく、池ポチャにOBを繰り返していたけど、それでも外で遊べないスポーツが楽しめる嬉しさから、延々と遊んでしまった。

当然ながら、親にとって最大の誤算だったため、後々、ゲームボーイ本体を取り上げられたり、私が学校で居ない合間に隠されたりしたが。

しかし、このゲームのおかげで、今日も私はスポーツゲームの中でゴルフだけは特別な存在という認識を持つに至っている。そして、クラブの種類、基本ルールもこのゲームでおおよその事を学び、以来、テレビのゴルフ中継も分かって見れるようになった。

ゲーム自体の出来も良い。
後に知ったファミコン版『ゴルフ』と違い、本作はショット画面がホール全体に組み込まれたたレイアウトになっているので、自分の分身であるゴルファーと共にホールを移動しているという気分に浸れる。さすがにその過程は省略されているが、徐々にカップへと近づいていく感覚にはどこか、アクションゲームを思わせる展開があって、ワクワクしながら遊べた。

ホールの作りも適切で、慣れてくると規定PAR以内のチップインを自然と狙えるバランス。そして何より操作性が素晴らしく、叔父から説明書を譲り受けなかった状況でも少し動かせばすぐ分かる手順になってたのが良かった。この操作の仕組み考えた人、凄くね!?と。実際、本当に凄い人でしたが。(※HAL研究所、任天堂元社長の故・岩田聡さんでした。)

今の時代にプレイすると、本作はストローク主体の作りもあって浅さが際立つ。けど、おかげで気軽に遊べて、一度始めると止められなくなる中毒性がある。テンポが抜群にいいのも強みだ。

ファミコン版『ゴルフ』と違い、本作は現代のゲーム機にも復刻されてない。ただ、ゲームボーイならではの工夫を凝らした画面レイアウト、適切なホールデザインなど、今プレイしても色褪せない良作だと思う。

どこかで復刻されないのだろうか。
できれば、今のゲーム機で遊んでみたいのに。
ファミコン版もいいけど、こっちも忘れないでよ。
いつしか、遊べるようになる時が訪れて欲しい。

そんなことをNHK-BS1のゴルフ中継を見ながら思うのだった。

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(c) Nintendo.

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この記事を書いた人

新旧のゲームを遊びまくる人。ひよっこライター。もぐらゲームスなどゲーム系メディアへ寄稿中。

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